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川島鈴遥インタビュー 舞台『神話、夜の果ての』は「力強く抱きしめてくれるような作品に」 カルト宗教の子供たち描く


俳優の川島鈴遥さんが、舞台『神話、夜の果ての』に出演中です。本作は、カルト宗教とその施設で育つ子供たちの物語を描いたストレートプレイであり、川島さんにとって本格的な舞台デビューとなりました。川島さんはヒロイン役を演じています。

本作の演出は、詩森ろばさん。綿密な取材に基づいた骨太なドラマと、演劇知の結集したパワフルな演出が特徴。代表作には、読売演劇大賞優秀作品賞受賞の「国語の時間」や、日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した映画「新聞記者」などがあります。

本作にかける想いなどを川島さんにうかがいました。

●初めての舞台となりますが、心境はいかがですか?

プライベートでも普段あまり観に行ったことがなく、通しのお芝居の経験もほぼなかったので、食らいつくように必死に稽古場に行っていました。体調管理も大切なので、本番ではどれだけ毎回新鮮さを保てるかが勝負かなと思っています。

●今回の舞台は、どういう物語なのでしょうか?

宗教2世として育ったミムラという青年が、成長していく過程でさまざまな事件を起こしてしまい、拘置所に行くところから始まります。わたしは、その施設で一緒に育った幼なじみのシズルを演じています。

●時間軸も入り乱れているとうかがいました。

ミムラの過去、現在、そして夢も入り乱れています。そこに唯一、明るい存在として現れる女の子なのですが、彼女の説明はちょっと難しいです。でも最後まで観ると、意味が分かるようになっています。

●登場人物も複数いて、それぞれにドラマがあるそうですね。

そうですね。5人の登場人物が出てくるのですが、それぞれ孤独や寂しさと戦っている人たちなので、それぞれが愛おしくて、切なさを必ず持っているので、観終わった後に抱き締めたくなるような作品です。

●この作品からご自身が受け取ったメッセージは何でしょうか?

宗教のお話ではありますが、日常生活においてどこにも当てられない行き場のない怒りや苦しみ、誰もが抱えるそういうものを「こうするべき」と提示する作品ではないんです。

ただ、ふつふつと湧き上がるエネルギーを、生きることへのそれに変えてほしいという、生きる強さみたいなものをわたしはすごく感じていて、それはシズルにも通じるものなんです。

生きたいと思っている気持ちは捨てず、どんな辛いことがあっても爆発的なエネルギーに変えていかなきゃいけない。わたしたちはそれでも生きなくちゃいけないというメッセージ性がありつつ、力強く抱きしめてくれるような作品のような気がします。誰の手も放さずにいこうという、そんな印象を受けました。

●観る人によって受け止め方がたくさんありそうな作品ですね。

いろいろな方向にいってしまいそうな作品だと思うから、わたしの中の正解を伝えられたらという感じではあります。かけちがってどんどん違う方向に行っちゃうことがないよう、そういう覚悟がいるような作品です。

●この舞台での経験を通して学びたいことは何ですか?

まずは自分自身が楽しむことが一番だと思うのですが、舞台ならではの瞬発力を学びたいです。集中力の切り替えや、自分のルーティンの効果を探ることは、同じことを繰り返していく舞台でなければ、出来ないことなのかなと思うんです。これは本番中にも自分自身のことを知るための期間にしたいなと思っています。

それにみなさん、それぞれお芝居以外のところで自分自身と戦っている感じがしていて、持ち寄ったものを全部稽古場で出して、お芝居中に高め合う作用が起きてる気がしました。それが上手く大きなものになって、まとまりが起きて行けばいいなと思っています。

●最後になりますが、みなさんに一言お願いいたします。

この作品は、いろいろな世代に観ていただける作品だと思います。個人的なことでは、これまで映像作品では何かを抱えてもどかしく葛藤している役柄が多かったのですが、今回の舞台ももちろんそういうところはありつつ、テンポ感やリズムも含めて、内面を出すことよりも、出さないことで伝わる切なさ、苦しさもあるのだなと。それをより観てもらえる役柄かなと思っています。楽しみにしていただけたらと思います。

■あらすじ

青年は目を覚ますと、拘置所にいた。自分がなぜここにいるのか、自分が誰なのかさえ青年はわからない。そばにいるのは、精神科医と刑務官、そして夢とも現実ともわからない少女である。

ある日、精神科医の元を弁護士が訪ねてくる。国選で青年の弁護士となった彼は、保護室にあり「心身喪失状況」の青年と面会することもできていない。

5人の会話は迷走し、もつれ、記憶と現在と精神を行ったり来たりしながら、青年の苦しみと、結果犯してしまった犯罪のかたちが浮かび上がる。

舞台『神話、夜の果ての』は、7月14日(日)まで、東京芸術劇場シアターウエストにて上演中。

(執筆者: ときたたかし)

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