システムエンジニアとはどんな仕事をする人なのか詳しくまとめています。
システムエンジニアになる上で取得しておきたい資格、実際に働く人の給料など関連する情報を網羅して解説しています。これからエンジニアを目指したい、プログラマーとの違いを知りたいと思っている人は、ぜひ知っておきたい内容でしょう。
どんな勉強を始めたら良いのか分かるはずです。
目次
- システムエンジニアとは
- システムエンジニアの種類と仕事内容
- システムエンジニアの平均年収
- システムエンジニアになるには
- システムエンジニアに関連した情報処理技術者試験の資格
- システムエンジニアになる上で読んでおきたい本
- システムエンジニアに関連したITSSの職種まとめ
- 自分で手を動かしたい人はプログラマーを
システムエンジニアとは
システムエンジニアはどんな仕事をする人でしょうか。同じような職種のプログラマーと比較して述べましょう。
プログラマーは与えられた設計書に従って適切なプログラミング言語を用いてプログラムを作成する人です。ITについて限定的な知識を持っているだけでも役に立ちます。
システムエンジニア(SE)はプログラミングだけでなく、システム全般について構築の責任を持つ人です。
お客様にヒアリングをしてお客様の要求に基づくシステムの仕様を固め、システムの全体像の設計をし、プログラムの詳細仕様を詰めてプログラマーに渡します。
また、出来上がったプログラムをテストし、システムがエラーなく動くようにテスト段階の管理をします。
システム開発の上流から下流に至るまでの作業を行い、最終的な製品をお客様に渡すまで、すべての作業を責任もって行う人です。
家の建築に例えれば、プログラマーが大工さんだとすると、SEは設計士や現場監督に当たります。
システムエンジニアの種類と仕事内容
日本の一般的な企業では、入社してすぐにプログラマーとして働くことになります。
何年か経験を積んでくると、今度はシステムエンジニアとしての仕事を任されます。通常は5~6年の経験が必要ですが、仕事の種類によっては2~3年でシステムエンジニアになることもあります。
システムエンジニアは一般的にプログラミングの前段階である設計(基本設計とかシステム設計という)を担当しますが、設計のさらに上流工程である企画・要求分析段階を担当するSEを特に上級SEということがあります。
従来は、「プログラマー、SE、上級SE」という用語が一般的でした。上級SEは誰でもなれるものではなく、発注側の担当者や、大規模な仕事を一括して請け負うSI事業者のプロジェクト全体を統括する人がなるのが普通でした。
最近では、経産省の「ITスキル標準(ITSS)」という職種分類が主にメーカーやソフトウェアベンダーの間で普及してきており、名称もそれに従ったものに変更されることが多いようです。
プログラマーに相当する初級レベルを卒業したエンジニアは各種の職種に分かれます。
主に客先の仕事を受注して構築する人を「アプリケーションスペシャリスト」、従来の上級SEに相当する役職を「ITアーキテクト」といいます。また、ネットワークやデータベースのような専門性を追求するエンジニアを「ITスペシャリスト」といいます。
SEはこのどれかになりますが、このほかに「プロジェクトマネジメント」という職種もあります。
SEを何年か経験すると、開発の仕事とは関わりのない人員管理や予算管理などの仕事をする管理職の仕事に就くことが多かったのですが、プロジェクトマネージャーはSEと管理職を統合した職種で、開発プロジェクト全体の責任を持ち、そのうえで人員や予算管理もする役割を持っています。
システムエンジニアの平均年収
「平均年収.jp」によると、30代前半のシステムエンジニアの平均年収は511.7万円となっています。
また、「年収ラボ」によると、平成27年のシステムエンジニアの平均年収は591万円( 平均年齢38.0歳)となっています。
また、厚生労働省の平成24年『賃金構造基本統計調査』によると、平均年齢36.4歳のシステムエンジニアの年収が537.6万円です。
総合すると、企業の規模や開発対象分野により多 少の違いはありますが、システムエンジニアの平均給与は500万円代と考えてよいでしょう。
システムエンジニアになるには
システムエンジニアとして働くために必要なスキル・資格
セキュリティの知識
システムを作成するために必要な技術力としては、ハードウェア及びソフトウェア全般の知識、ネットワークやデータベースの知識、また最近では、特にセキュリティの知識が要求されます。
また、システムを構築するためにはウォータフォールモデルでのシステム作成経験が重要です。
これら技術力を身につけるためには経産省の情報処理技術試験が最適です。
それも最低でも応用情報技術者の資格を取得することが必要です。基本情報はIT業界で働くための最低限必要な資格で、主にプログラマー向けの資格です。
SE向けには応用情報、できれば高度の資格を持っていれば最適です。
応用情報を取得した後は、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストなどの専門性を追求するよりも、プロジェクトマネージャなどの管理側のスキルを身につけるほうがいいでしょう。
コミュニケーション能力・管理能力
SEになるためには、これらの技術力のほかにコミュニケーション能力および管理能力が大切です。
コミュニケーション能力は、主にお客様とのやり取りのときに必要となります。お客様の要望を聞くためのヒアリング/インタビュー能力、お客様に提案するためのプレゼンテーション能力。
ここには当然、お客様の本音を引き出すための雑談力やビジネスの常識などのいわゆる人間力も必要となってきます。
コミュニケーション力はチーム内でも活用できます。日本の企業ではチームで仕事をすることが多いため、チーム内で自分の仕事の内容を説明したり、他人に適切に指示したりする力が必要です。
また、チームメンバーの悩みを聞いたり相談に乗ってあげたりしてチーム全員の意思統一をし、仕事を成功に導くための人間力が必要となります。
システムエンジニアに関連した情報処理技術者試験の資格
情報処理技術者試験は経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している国家試験です。
試験は年2回、春と秋に行われます。全国至る所で実施され、従業員の取得を目的とした対策講座を開く企業もあります。
各試験はそれぞれ対応した資格名に「試験」が付きますが、ここでは省略します。また、各試験の合格者は対応する資格を所持しているとみなされますが、仕事をするためにその資格が必要かどうかとは関係ありません。
あくまでその能力があるかどうかを判定するため の一助と考えた方が良いでしょう。
基本情報技術者
ITに携わる人なら当然持っているべき資格。ITに関する基本的な知識・技能を持つこととされます。
応用情報技術者
システムエンジニアになるには最低持っていることが要求される資格。独力でITソリューショ ンの企画立案やシステム構築ができる能力を持ちます。
ITストラテジスト
主に企業の経営戦略に基づいたIT戦略を策定する人。ITを活用した事業革新や業務改革を推進する役割を持ちます。
システムアーキテクト
主にシステムの上流工程を扱い、顧客の業務ニーズに基づく要件定義や基本設計を担当する人。具体的なアーキテクチャの設計を行い、開発全体を主導します。
プロジェクトマネージャ
プロジェクト全体に責任を持ち、品質・コスト・納期のすべてに対し管理を行う人。ITに強くマネージャ的な働きが得意な人が向いています。
以下「スペシャリスト」と名の付く資格は、固有の専門領域において卓越した技術と経験を有する人に与えられる資格です。
ネットワークスペシャリスト
大規模なネットワークシステムに関する広範な知識・経験を有し、実際のネットワークシステムの企画・構築・運用ができる人。
データベーススペシャリスト
企業活動の根幹を支える膨大なデータベースを効果的に活用できるように企画・設計・構築を する人。安全性・信頼性を考慮して企業データを管理する責任者として重要な役割を持ちます 。
エンベデッドシステムスペシャリスト
組み込みシステム開発基盤の構築およびハードウェアと連携した組み込みシステムの構築を主 導する人。最適なリアルタイム性能を発揮するハードウェアとソフトウェアのトレードオフを 実現します。
システム監査技術者
システムエンジニアの業務範囲には含まれないが、安全性、信頼性、効率性の観点からシステムを監査し、有益な助言をする人。通常は社長直下の部署に所属します。
情報セキュリティマネジメント
情報システムの利用部門でのセキュリティのリーダー。情報セキュリティ維持のための種々の 施策を実施します。
情報処理安全確保支援士
企業全体のセキュリティを確保する ために企画・開発・運用を推進する人。旧「情報セキュリティスペシャリスト」が名称変更しています。
システムエンジニアになる上で読んでおきたい本
上で述べたようにシステムエンジニアのスキルは、技術的なものと精神・考え方のようなものからなります。
SEの基本的な考え方については1~3が、技術力については4の応用情報技術者のテキストが、エンジニア全般に通じる要件定義書や企画書などを書くための文章力を身につける参考書としては5がおすすめです。
1. 「SEの基本」山田 隆太著
SEの基本
これからIT業界に就職しようとする人が、SEとはどんなことをする人かを知るために適当な本です。
2. 「SE力 自ら成長し最高の成果を上げる方法」(Kindle版)駒井 明喜著
SE力 自ら成長し最高の成果を上げる方法
SEの業務をするためには「ソリューション力」だけでなく、「コミュニケーション力」、「リーダーシップ力」が必要であることを分かりやすく示しています。
3. 「新版 SEを極める50の鉄則 入門編」(日経BP Next ICT選書)(Kindle版)馬場 史郎著
新版 SEを極める50の鉄則 入門編
若干記述内容は古いですが、長年SEに関わってきた筆者の考えを50の鉄則としてまとめ上げています。
技術面より人間関係に力を入れるべきという筆者の哲学が書かれています。
4. 「ニュースペックテキスト 応用情報技術者 平成29・30年」TAC情報処理講座著
ニュースペックテキスト 応用情報技術者 平成29・30年 (情報処理技術者試験)
フルカラーの図を多用しており、技術の解説が非常に分かりやすく、内容も試験対策だけに終わらず、深いところまで記述してあります。
5. 「レポートの組み立て方」(ちくま学芸文庫) 木下 是雄著
レポートの組み立て方 (ちくま学芸文庫)
同じ著者による名著「理科系の作文技術」に比べ文科系向きの題材を扱っていますが、著者の主張はどちらもほぼ同じで、論理的な文章を書くことが要求されるエンジニアの参考になります。
システムエンジニアに関連したITSSの職種まとめ
IPAのITスキル標準センターで策定・定義された情報処理に関わる人材の類型に関する標準で 、11の職種、35の専門分野からなります。各職種はレベル1~レベル7までが定義されており、 レベル3以上が専門職種とされます。
ITアーキテクト
業務システムを構築する際にソリューションの全体構成を設計し、システムの基本デザインを 決定する役割を担当します。
プロジェクトマネジメント
システム開発を実施するうえで予算、人員を含めた全体計画を策定し、システム開発の開始後 はプロジェクト全体を推進する責任を負います。
ITスペシャリスト
データベースやネットワークなどの要素技術に関する専門的な知識・スキルを持ち、プロジェクトを後方から支援します。
アプリケーションスペシャリスト
顧客の業務要件に基づいて業務アプリケーションを設計・構築します。基幹業務に関わる大規模なシステム開発に参画することもよくあります。
ソフトウェアデベロップメント
システム構築の際に使われるパッケージソフトの企画・開発を行います。
システムエンジニアの将来性
IT化が進む現代社会では、どんな仕事にもコンピュータ化の要求が生じますので、システムエンジニアの活躍の場は世の中あらゆるところにあるといって差し支えありません。
今まで手作業で行っていた仕事をコンピュータを導入することで効率化したいという要求はどんな業界にも存在します。これからもどんどん新しい分野が生じてくるに違いありません。
これからは次の二つの分野での仕事が期待されます。
一つは組み込みの分野です。
最近ではIoT(Internet of Things)という用語に代表されるように各種機器に組み込まれたコンピュータプログラムを開発する仕事が主にメーカーに多く発生しています。もう一つはビッグデータの解析や人工知能(AI)の分野です。
これらのスキルを持ったエンジニアは現状不足しており、スキルを身につけておけば今後の活躍の場も増えてくるでしょう。
自分で手を動かしたい人は、プログラマーを
システムエンジニアの仕事は、設計や現場監督という話をしてきました。
これからエンジニアを目指したいという人の中には、自分で手を動かして0から1を生み出したいと思っている人も多いはず。システムエンジニアは、業務システムに携わることが多いですが、プログラマーとして働くのであれば、普段使っているアプリやゲームの開発にも関わることができます。
VRやAR、ロボットやウェアラブルデバイスなど、これから新しい技術もたくさん生まれるはずです。新しい技術を身につけ、新しいモノを作りたいと思っている人は、プログラミング言語の習得をおすすめします。
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