はじめに
10年ほど前に見た羽田沖の灯台に恋をして、灯台マニアになったという不動さん。その後は日本で唯一、定期発行されている灯台専門フリーペーパー「灯台どうだい?」を刊行するまでになった彼女に、全国からおすすめのかわいい灯台を教えてもらいました。灯台という、旅での目的がひとつ増え、写真映えもするので旅の新たな楽しみになること間違いなしです。
Text:鷲頭文子
Interview Photo:中川文作
ドライブにおすすめ!島にある灯台
Photo:不動まゆう
──国内外問わず灯台に会いに行くことを目的とした旅をしてこられたなかで、灯台巡りをしたことがない人にとっても行きやすく、印象に残るかわいい灯台というとどこが思い浮かびますか?
山口県の角島(つのしま)灯台は良いですよ。この灯台は1等レンズという大きなレンズが入っている、日本でたった5基しかない灯台のうちの1基なんです。さらに現役灯台の中ではたった3基(定義の仕方は諸説あり)しかない無塗装の灯台でもあります。御影石の風合いがとてもきれいですよ。登ることもできるので、お子さんでも楽しめますね。また、この灯台がある角島は橋でつながっていて車で渡ることができるのですが、この橋もきれいなのでドライブにもってこいです。
◆角島灯台
住所:山口県下関市豊北町角島2343-2
電話番号:0837-86-0108
参観時間:5~9月9:30~16:30 10~4月~16:00(悪天候時や業務の都合により中止する場合あり)
定休日:年中無休
カップルや家族、誰とでも楽しめる灯台
Photo:不動まゆう
──そのようにレジャー感覚で楽しめる灯台はほかにもありますか?
犬吠埼灯台も楽しみ方がたくさんあり、1日中いられます。角島灯台もそうですが、こちらもリチャード・ヘンリー・ブラントンという、“日本の灯台の父”と呼ばれるスコットランド人が設計した灯台。灯台の見た目そのものも美しく見ごたえがあります。さらに現在は廃止されてしまった霧笛舎も残っているんです。霧笛というのは濃霧の時に灯台の光が届かなくなるため、代わりに大きな音によって灯台の位置を知らせていた信号のことです。ほとんどの霧笛は取り壊されてしまっているので、文化的な遺産と言えます。
また、この灯台には灯台の資料展示室も併設されていて、迫力のあるレンズを見学できます。私が灯台を好きになったきっかけである、東京灯標のレンズもここに収められています。
岬の突端にあり、海を一望できますし、灯台に登ることも可能です。すぐ近くには灯台グッズを扱う『プリズム』という雑貨屋さんがありますし、さらに銚子駅の近くには灯台の焼き印を押したドラヤキを製造している和菓子屋さん『龍泉堂』があるので、“灯台お土産”を買うのに困りません!
◆犬吠埼灯台
住所:千葉県銚子市犬吠埼
電話番号:0479-25-8239
参観時間:8:30~16:00(悪天候時や業務の都合により中止する場合あり)
定休日:年中無休
Photo:不動まゆう
──インスタ映えするような、フォトジェニックな灯台ならどこがおすすめですか?
まずは沖縄の残波岬灯台です。ここは戦後建てられた灯台でそれほど古いものではありませんし、LU-Mという一体型の回転灯器に代わってしまってレンズは残っていません。美しいレンズが鑑賞できないのは残念なのですが、それを補うのに十分な素晴らしい立地なんです。高さ30mの断崖の突端に立っているので、海と灯台という大パノラマが見られます。晴れた日の夕日は息ののむほどの美しさ。また宮古島の平安名埼灯台も人気のある灯台です。リゾート地でもあるので、旅行に出かけたらぜひ灯台にも足を伸ばしてほしいです。
◆残波岬灯台
住所::沖縄県中頭郡読谷村字宇座
電話番号:098-958-3041
参観時間:5~9月9:30~16:30、10~4月9:00~16:00
定休日:年中無休
雪国ならではのボーダー灯台
Photo:不動まゆう
──灯台に地域差というのはないのですか?
地域色がでるといえば、デザイン灯台です。例えば、小田原の防波堤灯台は、「小田原提灯」
を模したデザインになっていますし、ロケットの打ち上げで有名な種子島の防波堤灯台は
まさにロケットのような姿をしているんです。こうした灯台たちのことをデザイン灯台と
いって、海上保安庁や航路標識協会さんが、地元の方々と協力してアイディアを出し合って、
建築しています。
また、雪国では冬季、灯台の背景が雪景色に代わるため、白い塔では紛れてしまいます。そ
こで黒や赤の縞模様をつけている灯台もあります。しましま灯台も素敵なのでぜひ見に行
ってほしいですね!
その中でもおすすなのは秋田県の男鹿半島にある入道埼灯台。広々と芝が植えられているその先に黒白の灯台が佇む姿はとても美しくて、まるでフランスの風景のようなんですよ。冬は雪深くなるので行けませんが、夏の青い空、白い雲とこの灯台のコントラストはぜひ見ていただきたいです。近くで美味しい海鮮丼も食べられますから、ドライブがてら訪ねてみてくださいね。
◆入道埼灯台
住所:秋田県男鹿市北浦入道埼字昆布浦
電話番号:090-1931-9706(4月下旬~10月)
参観時間:9:00~16:00(悪天候時や業務の都合により中止する場合あり)
定休日:無休(11~4月は休業)
Photo:不動まゆう
白黒の灯台も素敵ですが、赤白の灯台もキュートです。たとえば北海道の白神岬灯台などもそうですね。北海道は広いので灯台めぐりも壮大な計画を立てなくてはなりませんが、ここは函館からも近いので行きやすいと思います。
◆白神岬灯台
住所:北海道松前郡松前町
参観時間、定休日:※参観灯台ではありません。敷地内に入ることはできませんが、周囲から眺めることは可能。
おわりに
――それぞれの灯台の魅力から、灯台周りの観光まで紹介してくださった不動さん。どれも楽しそうでぜひ行ってみたいですね! こちらのお話や不動さんの旅先での工夫にあふれた旅グッズなどを「旅色Seasonal Style」の「旅のワードローブ」ページで読むことができます! 不動さんの登山並みの重量がある旅グッズの中身を詳しく紹介しているので、ぜひ読んでみてください。