女性医師・西川史子(47)の”暴論”が賛否両論を呼んでいる。西川は8月5日放送の『サンデージャポン』(TBS)の中で、東京医科大学・医学科の一般入学試験で女子生徒の得点が一律減点されていた問題に対し、「当たり前です」と冷静にコメントしてのけた。
MCの爆笑問題・田中裕二(53)らが「これはちょっとひどい話ですね」とコメンテーターらに話を振り、池田エライザ(22)や壇蜜(37)が「受験生を秤に掛けてはいけない」などと大学側の姿勢を批判した。だが、西川は番組の流れも無視して冒頭のコメントをしたのである。
西川は「東京医大に限らない」とした上で、「(成績だけで)上から取っていったら、女性ばっかりになっちゃう。女の子の方が優秀なので」と、医学部受験における女性上位の傾向を指摘。さらに「(女性の医学部生比率が増えると)眼科医と皮膚科医だらけになっちゃうんです。やっぱり、女性が重たい股関節脱臼の患者を背負えるかって言ったら、女性では無理。外科医になってくれるような”男手”が必要なんです!」と、現場での深刻な「外科医不足」という実情を吐露したのだ。
これには、おおむね東京医大に対して批判的だったSNS世論からも、「医者に限っては、テストの優劣じゃ適正が決められない。そういう職業だから仕方ない」「これが現場の声なんだろうな。女医の増加の弊害は大きい」と西川の話に納得し、賛同する声も上がっていた。ただ同意した人もその多くも「事前に傾斜配点の告知がなかったのは間違いなく大学側の問題」との見方をしているようだ。
■ドクターXは夢物語か、外科の女性比率1.9%の現実
たしかに医療の現場では、「医師の総も増えているのに、”医師不足”は解消されない」という不思議な現象が起きている。厚生労働省は10年前から医学部の定員を大幅に増加させ、16年末時点の医師の総数は31万9480人で過去最多を記録した(厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」)。にもかかわらず、外科医をはじめ、内科医、救命医などを志望する学生も減少。特に外科医は数十年の内に、半数近くまで落ち込むとの見方もあるほどだ。
『日本の医療のなにが問題か』(NTT出版/吉田あつし)でも、西川の指摘同様「女性医師の診療科選択は皮膚科、眼科などに集中し、逆に外科を選ぶ率は低い」との見方が示されている。外科の勤務医にもなれば、「毎日7時~20時まで勤務する上、緊急手術が続いて何日も病院に泊まる生活が50代になっても続く」(病院関係者)とも言われ、これでは女性は体力的に選ぶことすら厳しい。外科医の女性の比率がわずか1.9%(厚労省・2014年)というのも頷ける話なのだ。
同医大の不正受験が孕む問題はただの「女性差別」だけではなさそうである。こんな『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)も逃げ出すような、労働環境自体を改善しないと、せっかくの女性の医療現場進出も弊害を生むばかりではないだろうか。