今年もやってきたクリスマス。サンタクロースもプレゼントを用意し、準備をしていることでしょう。
アメリカ軍とカナダ軍からなる防空組織NORAD（北米航空宇宙防衛司令部）では1955年以来、毎年サンタの動きを全力で追跡し、NORADのサンタ追跡サイトを通じてリアルタイムに居場所を発信しています。2022年も67回目の任務に向け、準備万端のようです。
普段は弾道ミサイルや戦略爆撃機、戦闘機など、北アメリカ（アメリカとカナダ）に脅威を与える飛行物体をキャッチし、必要に応じて迎撃する任務についているNORAD。最近では役目を終えた人工衛星やロケットの残骸など、宇宙を漂うゴミ（スペースデブリ）の監視も行っています。
北アメリカ防衛の最前線部隊であるNORADが、サンタの追跡を始めたのは1955年のこと。当時司令部のあったコロラド州の新聞に、あるデパートがクリスマス企画として「サンタと話せる電話」の番号を掲載。それに誤りがあり、たまたま司令官直通の電話番号と一致していたというのです。
普段なら、国防総省から緊急事態を知らせてくる電話。ところがこの時は、間違い電話で小さな子の声で「サンタさんですか？」と言ってきたものですから、当時の司令官、シャウプ大佐は驚きました。
最初はイタズラ電話かと思ったものの、また改めて「ねぇ、本当にサンタさん？」と聞かれたシャウプ大佐は、冷静に自分はサンタさんではなく、サンタさんの動きを見守っている人だと伝えました。その後もかかってきた同様の電話に、大佐は同じ対応を続けたといいます。
前年の出来事を面白いハプニングと捉えたシャウプ大佐は、翌年のクリスマスから「サンタ追跡」のテレホンサービスを開始。これには普段馴染みのない防空部隊の広報活動、という側面もあったようです。
現在では人工衛星も使って全力でサンタを追跡しているNORAD。最新のGPSシステムも提供し、サンタが良い子の家をピンポイントで探せるよう、サポートも行っています。
サンタも長年のサポートに感謝しており、空軍基地を表敬訪問して追跡・サポートに使われる戦闘機に体験搭乗したことも。普段のソリとは違う乗り心地はどうだったのでしょうか。
NORADでは2021年、サンタのソリに関するデータの最新版を公開。出発時のプレゼント総量は6万トンにも及び、最高速度は星の光よりも速い（超光速飛行が可能）としています。本人にとってはトップシークレットと思われるサンタの体重も、260ポンド（117.9kg）と発表されています。
2022年も日本時間の12月24日18時から25日にかけ、世界中を飛び回るサンタの動きを追跡する予定。NORAD司令部に開設される追跡センターでは、各部隊に所属する軍人と一般からのボランティアが揃い、24時間態勢でサンタの現在位置を発表し続けます。
NORADのサンタ追跡サイト「NORAD Tracks Santa」は日本語での表示にも対応。これと同時に公式Twitter（@NoradSanta）や公式Facebookページ（@noradsanta）、Instagram（noradtrackssanta_official）、スマホアプリ（Android／iOS）でも情報が提供されます。
＜出典・引用＞
アメリカ空軍 プレスリリース
アメリカ州兵 プレスリリース
カナダ国防省 プレスリリース
画像：NORAD／USAF／アメリカ宇宙軍
（咲村珠樹）
