![FacebookのAIが人間の表情を認識する](http://vrinside.jp/wp-content/uploads/https-2F2Fblueprint-api-production.s3.amazonaws.com2Fuploads2Fcard2Fimage2F5837922F7ef45b25-d090-4d56-8bcd-71f9bb9648cb1.png)
未来のAIは人間の表情を認識する
SF作品に登場するAIは決められたことだけを行い、人間の感情を理解できないというのが典型的なキャラ付けの一つだ。ときには感情に振り回されることを人間の弱点と考えて克服させようとしたり、逆に自分も人間のような感情を得たいと考えたりもする。
Facebookが開発する将来のAIは人間のような感情を持つものになるかもしれない。AIが感情を持っていなかったとしても、ユーザに合わせて微妙な表情を作ってくれるようになることはありそうだ。同社の研究者たちは、AIに人間の表情を学習させている。
表情を理解するロボット
Facebookが提供するOculusRift用のVRアプリ『Spaces』では、ユーザの写真を元にコミカルな姿で生成されたアバターに様々な動作をさせることができる。ボイスチャットや文字による表現だけでなく、アバターの表情や身体を使ったジェスチャーで感情の表現が可能だ。
将来のコミュニケーションアプリでは、現在のSpaces以上に活き活きとしたアバターやNPCキャラクターが登場するようになるかもしれない。
言葉の理解を超えて
プログラムを学んだことがあるユーザならば知っている通り、コンピュータはユーザの意図を理解してくれない。人間にお願いする場合と違ってコンピュータはユーザの命令に逆らうことがないが、逆に気を利かせて頼んだ以上をしてくれることもないのだ。
最近では定形の命令をこなすだけでなく自然言語での会話が可能なチャットボットも登場しており、質問内容に対応する窓口を紹介してくれる自治体のチャットボットや語学学習に利用できるチャットボットもある。
だが、それらはユーザの入力したテキストを解析して返信を用意しているだけだ。そのため、言葉の裏にある意味を読み取ることはできない。
表情を理解するAI
Facebookの新しく発表された研究では、会話を行っている最中の人間の表情を真似ることができるようにボットをトレーニングしている。ボットのトレーニング用教材として使われたのは、Skypeでビデオ通話する人を映したYouTubeの動画だという。
表情を学習させることが目的なので、教材としてユーザの顔がはっきり映っている映像が使われた。
AIが見た人間の表情
AIに表情を教えたと言っても、研究者が「これは怒っている顔だ」「これは嬉しいときの表情だ」と感情によって表情を分類して教えるような方法は採られなかった。そうする代わりに、システム自身が表情に存在する「微妙なパターン」を見つけ出すように訓練したのだ。
人間の顔は個人差が大きく、我々が相手を見分けるときの大きな手がかりとなっている。しかし、このパターンは別人の間でも共通するか類似していることが多い。
こうしてパターンを学習することで、AIはどういった表情をすればより人間らしいのかを学ぶことができた。学習を行ったAIの表情アニメーションを使った表現能力は、人間が驚くほどのものだったという。
表情が使われる分野
FacebookのAIが人間のような表情を使う能力を身に着けたとしても、すぐに人型ロボットが作られることはないだろう。
現実的な問題として、多数の表情筋の動きによって作られる人間の微妙な表情の変化をロボットで再現するのは難しい。小さな違和感でも残っていれば、そのロボットは不気味に感じられてしまうはずだ。
CGキャラクターへの利用
ロボットの表情を作るのは難しくても、CGで描かれたキャラクターの表情ならば作ることができるはずだ。音声で応じてくれるだけでなく顔を持ったAIアシスタントであれば、親しみを感じるユーザも増えるのではないだろうか。
あるいは、VRを含むゲームに登場するキャラクターの表情がより人間らしいものになることも考えられる。喜怒哀楽をアイコニックに表現するだけでなく、もっと複雑で曖昧な表情を見せてくれるようになるだろう。
アバターへの利用
ユーザの表情を読み取ることのできるセンサーの開発が進めば、Spacesのようなコミュニケーションアプリのアバターを操作する方法として表情認識も利用できるようになるだろう。
毎回場面に合わせたエモーションアイコンを選択しなくても、ユーザの微妙な表情の変化をアバターが伝えてくれるようになるはずだ。
マーケティング
ユーザの表情からAIが感情を認識できるようになれば、マーケティングも変わる。
広告に対して不快に感じていればそのジャンルの広告を減らす、興味を持っていれば増やすといったターゲティング広告はより個人の嗜好を反映したものになるだろう。
ディズニーリサーチは先月、音声に合わせてCGキャラクターが自然に口パクをするアニメーションを自動生成する研究を発表している。
単にCGキャラクターの見た目を人間に似せるだけではなく、細かな動きをより違和感のないものにすることがこれからのトレンドになっていくのではないだろうか。
参照元サイト名:Mashable
URL:http://mashable.com/2017/09/05/facebook-ai-bots-expressions/
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