複数の国内大手サービスプロバイダの全国規模プロジェクトに採用され、国内のIP&光伝送ソリューション市場でシェアを拡大させているリボン・コミュニケーションズ(Ribbon Communications)。
アメリカ テキサス州に本社をおくリボン・コミュニケーションズが、日本国内でシェアを拡大させているアドバンテージはなにか―――。
都内で開いた説明会では、リボン・コミュニケーションズ 日野達基 カントリーマネージャー、サービスプロバイダ営業部 宮下泰彦 本部長、システム技術部 桑原良和 シニアマネージャーが登壇。国内のトレンドを教えてくれた。
IP&光伝送ソリューションのトレンド
いま通信事業者では、柔軟性と経済性に優れた大容量ネットワークがいままで以上にニーズがある。
とくにラストワンマイルとコアをつなぐ中間ネットワーク(ミドルマイル)は、TCO(Total Cost of Ownership)の削減だけでなく、光伝送レイヤーとIPパケットレイヤーを最適化することで大容量・低遅延・耐障害性に加え、さまざまな上位アプリケーションとの親和性をもったルーティング性能も求められるようになった。
こうした状況のなか、通信キャリアはいままで以上に幅広いベンダーのソリューションに目を向け始め、リボン・コミュニケーションは日本で実績ある音声インフラ事業の強化に加え、2020年にIP&光伝送ソリューション市場に参入した。
3製品で IP&光伝送ソリューション展開
リボン・コミュニケーションズは、「光トランスポートシステム Apollo」「IPルーティングシステム Neptune」「ドメイン・オーケストレーター Muse」の、3つ製品で、IP&光伝送ソリューションを展開。
この3製品で、IP光ネットワークの最適化・自動化、ミドルマイルのTCO削減の実現をめざせるという。
光トランスポートシステム「Apollo」は、業界最高水準の高密度・高効率 WDM/OTN トランスポートシステムで、最新のテクノロジー(5nm DSP)による400G/800G の長距離か、高速の1.2T対応を実現。オープン化にも積極的に対応する。
IPルーティングシステム「Neptune」は、実績あるIPスタック/NOSによる安定したIPルーティングシステムで、マルチサービス・インテリジェント・エッジ
として最適、用途に応じた多様なフォームファクターを備えてている。
ドメイン・オーケストレーター「Muse」は、L1-L3(マルチレイヤー)、マルチドメイン、マルチベンダー対応。ネットワークの設計・構築・運用の自動化を実現させる。
音声事業のトレンド
リボン・コミュニケーションズは、サービスプロバイダー側の音声事業トレンドについても言及。
固定電話網(PSTN)の廃止にともない、各社IP相接に必要なゲートウェイ設備は導入済みで、大手キャリアを中心にIP相接用の設備も含め、音声設備のクラウド化が進み、今後はクラウドネイティブ・プラットフォームへの移行も検討されていくという。
また、MVNO のフルMVNO化に加え、音声サービス提供に必要な IMSコア導入へ向けての動きもある。
これにより、MVNO はより柔軟なサービス提供ができ、大規模な MNO向けではなく、運用監視が容易で、柔軟にスケール可能な、中小規模に適した IMSコアが求められている。
いっぽうエンタープライズ側は、コロナ禍によりリモートワークが増え、音声を含むユニファイドコミュニケーション導入が進み、その後のオフィス回帰の流れにより一時その勢いが鈍化したようにも見えるが、今後も PBX からユニファイドコミュニケーションへの置き換え需要は続くと予想している。
SBC で柔軟なマイグレーションを実現
リボン・コミュニケーションズは、SBC(Session Border Controller)や複数UCプラットフォームに対応した SBCaaS をはじめ、4G/5G向けのIMS、ネットワークやトラブルシューティングの分析ツール、ロボコールによる電話詐欺の対策ソリューションなど幅広い製品・サービスを展開。
SBC(Session Border Controller)は、Microsoft Teams、Zoom をはじめとするユニファイドコミュニケーションサービスやコンタクトセンターサービスを実現するための VoIPゲートウェイとして利用可能。
既存 PBX を残したまま、新規ユーザだけ UC に収容したり、徐々にすべてのユーザを UC に移行したりなど、企業のニーズに応じて柔軟なマイグレーションを実現させる。
Ribbon Connect はスキル不要、かんたん接続
リボン・コミュニケーションズの UCaaS接続用 Cloud SBC サービス(SaaS)「Ribbon Connect」は、Carrier Cloud Peering モデルと Enterprise Access モデルを提供中。
その特長は、SBC の特別なスキル不要、ポータル経由でかんたんに接続できる点。
また、SIP 相接だけでなく、Carrier Cloud Peering の場合、APIインテグレーションも提供している。
同社は今後、携帯電話を UCaaS のネイティブ端末化させ、FMCサービスを可能とする Ribbon Connect Mobile も提供予定。
さらに、MS Direct Routing / Operator Connect / Zoom Provider Edge / Cisco Webex など、複数 UCaaSプラットフォームとの接続に対応中で、対応プ
ラットフォームは今後も増やしていくという。