はじめに
長野県松本市の象徴とも言うべき「松本城」。
現存する五重六階の天守を持つ城最古の「松本城」は、雄大な北アルプスの山々を背景にして、お堀にその漆黒の姿で魅せる、優美なお城です。
JR松本駅から徒歩約15分ほどですので、散策に立ち寄るのもぴったり。
早速その魅力をご紹介します!
長野県観光スポット国宝「松本城」その魅力①他に類の無い「複合式天守」
現在、天守を持つお城は日本に12しか存在しません。
そしてそのうち、五重六階という天守を持つ最古のお城が、「松本城」です。
400年ほど前、戦国時代に築かれた天守は、戦に備えるための様々な機能を施されました。
まさに、要塞なんです。
しかし、時を隔て泰平の時代に、全く戦いの備えを持たない辰巳附檜・月見檜が併築されています。
建築された時代も別、様式も違うという、「複合式天守」は他に類のない貴重なお城。
そんな築城の歴史を紐解きながら「松本城」の魅力を見て行きましょう。
室町時代、松本城の前に、ここには信濃国守護の小笠原氏の支城の深志(ふかし)城がありました。
そこを、天文19年(1550年)に甲斐の武田信玄が攻め落とし、信濃攻略の拠点にします。
その後、追放された小笠原長時の三男、貞慶は本能寺の変の直後に徳川家康の勢力を背景に深志城を奪回し、松本城という名前に改称しました。
天正18年(1590年)には、江戸の徳川家康の動きを監視するために、豊臣秀吉が石川数正を松本城に配します。その後何代にも渡り、当主が入れ替わっています。
そんな戦国時代も終わり、徳川家の泰平の時代になると、第3代将軍家光が都落ちする際、長野の善光寺を参拝し松本に立ち寄るということになり、当時の藩主、松平直政がそれを迎えるため、風雅な辰巳附檜・月見檜を建てました。
家光の善光寺参拝は道中の崖崩れのために結局は中止になりましたが、戦国時代と泰平時代の融合という類のないお城が残ることとなったのです。
長野県観光スポット国宝「松本城」その魅力②「カラス城」と呼ぶ人もいる黒いお城
長野県観光スポット国宝「松本城」その魅力③「漆黒」の理由
現存する五重の天守のお城は2つ。もう一つが「姫路城」です。
別名「しらさぎ城」と呼ばれる真っ白な姫路城と対峙するような、この黒い「松本城」。
実は、豊臣秀吉が建てた「大阪城」も真っ黒ですよね。
秀吉は黒いお城を好んだようです。
なので松本城の当主だった石川氏が、秀吉に忠誠を表す為に黒くしたと言われています。
また、壁の上部は白漆喰仕上げですが、当時の技術では白漆喰で塗ると雨によって崩れる恐れがあったようです。
天守の屋根で防ぎ切れない雨から守る役割が、耐久性のある漆黒の下見板だったわけですね。
更に黒いもう一つの理由として、戦いの際に鉄砲を使用するのに目立たせないということもあったのだと考えられます。
雪の多いこの地にこの黒いお城があるのもなんとも趣がありますね。
白い雪とのコントラスト、冬の風物詩とも言えるかもしれません。
ちなみに、「カラス城」の呼び名は、どうやら間違った俗称のようですよ。
長野県観光スポット国宝「松本城」その魅力③傾いた天守伝説
実は、松本城は江戸時代から明治時代にかけて、天守が傾いていたことがあります。
当時の写真も残っています。
そしてそれにはある伝説が残っています。
貞享3年(1686年)は信濃(長野県)一帯は大不作。
高くなる年貢に対し、庄屋の多田加助が仲間と共に郡奉行へ直訴しました。
それにより大勢の百姓が松本城下に集まり、奉行所に押し寄せたそう。
その時の藩主、水野忠直は参勤交代のため不在。
幕府に知られるのを恐れた家老は、事を治めるために、加助らの要求を呑みました。
しかしこの騒ぎを扇動したとして、加助と仲間たちは捕らえられ、処刑されることとなります。
加助は、それでも民の為になったことで、悔やんではいませんでした。
ところが、処刑の間際に、実は約束は反故(ほご)にされていたことを知ります。
松本城が見える高台に縛りつけられた加助は、処刑される際、松本城をぐっと睨みつけながら、「二斗五升、二斗五升…」(約束の年貢米の量)と念仏を唱えるように叫んだとか。
するとその時、恐ろしい地響きがして天守が西に傾いた……!というお話です。
実際には、明治の頃に、すでに傾いていた天守を見て作られた伝説だそう。
天守台の中の支持柱が腐ったことが原因。
その後、明治と昭和の大修理により、傾斜は戻されました。
松本城にはその他にも幾つかの伝説が残っています。
お城を訪れた際にはぜひ、そんな伝説と背景を確認してみてはいかがでしょうか♪
長野県観光スポット国宝「松本城」その魅力④四季折々のイベントとお城のライトアップ
松本城の広場では、一年を通して、お城をバックに様々なイベントが行われています。
4月の上旬であれば「夜桜会」や「国宝松本城桜並木 光の回廊」など、桜とお城が美しくライトアップされます。
夏には「太鼓まつり」や「薪能」などが行われています。
夜のお城を背にした特設ステージ上で繰り広げられる、演奏や演劇。
特にかがり火が照らし出す幽玄な能の世界は、時代をトリップしたような、なんとも不思議な魅力を感じさせるイベントです!
9月には、ライトアップされたお城と秋の名月を見ながらの「月見の宴」。
10月には「信州,松本そば祭り」「人形飾り物展」「古式砲術演武」「菊花展」。
11月には「吟詠剣詩舞」「奉射弓道大会」その他イベント盛り沢山です。
1月下旬には「氷彫フェスティバル」なども楽しめますよ。
ぜひ、公式HPなどで詳しいイベント情報を確認してみてください。
また、松本城は年に数回、特別なライトアップがあります。
ピンクリボン運動や世界糖尿病デーの際には、ピンクやブルーにライトアップされることも。
特別な意味を表している美しいライトアップもぜひ注目してみて下さい。
◆松本城
住所:390-0873 松本市丸の内4番1号(松本城管理事務所)
電話番号:0263-32-2902
開場時間:通常 8:30~17:00(最終入場は16:30)
※G.Wと夏季は時間変更あり
休館日:12月29日〜31日
「松本城」公式HPはこちら
おわりに
「松本城」は、要塞としての天守は特に階段が急になっています。
ですので、なるべくスカートは控えた方が良いかもしれませんね。
また、手荷物は少なめにして行かれることをオススメします。
もちろんロッカーもありますので、そちらをご利用されてもいいですね。
それにしても、当時の武士はどんな風にその急な階段を駆け上がったのでしょう!
想像するだけでも気持ちが高まる、歴史ロマンがいっぱいです♡