犬が飼い主を見つめる理由とは
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犬を飼育している方の中で、愛犬と一緒に散歩に出かけた際などに、用を足している愛犬がその間ずっとあなたのことを見つめてきた経験はありませんか?なぜ犬は用を足しているときなどに、飼い主さんをじっと見つめてくるのでしょうか。
愛犬がじっと見つめてくるとこちらもじっと見つめたくなり、思わず笑みが出てしまいます。犬はどんな理由で飼い主を見つめることがあるでしょうか。
犬が飼い主さんのことを見つめるのは、「愛情」「要求」もしくは「敵意」のいずれかです。犬は言葉でコミュニケーションを図ることができないので、飼い主さんに何かを伝えたいときにはアイコンタクトでじっと見つめてきます。
愛情の場合
犬はリーダーの行動をじっと見つめる習性をもっています。じっと見つめて観察することで、自分がすべきことを判断しているのです。
ペットとして飼われている犬の場合、リーダーは飼い主さんです。飼い主さんを見つめることで、飼い主さんが何をするかよく観察しているのです。この場合、犬は落ち着いた様子でじっと飼い主さんを見つめているので、愛情を表現していると言えるでしょう。
要求の場合
犬が首を上下に動かしたり、尻尾を左右に振ったり、口を開けながら飼い主さんのことを見つめていたりする場合は、何か要求がある時です。
愛犬が見つめて要求してくる時に毎回おやつをあげていると、犬はそれを学習して飼い主さんの言うことを聞かなくなってしまい、立場が逆転してしまう危険性があるので注意しましょう。
愛犬が見つめる行為自体が信頼されている証拠なので、愛犬の要求に対しては優しく声をかけて対応することで、愛犬は安心し落ち着くことでしょう。
敵意の場合
敵意で見つめている場合は、目線を外さないようにじっと見つめているだけでなく、歯をむき出すなどの仕草も同時に見せることが多いので、すぐに敵意を抱いていることが分かるはずです。
犬社会では目を合わせないことが、他の犬に対して敵意をもっていないことのあらわれとなります。ですから、初めて会う犬の目はじっと見つめないようにしましょう。
犬がウンチをするときに見つめてくるのはなぜ?
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散歩に出かけると、犬はたいていウンチをする前にソワソワして落ち着きがなくなってきます。そのため、飼い主さんの多くは愛犬がウンチをしたくなるタイミングに気づくのではないでしょうか?
そしていざウンチをするとき、愛犬が飼い主さんのことをじっと見つめてくることがあります。この行動にはどのような意味があるのでしょうか?
ウンチをしている自分を見て欲しいという欲求
犬は人間が大好きで、特に飼い主さんにはいつも褒めてもらいたい!と思っています。
おそらく多くの方は犬を飼い始めた時、家の中でトイレのトレーニングをしたのではないでしょうか?初めはトイレシートの上に上手におしっこやウンチが出来ずに苦労したことでしょう。でも訓練の結果、愛犬が初めてひとりでトイレシートの上に用を足せた時は感動し、思いっきり褒めたことでしょう。
実はその時の経験を犬はすべて覚えています。つまり、おしっこやウンチをトイレシートの上にするたびに飼い主さんが褒めてくれることが大好きなのです。
そのため、散歩中にウンチをするときも「しっかり見ててね~」「ちゃんとウンチしたよ~」「褒めて~」などの飼い主さんへの甘えの気持ちからじっと見つめているのではないかと言われています。また「ここでウンチをしてもいい?」という確認の意味も込められているのではないかと考えられています。
野生時代の名残の影響
そもそも犬は、昔は野生で生活していました。野生ではおしっこやウンチをする際、常に敵の目を気にしながら用を足す必要がありました。特にウンチをするときは無防備な状態になります。
その本能が現代の犬にも名残として残されており、リーダーでもある飼い主さんに「今からウンチをするから敵が来ないように見張っていて!」という訴えの気持ちから、飼い主さんをじっと見つめていると考えられています。飼い主さんをじっと見つめることで、自分の不安な気持ちをアイコンタクトで伝えているのです。
また、ウンチをすると敵に気づかれてしまうという不安から「早くウンチを片付けて~」と訴えているとも言われています。ですから愛犬がウンチをしたら、褒めながら素早くウンチを片付けてあげると愛犬はホッとすることでしょう。
犬が見つめるときに分泌される幸せホルモン
近年行われた研究によると、犬と人間が見つめ合うことで驚きの効果をもたらす事が分かりました。それは、信頼関係が築かれている愛犬と飼い主さんの間で安心感が高まることで、体内に「オキシトシン」というホルモンが分泌されるということです。
このじっと見つめ合う行動により、人間の体内にはオキシトシンが3倍も増加することが近年の研究で解明されました。もちろん犬の側にもオキシトシンが分泌されています。
”愛情ホルモン”、または”抱擁ホルモン”とも呼ばれているオキシトシンは、絆を強めたり、心を癒したり、体の痛みを和らげるなどの働きがあります。このことから犬は人間の親友になれることも分かっています。
犬がウンチの前にクルクルと回る理由とは?
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犬は飼い主さんを見つめてウンチをする前に、必ずクルクルと回ってからウンチを始めます。このクルクルと回る行動にはどのような意味があるのでしょうか?
敵がいないかどうかを確認している
①敵がいないかどうかを確認している
ウンチ前にクルクルと回る行動には、周囲に敵がいないかどうかの安全確認をしていることが関係していると言われています。
現在ペットとして飼われている犬の場合、散歩中にウンチをするときは飼い主さんがいつも側にいるので命が狙われるという危険はまずありませんが、野生時代の頃は常に天敵がいたため危険がいつも潜んでいました。そのため、常に安全確認をすることが習性となっていました。
現代の犬にも野生時代の犬の名残が残っているため、ウンチをするときにクルクルと回る行動をしています。
排泄時は最も無防備状態になるから
犬はウンチをするとき、最も無防備な体勢になります。犬の弱点は後ろ足と言われていますが、排泄する体勢はこの弱点である後ろ足を全く動かすことができないので、最も敵に狙われやすく、一番危険な体勢と言われています。
そのため、排泄をする前や用を足している最中の犬はとても緊張感が走っている状態です。ですから、信頼関係のある愛犬だとしても、排泄前にクルクルと回っている時や用を足している最中はそっと見守ってあげましょう。
南北の方角を探している
犬がウンチの前にクルクルと回る行動には、危険から身を守ることに加え、地球の磁気気軸が関係していることがある研究により解明されました。
この研究では37品種の70匹の犬を対象に、1,893回の排便と5,582回の排尿をする際の体軸の方向の測定と、地磁気の変化の調査が行われました。その結果、犬は南北を好むことと、東西に体を向けることを避けていることが分かりました。
磁場が不安定なときはこの行動を見せなかったことから、犬は地磁気強度の変化よりも、東西南北の極性の変化に対応していることを結論づけています。つまり、犬がウンチの前にクルクルと回ることで、体の軸を地磁気軸に合わせているのです。
犬が寝床でクルクルと回る理由
犬がクルクルと回るのは、ウンチをする前だけではありません。多くの飼い主さんが、愛犬が就寝前に寝床でクルクルと回る行動を見たことがあるのではないでしょうか。この行動にはどのような意味があるのでしょうか?
これは快適な寝場所を作るための行動で、ウンチをする前に回る行動同様、野生時代の名残と言われています。野生時代の犬は、雑草の生い茂っている場所で寝ていました。その際、寝床を自分の好みの快適な場所にするために、クルクルと回って草や地面を踏んで整えていたようです。
この習性が現代の犬にも残されており、就寝前には寝床をクルクルと回っているようです。