Oculus Researchが7月30日から8月3日までロサンゼルスで行われるSIGGRAPHカンファレンスで新ディスプレイテクノロジー「フォーカルサーフェイスディスプレイ」に関するリサーチを公開することを発表した。
このリサーチではVRでのイメージクオリティと焦点深度を向上し、よりナチュラルなビジュアルを実現することができる「フォーカルサーフェイスディスプレイ」と呼ばれるテクノロジーについてのものだ。
* 焦点深度は写真のピントが合っているように見えるフィルム面の位置の(前後)範囲のことであり、被写界深度は写真のピントが合っているように見える領域の広さのことである。
フォーカルサーフェイスディスプレイの仕組み
フォーカルサーフェイスディスプレイは奥行きの違う物体を見た時の人の目をまねしたもので、奥行きを再現するためフォーカルエリアをたくさん追加するより、この新アプローチは光がディスプレイに入る方法を、スペーシャル ライト モデュレイター(SLMs)を使って変え、ヘッドセットの3Dオブジェクトの周りのフォーカスを曲げ、奥行きを増加、空間の量を効果的に増大させる。
そして、これは結果的にイメージクオリティの向上とナチュラルな視覚体験をVRで再現することにつながる。
詳しく解説すると、現実世界では目が自然に焦点深度を調節し、近くのものを見ている時は遠くのものがぼやけ、逆に遠くのものを見ている時は近くのものがぼやけるようになっている。
しかし、VRではそれが再現できず、焦点がある一定の場所に固定されてしまっている。そして、これがVRの投入感を妨げている。
VRでは画像が一枚の平らなイメージとして表示されるためこのようなことがおきてしまう。
複数の画像をレイヤーし、指示する方法も開発されているが、それでも一枚一枚の画像の間のすき間ができてしまい、それが違和感を引き起こす原因になってしまう。
この新テクノロジーでは一枚の画像を立体的に曲げることで焦点を再現し、その際曲がってしまう部分を調節する。
さらに複数の半透明なイメージを指示することもできるため、遠くを見た時は近くがぼやけるというような現実の世界に忠実な視界をVRでも再現することができるようになった。
学際的アプローチ
普段Oculus Researchが表舞台にでることはないが、VRの視界をより向上させるフォーカルサーフェイスディスプレイのプレビュー行うため、Oculus Researchのサイエンティスト、Nathan Matsuda氏、Alexander Fix氏、Douglas Lanman氏がSIGGRAPHに登場する。
SIGGRAPHはコンピューターグラフィックを主に扱う、毎年行われているカンファレンスで、大手企業の新ソフトウェアが発表されたりと毎年注目が集まっている。
今年はロサンゼルスで7月30日から8月3日まで開催される。
Oculus Researchサイエンティスト、Alexander Fix氏はOculusブログでこう語っている。
「このプロジェクトを始めたころは間違いだらけだったので、このまま終わらないのではないかと思いました。
焦点をコントロールするのは、強度を変える、またはその他のコンピューターディスプレイに関する通常のタスクとは違い、正しい数学的定式化をするのには長い時間がかかりました。
私たちは全てを正しい方法にするということを目標に、テクノロジーをバックアップするエンジニアリングと数式とアルゴリズムを組み合わせました。
私たちはペーパーの上でだけ証明できるものだけ、またはプロトタイプの段階で偶然発見し、どのようにして動くのか詳細な理由が解明できないものでは、満足できなかったので、その部分をしっかりさせました。」
最先端のハードウェアエンジニアリングと科学的、医療的イメージング、コンピュータービジョンリサーチ、次世代VRのアルゴリズムを組み合わせ、このプロジェクトは今までにない学際的なアプローチを取っている。
このテクノロジーを使えば、普段メガネを使っている人が、メガネをつけなくてもVRを快適に楽しむことができるようになる。
フォーカルサーフェイスディスプレイが完成されたコンシューマープロダクトとして使えるようになるには、まだ長い時間がかかりそうだが、またVRに関する新しいアイデアが生まれたことにより、今後のリサーチの方向性の幅が広がった。
Oculus Researchはリサーチの結果をこのまま公開し続ける予定だそうだ。
参照元URL: https://www.oculus.com/blog/oculus-research-to-present-focal-surface-display-discovery-at-siggraph/
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