経理業務に携わる実務担当者221名を対象としたアンケートで、管理職の88.2%が「部下の育成に何らかの悩みを抱えている」と回答しました。若手・中堅社員の育成に関しては、方針や戦略が「ある」「一部ある」を合わせて約88%となる一方で、「一部ある」が多数を占め、育成が体系的ではない実態がうかがえます。属人化解消のための取り組みについても、実施しているとする回答が約86%にのぼるものの、「どちらかというと行っている」が多数で、実効性や積極性に課題が残るとの指摘があります。

部下のモチベーションに関しては、管理職の約81%が高い評価をしていますが、同時に「学習意欲が低い」が最大の悩み(43.1%)として挙がっており、日常業務への意欲と自己研鑽への意欲の間にギャップが存在することが明らかになりました。OJTに依存する育成モデルの限界も指摘されており、これが育成の均質化やスピードに影響を与えているとの見方が示されています。

新人研修については、「整備されている」「一部整備されている」を合わせて約85%が何らかのプログラムを持つと答えていますが、「一部」であることが多数派であり、包括的で継続的な研修体系には至っていない可能性が示唆されました。初期教育の不十分さがその後の育成課題につながり、OJT負担の増大や早期戦力化の遅れを招くリスクがあると説明されています。
デジタルスキルについては、部下が十分なスキルを持っていると感じる管理職が約79%いる一方で、約89%が「デジタルスキルの向上が必要」と回答しており、現状の業務遂行に支障はないが将来に向けたスキル強化が求められているという認識の乖離が確認されました。調査は、単に「デジタルスキル」と一括りにするのではなく、現状維持のためのスキルと将来必要となる高度なスキルを区別して育成戦略を立てる必要があるとまとめています。
総じて、本調査は若手・中堅社員の育成、デジタルスキル向上、業務の属人化解消に関して多くの組織が共通の構造的課題に直面していることを示しています。管理職の育成負担や悩みはエンゲージメント低下や生産性低下、従業員定着率の悪化など組織全体のリスクとなり得るため、部分的な対応では解決が難しく、体系的かつ戦略的なアプローチが不可欠であると結論づけられています。
詳しくは「株式会社NTTデータビジネスブレインズ」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松