少子高齢化が加速する日本では、中小企業の経営者が直面する人材不足は深刻な課題です。この状況の中、株式会社ハッピーカーズが実施した調査は、AIがどのように業務を再構築し、どの職種が影響を受けているのかを明らかにしています。
調査結果によれば、圧倒的な数の中小企業経営者が人材不足を実感しており、特にIT・ソフトウェア業界ではその傾向が顕著です。この背景には、慢性的な採用難や属人化問題があるため、AI導入が緊急課題として浮上しています。

調査に参加した経営者のうち、IT・ソフトウェア業でのAI導入は39.7%と高い数値を示しましたが、建設業やサービス業では導入が進んでいないことが分かりました。特に、建設業では52%の経営者が「導入予定はない」と回答しています。これは、業種ごとの期待値や体制の違いを映し出しています。
具体的な業務領域に目を向けるとデータ入力・管理業務」が最も多く、続いて「事務・総務・庶務業務」や「会計・経理業務」が上位を占めています。AI導入による業務効率化は、こうした定型的・反復的な業務に最も顕著に現れることが分かりました。
AI導入後に人員削減を行った企業が48.9%に達する一方で、「人員削減に繋がるわけでは」と考える経営者も多いです。この対立する意識が、企業戦略に影響を与えています。
コストや人材不足に加え、AI活用方法に対する理解不足が導入の壁となっています。調査では、導入コストが高いことや、社内に詳しい人材がいないことが、経営者の大きな不安要素に挙げられました。また、効果が見えにくい「浸透しない」といった声もあり、導入後の活用フェーズにも課題があることがうかがえます。
AIが進化し続けても、顧客との信頼関係構築やクレーム対応といった人間ならではの業務は重要視されています。このような業務には、共感力や臨機応変な判断が不可欠です。
AIが普及する中、重要視されるスキルとして「コミュニケーション力」「問題解決能力」「創造力」が浮かび上がりました。中小企業の経営者は、これらのスキルを持つ人材を採用・育成することが、中長期的な成功に繋がると認識しています。

今回の調査から導かれる結論は明確です。AI導入による業務削減は避けられない流れではありますが、それと同時に人間特有の価値が再評価される時代が到来しています。今後はAIと人間の役割分担を再設計し、企業の持続的な成長をいかに実現するかが経営者に求められる課題となるでしょう。
詳しくは「株式会社ハッピーカーズ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松