通勤から休日のショートツーリングまで生活密着で大活躍してくれる原付2種スクーターは引っ張りだこの存在です。それだけに各メーカーとも力を入れて開発していますが、そんな激戦区にヤマハは、NMAX ABSをモデルチェンジして6月28日に発売を開始しました。どのように進化したのでしょうか。
ヤマハNMAX ABS ……368,500円
ヤマハの現行原付2種スクーターは、アクシスZ、シグナスX、NMAX、それに3輪のトリシティ125というラインナップになっています。かなり充実していますね。そうした中でNMAXの立ち位置はというと、最上級スクーターということになると思います。そういう意味では、ホンダPCXといいライバル関係にあるモデルということができます。そのNMAXがモデルチェンジしました。
基本的なスタイリングデザインは従来型を踏襲していますが、一段と洗練されて高級感も高まったように感じます。MAXシリーズの特徴でもあるブーメランをモチーフにしたサイドカバーもボディに見事に融合していてスタイリッシュさも併せ持っています。
骨格であるバックボーンフレームは、さらなる高剛性化を図って、φ60.5mmのメインパイプにφ45mmのダウンチューブとした新設計フレームが投入されました。これによってスポーティで軽快なハンドリングと扱いやすく安定性の高い走行性を実現しているということです。
エンジンも新設計となりました。優れた出力特性とトルク特性を実現し、全域にパワフルで扱いやすい“BLUE CORE” 水冷4ストSOHC4バルブ単気筒エンジンを採用しました。またこのエンジンには VVA(可変バルブ)機構が採用されていて、優れた加速性能を発揮するものとしています。このように動力性能が高いだけでなく、燃費、環境性能も高いのがBLUE COREエンジンの特徴です。
この新設計エンジンには「Smart Motor Generator system」も導入されました。これによりセルスターターのような始動時のキュルキュル音はなくなり、一段とスマートになりました。またアイドリングストップ機構も採用されていて、当然のことながら再始動時にもキュルキュル音はなく、アクセルを開ければ何事もなかったかのようにスタートできます。さらに、前後独立のABSに加えて、トラクションコントロールまでも装備しています。走行性はもちろん、快適性、安全性に至るまで、まさに至れり尽くせりといった印象です。
モデルチェンジでさらに進化したNMAXですが、実はもうひとつ、話題となっている新システムが採用されました。Y-Connectと呼ばれる専用アプリをスマートフォンにインストールすると、NMAXに搭載されているCCU(Communication Control Unit)と連携し、さまざまな情報をメーターに表示したり、スマートフォンに車体情報を表示するなどできるのです。ヤマハの国内モデルに初採用のシステムなのですが、いかにも現代的で高い付加価値があると思いました。
具体的にどのような表示機能があるのか簡単に記してみます。
スマートフォンの画面を「Revs Dashboard」として利用することが可能になります。スロットル開度、エンジン回転数、加速度、エコ運転状況を表示することができるのです。
走行距離、経過日に基づいて、エンジンオイルの交換タイミングを知らせてくれます。またバッテリーコンディションも表示します。
燃費を日別、月別に確認することが可能です。自分のライディングをデータとして客観的に確認できるというわけです。
車両から問題や故障を検出した場合、スマートフォン画面に情報を表示します。問題や故障を検出した時間、位置などを事前に指定したメールアドレスに自動で送信できます。
広い駐輪場や、出先で駐車場所が分からなくなった時などに、最終駐車位置を確認できます。位置情報を表示してくれるわけです。
さらに、専用アプリY-Connectによってスマートフォンとメーターが連携します。SNS通知、通話着信など、多彩な情報をメーター内にアイコンで表示してくれます。また、メーター内の時計の自動調整機能も備えているので、連携さえさせれば時計をいちいち調整しなくてすむというわけです。
これらの機能を使いこなせるようになれば、走る、移動するという基本的な行動に、楽しさ、面白さ、そして快適性がプラスされると思います。日常での利便性が高まるのはもちろん、ツーリングではさらに便利で、さまざまな状況に際し役立ってくれることまちがいありません。
次回はいよいよロードインプレッションをお届けします。
主要諸元
認定型式/原動機打刻型式:8BJ-SEG6J/E32TE
全長/全幅/全高:1,935mm/740mm/1,160mm
シート高:765mm
軸間距離:1,340mm
最低地上高:135mm
車両重量:131kg
燃料消費率(*1):国土交通省届出値
定地燃費値(*2):48.7km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値(*3):46.9km/L(クラス1)1名乗車時
原動機種類:水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
気筒数配列:単気筒
総排気量:124㎤
内径×行程:52.0mm×58.7mm
圧縮比:11.2:1
最高出力:9.0kW(12PS)/8,000r/min
最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/6,000r/min
始動方式:セルフ式
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:1.00L
燃料タンク容量:7.1L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式:TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V, 6.0Ah(10HR)/YTZ7V
1次減速比/2次減速比:1.000/10.208(56/16×35/12)
クラッチ形式:乾式,遠心,シュー
変速装置/変速方式:Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比:
2.386〜0.748/無段変速
フレーム形式:バックボーン
キャスター/トレール:26°30′/100mm
タイヤサイズ:(前/後)110/70-13M/C 48P(チューブレス)/130/70-13M/C 63P(チューブレス)
制動装置形式:(前/後)油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後):テレスコピック/ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:LED
乗車定員:2名