個体差はあるものの猫はもともとお水の少ない砂漠で育ったルーツを持つため、ほかの動物に比べ水分摂取量が少ない動物です。
そのため、猫はほかの動物よりも便秘になりやすいと言われています。
人間でも便秘になるとお腹が張ってつらいものです。
猫だって便秘になるとお腹が張ってつらくなってしまいます。
また猫のお腹がつらくなるだけではなく、猫の便秘には怖い病気が隠れていることもあるのです。
つらい猫の便秘の原因と解消法をご紹介します。
1.いつから便秘?
猫の排便リズムは、猫により異なります。
我が家の二代目猫は1日1回必ず朝にうんちをしますが、先代猫は2日に1度の排便頻度でした。
よく2~3日猫のうんちが出なかった場合は便秘が疑われる、と書かれているのを目にします。
しかし先代猫のように2日に1回程度でも定期的に排便をしている場合は、2日間うんちをしなくても猫が便秘になったとは判断しにくい場合もあります。
逆に二代目猫のように、毎日決まった時間にうんちをする猫が2日間うんちをしない場合は、その猫にとっては便秘気味なのかもしれません。
『●日うんちをしていないから便秘』だと考えるのではなく、猫の排便リズムが大きく普段と変わっていたら便秘かもしれない、と考えると分かりやすいかもしれません。
ただし、4-5日うんちが出ない猫の場合は便秘気味、もしくは他の何らかの原因があると考えてもいいでしょう。
単純に猫がうんちをするそぶりがなく、排便リズムが狂っているのであれば、便秘かもしれません。
また、細長いうんちや少量しかうんちが出ない場合も便秘の可能性があります。
しかし、猫が何度もトイレに入りうんちをしようと力んでいるのにうんちが出ないときや、排便中に痛がる時には、何か別の病気が隠れている可能性があります。
できるだけ早めに病院に連れて行きましょう。
2. 猫の便秘の症状
・いつもよりうんちをする回数よりが少ない
・4-5日、もしくはそれ以上の期間うんちが出ない
・ウサギのような少量の硬いコロコロうんちや少量の細長いウンチが出る
・うんちに艶がなく乾燥している
・トイレに何度も行って力んだり、時間がかかっているがうんちが出ない、うんちの量が少ない
以上のようなそぶりを猫が見せる場合は、猫が便秘になっている可能性があります。
3.猫の便秘の原因
猫が便秘になる理由は、本当にたくさんあります。
割と簡単に改善を望めるものから、治療などが必要な状態まで、猫が便秘になる理由をご紹介します。
●水分不足
そもそも猫が便秘になりやすい原因は、猫があまり水分を取らないことにあります。
水分不足になると、猫のうんちが固くなり、出にくくなってしまします。
猫の水分不足は便秘だけでなく、腎臓病や尿結石のきっかけにもなります。
体重4-5kgの猫で、200ml(コップ1/2-1杯)くらいの量を目安に、飲水量をチェックすることから始めてみましょう。目盛り付きのウォーターボウルなどがあると、毎日の健康管理に便利ですね!
●トイレが汚い・臭い
猫は、とてもきれい好きと言われています。
野生で暮らしていた頃、うんちやおしっこなどの自分の臭いで敵に自分の居場所を知られないようにすることで、身を守りながら生活をしていました。
そのため、猫はトイレからうんちやおしっこの臭いがすることを嫌う習性があるそうです。
トイレの汚れやにおいが気になりうんちを我慢することで排便リズムも崩れやすくなり、便秘に繋がることがあるようです。
トイレをこまめにチェックし、きれいに保つことで便秘が改善することもあります。
猫が気持ちよくトイレできるように、トイレはなるべくきれいに保ちましょう。
● 食生活の変化
人間も食べているもので排便の状態が変わるように、猫も食生活の変化で排便の状態が変わることは少なくありません。
ごはんを変えることにより、一時的もしくは慢性的にうんちが柔らかくなることもありますが、逆にうんちが硬くなることもあり、便秘になることもあるようです。
猫のごはん変更後に急に猫が便秘になったのだとしたら、ごはんの変更をきっかけに猫のうんちが出にくくなっている可能性があります。
しばらく様子を見て、体質に合わない場合はごはんを前に食べていたごはんに戻すか、猫の水分量を増やすと便秘が解消する可能性があります。
● 運動不足
猫は適度な運動をしないと腸の動きがにぶくなることがあります。
また、運動不足が原因でうんちをする際に必要な筋力が弱くなり、便秘を引き起こすこともあるようです。
猫が高齢になると、あまり遊ばなくなり運動をしたがらなくなります。また、加齢に伴う筋力の低下も見られるようになります。
しかし、猫の健康のためには猫の年齢にあった運動は必要なもの。
猫の年齢や病気などに考慮もしながら適度に運動はさせるようにしましょう。
●ストレス
猫はストレスを感じやすい繊細な動物です。
引っ越しや模様替えなどでもストレスを感じうんちがス
ズに出なくなることもあります。
また、トイレを新しいものに買い替えたり、砂をいつもと違う種類やにおいのものに変更したり…いつもとトイレの様子が違うだけで、デリケートな猫の場合は警戒心からトイレを我慢したり、便秘になることがあるようです。
引っ越しなどによるストレスは、時間と共に猫が慣れてくると、便秘も解消に向かう可能性が高いようです。
しかし、なかなか便秘や体調が改善しない、猫の食欲不振が続く、ぐったりしているなどの様子が見られるのであれば、病院に連れて行きましょう。
●排出時に痛む
人間の『ぢ』のように肛門に裂傷があるときには、猫が痛みで排便しなくなることもあります。
実は我が家の先代も肛門の裂傷で便秘になった経験がります。
痛みが強かったらしく、少量のうんこをするたびに痛みから暴れまわっていました。
猫の肛門裂傷は化膿することもあるため、早めに病院に連れて行きましょう。
また肛門が切れているだけでなく、猫の肛門や直腸に腫瘍やポリープがあり、痛みを感じているのかもしれません。
猫が便秘と痛み、両方を併発しているようであれば早めの受診をしてあげてくださいね。
●腸機能の低下
動物はみんなそうかもしれませんが、年齢を追うごとに体内の機能は低下していきます。
そのため、猫も加齢により腸機能が低下し、便秘になることがあります。
猫が高齢になると、便秘以外にも様々な症状が出てきます。
気になる症状がある場合には、獣医師に相談しましょう。
● 誤飲
猫が食べ物以外の胃腸で消化できないものを飲み込んでしまうと、その異物が腸でつまってしまい、腸閉塞を起こすことがあります。
猫が腸閉塞を起こすと、最終的に腸が腐り壊死を起こす危険性があります。
また、腸が癒着することで腸が破裂してしまうこともあるそうです。
腸が壊死してまった場合や、腸が破裂した場合、猫の命も危険です。
猫が便秘をしており、猫が誤飲した可能性もあるようならすぐに猫を病院に連れて行きましょう。
1日でも病院に連れて行くのが遅れると猫が死に至る可能性も否めません。
●品種や骨格的な問題
しっぽのない猫として有名なマンクスは、尾てい骨に先天性の異常がある場合、腸に障害が起きやすく、便秘になりやすいと言われています。
また、遺伝的に骨が元々腸を圧迫するような形をしている猫や、猫が事故などにより神経障害や骨格の変形がみられるときにも便秘になりやすいそうです。
4,猫の便秘の予防法・家でできる対処法
猫の便秘は、家でケアすることもできます。
猫の便秘を改善するために日々、気を付けてあげなくてはいけないことをまとめました。
◆水分量を増やす
猫の便秘の原因は水分不足であることが多いため、しっかり猫に水分補給をさせることが一番大切です。
常に新鮮なお水を用意し、複数個所の水飲み場を設置するのもよいでしょう。
またごはんをドライフードだけでなく、ウエットフードも与えることで猫の摂取できる水分量を増やすことも出来ます。
◆遊んであげる
猫の運動不足解消には、猫と遊んであげることも重要です。
おもちゃなどを使い、適度に猫を運動させましょう。
猫とのコミュニケーションにもなるので、猫の体力が続き、飼い主さんのできる範囲で一緒に遊ぶようにしてあげてくださいね。
◆ サプリメント
最近では猫の便秘解消サプリも数種類出ています。
慢性的に猫が便秘になっている・猫が高齢で腸の機能的な便秘が考えられる場合には、猫にサプリを飲ませるのも有効でしょう。
猫の体に合うものを選んであげてくださいね。
◆マッサージ
猫の便秘解消にはマッサージも有効です。
我が家の先代もシニア以降は便秘気味で、毎日のように動物病院で教わったマッサージを行っていました。
猫の便秘解消マッサージはとっても簡単。
猫のお腹を上に抱っこし、猫の下腹部に優しく「の」の字を書くように撫でます。
『の』の字マッサージをすることで、腸が刺激され、うんちが出やすくなるようです。
5,猫の便秘の病院での治療法
◆投薬
猫が便秘になっている原因が、誤飲や病気などではない場合、食事療法や投薬で様子を見ることがほとんどです。
投薬による治療の場合、整腸剤や下剤、浣腸など薬が出ることが多いようです。
我が家の先代は、液体タイプの下剤が出されましたが、ごはんに混ぜるとすんなり食べたため、投薬に困ることはありませんでした。
猫の整腸剤や下剤、浣腸は猫に与えていい薬剤や体重に合わせた投与量が決められています。自分で判断し、人間の薬を与えたり、量を変更しないようにしてくださいね。
◆手術
猫が腸閉塞を起こしている時や、腫瘍が原因で便秘を起こしているのであれば、薬で便秘を解消することは難しく手術が必要になります。
また、骨格などが原因で便秘になっている時も手術での改善がみられることがあります。
猫の年齢や体調を踏まえて、かかりつけの獣医師とよく相談しましょう。
【監修 小禄獣医師】