川崎市立旭町小学校は、市南東部に位置し、近年急速に児童数が増加しています。同校は、2019年度以降、「川崎市教育情報化推進モデル校」や「かわさきGIGAスクール構想推進協力校」、さらには2023年度からは「リーディングDXスクール協力校」として、GIGAスクール構想の実現に向けてICT教育の実践を市内に発信しています。特に2020年からは市内の各校に先駆けてGoogle for Educationの活用を始め、多くの成果を挙げています。
このように、同校の教員たちはChromebookやGoogle Workspaceを使用し、さまざまな教育活動にデジタルツールを組み込む努力を続けています。国語の授業では、振り返りを積み重ねるためにGoogleスプレッドシートを利用し、思考をまとめるためにはGoogleドキュメントやGoogleスライドを積極的に取り入れています。久我教諭は、「子どもたちがChromebookを文房具のように扱い、自分たちでわからないことを調べ、自然に思考を展開していく場面が増えた」と語っています。
また、Google Jamboardの活用も進められており、その際には単体で使うのではなく、Googleスライドで作成した資料を背景に表示させることで、子どもたちがより思考しやすい環境を整えています。このようなアプローチにより、他の児童の活動や学びを共有し合う機会が増え、協同学習が促されています。
さらに、同校では個別最適な学習ツールとしても効果を発揮しており、従来の一斉授業のスタイルから、これまで以上に児童が自分自身の課題を設定し、適切なツールを選ぶスタイルに変化しています。この取り組みでは、児童それぞれの方法によってGoogleドキュメントを共同編集していく活動が高い効果をもたらしています。
教員の宮毛氏が語るエピソードも象徴的です。「学校で話すのが苦手な子がいたが、動画は先生しか見ないから投稿しても大丈夫と伝えたところ、その子から自分の声を聞くことができた。この経験を通じて、Google for Educationを導入して本当によかったと感じた」と語り、各児童が自分のスタイルで情報を伝え合うことが促進されている点を強調しました。この環境の変化により、国語の授業では感想文を書く際に他の児童の作品を見ながら学ぶ機会が増え、学びを深める手助けとなっています。
職員会議や学年会、教材研究、研修などの校務でもGoogle Workspaceを活用し、業務の効率化を図る工夫が続けられています。同校ではGoogle Chatを使ったコミュニケーションが広まり、連絡事項の共有や業務の引き継ぎが効率的に行えるようになっています。その結果、教員間の混乱が減り、情報伝達がスムーズになりました。
また、授業公開も積極的に行われており、市内の他の校長やGSL(GIGAスクール構想推進教師)だけでなく、市長や教育長、さらには海外からの視察者も訪れています。こうした取り組みは教員たちの自信を高め、さらなる工夫や改善につながる好循環を生んでいます。
執筆:DXマガジン編集部