本日公開の青春映画『青の帰り道』。地元の仲良しグループが各々の人生を見つけていくというストーリになっています。とは言え、"青春"という言葉で片付けるには切なすぎるリアリティーに胸打たれる群像劇でもあります。
美しい映像、若手俳優の揃い踏み、大人の階段のぼるグッとくる脚本とオススメどころ満載なのですが、実は"あるアクシデント"に見舞われた本作。その舞台裏もグッとくるんです。
リアルな青春エピソードの数々
舞台は群馬県前橋市。地元の高校に通う仲良しグループの男女。卒業を機にバラバラの道を歩んでいきます。主人公の歌手を目指すカナ(真野恵里菜)と家族との関係に悩むキリ(清水くるみ)は一緒に上京しルームシェア。
一方、カナの曲を作り続けていたタツオ(森永悠希)は地元に残り、大学受験。しかし受験に失敗して自宅警備員状態に。逆に一発で東京の大学へ進学したユウキ(冨田佳輔)。片や、漠然と「デカイことをやる」という乱暴な目標を掲げるリョウ(横浜流星)。地元で授かり婚をしたコウタ(戸塚純貴)&マリコ(秋月三佳)。
そんな7人の別々のルートによる大人の階段のぼるストーリーは、どのエピソードも観客は思い当たるフシあり。夢を諦める者や恋に溺れて失敗する者、人生うまく行ってたかと思うと就職して空虚な日常にカラ回る者。恋人との関係に悩む者。
そんなリアルなエピソード満載の本作ですが、そのリアル要素はそれだけではないんです。
リアルを追求した演出が
さらに、観客にリアルな作品世界への没入を促す演出が。2008年から2014年という作品の舞台となった時代、実際に起きた「リーマンショック」や「東日本大震災」、「スカイツリーの開業」などが作中に登場。よりリアルに登場人物たちの心情に迫れる内容になっています。
見事に等身大の若者の葛藤や挫折を描いた本作ですが、実は、撮影中にあるトラブルが発生。撮影が中断に追い込まれてしまったのです。
"あのスキャンダル"によって、撮影中断?!
2016年8月に出演俳優の一人だった高畑裕太が強姦致傷容疑で逮捕。それに伴い、撮影が中断。中止になるかと思われた製作も、その後、同役を戸塚純貴へチェンジすることで一年後の2017年8月に再撮影を敢行。
驚くべきは、戸塚以外の同じキャスト&スタッフが一年後に再集結したこと。撮影の住んだ箇所も含め、同一キャストにより、一から撮り直されたのです!若手実力派俳優が揃い踏みの本作で、7人もの主要キャストが同じ時期に揃ったというのも驚きです。
7人のメインキャスト
主演は真野恵里菜。今や話題の映画やドラマに引っ張りだこの真野恵里菜ですが、本作では歌手を目指して上京してくる役どころ。映像作品で歌ってるイメージは薄いものの、勿論、ハロプロ出身という安定の歌唱力を披露。音楽業界の中で自分を見失っていくヒロインを熱演。
「アミューズ30周年全国オーディション」でグランプリを受賞し、『桐島、部活やめるってよ』の出演で、知名度をグッとあげた清水くるみ。
『仮面ライダーフォーゼ』でのデビュー以来、『オオカミ少女と黒王子』『honey』『兄友』『虹色デイズ』とイケメン街道ひた走る横浜流星。
落語映画『しゃべれども しゃべれども』で注目を集め、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』では、劇中歌「明日も」も担当。『ちはやふる』や『あさひなぐ』と人気作への出演が続き、今や名バイブレイヤーの森永悠希。
映画 『虹色デイズ』の戸塚純貴や『みんなエスパーだよ』『リアル鬼ごっこ』の秋月美佳、『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』『信長協奏曲』の冨田佳輔などなど若手実力派俳優たちが揃い踏み!こんな豪華キャストが1年越しでもスケジュールを合わせて再集結したのだから、まさに悲願の1本!
世界最大の日本映画祭 第18回「ニッポン・コネクション」に出展された本作は本日12月7日(金)より全国順次公開になります。
(C) 映画「青の帰り道」製作委員会
- non・no(ノンノ) 2018年8月号 (2018年06月20日発売)
Fujisan.co.jpより