コンピューターサイエンス卒の“6桁初任給”神話が音を立てて崩れています。AIツールの普及とAmazonやMicrosoftらの採用抑制で、新卒の就職市場は一変しました。NYTが伝えた現役学生たちの生の証言をもとに、その理由と影響を追います。
AIと大量応募が招く“破滅のループ”
パデュー大学のマナシ・ミシュラさんは、CSの学位を取り卒業しても技術職の内定はほとんど得られず、面接の連絡があったのは飲食店だけだったと語っています。彼女は最終的にテクノロジー企業の技術営業の内定を得て、そちらに進む決断をしました。
オレゴン州立大出身のザック・テイラーさんは、5,762件の技術職に応募し、面接は13回あったもののフルタイムの内定は得られませんでした。統計でも22〜27歳のCS専攻やコンピューター工学専攻の若年層の失業率は6.1%と7.5%で、他学位の約3%を大きく上回っています。
背景には、AIコーディングツールがコード生成やデバッグを担うようになったことと、Amazon、Intel、Meta、Microsoftなどの採用抑制や人員削減があります。加えて求職側もAIで履歴書や応募フォームを自動化し、採用側はAIで大量応募をフィルタリングするため、創造性や学習意欲が評価されにくくなる“AIによる選別”の問題が浮き彫になっています。結果として、多くの新卒が技術営業や非技術分野へ進路を変えざるを得ない事例が出ています。
AIと採用縮小が同時に進み、新卒の就職環境は急変しています。学生たちの実情は、教育と企業のあり方の見直しを突きつけています。
詳しくは「ニューヨークタイムズ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權