みなさまは、「下水再生水」という言葉、聞かれたことございますでしょうか?読んで、見てのとおり、下水を再生した水でございます。この再生水が今、東京都で無料提供されているのだとか…。
改めて「下水再生水」について、東京都下水道局によると…再生水とは、通常の下水処理に加え、さらに高度な処理を施した水のこと。飲用水としては適さないが手にふれても安全な水とのことでございます。
最近では、トイレ用水などの雑用水、さらに、せせらぎや清流の復活水などの環境用水、消防などの防災用水に利用されており、都市の貴重な水資源となっているそうでございます。
そんな「下水再生水」が、なぜ今、東京都で無料で提供されているのか…もうすっかり東京の夏の風物詩として復活した“打ち水”でございます。「打ち水大作戦2018」とのコラボだとか…。
「打ち水大作戦」とは、雨水やお風呂の残り湯などを、ヒシャクやジョウロを使い、みんなで一斉に“打ち水”をすることにより、夏の東京の温度を少しでも下げようという2003年夏から始まった取り組みでございます。
ちなみに、江戸時代の庶民の知恵と言われる「打ち水」、生類憐れみの令の際には「水中のボウフラが死ぬ…」と禁止されていたという説もございます。
最後に、この下水再生水が頂ける場所ですが、再生水が造られております芝浦、有明、落合などの各水再生センターで提供されているとか…。期間限定で8月23日まで。事前に連絡が必要なようなのでご連絡の上、もらいにいってくださいませ。お子様の自由研究、お話のネタにいかがでございましょう…。
最後に、余談をひとつ。
なんと、6月に米朝首脳会談が行われたシンガポールでは、再生水ビールが登場したとのニュースも…先日、シンガポールのクラフトビール醸造所ブルワークズは、日本の水道庁に当たるPUBと提携し、再生水を使ったクラフトビールを製造したと発表しております。ビールの名前は「ニューブリューバイPUBシンガポール」。
もちろん、再生水を利用したビール醸造は世界初でございます。一般販売の予定はまだのようですが、シンガポールだけでなく、日本でも再生水ビール販売される日は、そう遠くないかもしれません。ただ、ニーズがあるかどうかは…でございますが。
お話は脱線いたしましたが、今年の夏は、下水再生水を是非入手のうえ、打ち水ご体験くださいませ。ちなみに、打ち水のための下水再生水の無料提供は、東京都だけでなく全国の自治体で実施しているところがたくさんあるようでございます。是非、チェックしてみてくださいませ。
(文:N田N昌)
- 蕎麦春秋 2013-09-24 発売号
Fujisan.co.jpより