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VWの人気SUV、ティグアンがマイナーチェンジを受けた。輸入車のCセグSUVの定番モデルとも言えるティグアンは、VWのSUVラインアップで言うと、T-クロス、T-Rocの兄貴分だ。より精悍になったルックスだけでなく、中身も大きく進化したティグアンに試乗した。
TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
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フォルクスワーゲン(VW)ティグアンは、VWの説明によれば「世界で最も成功しているVWのモデルのひとつ」だ。2019年の生産台数は91万926台で、欧州市場におけるベストセラーSUVだという。2代目にあたる現行モデルは2017年にデビューしているが、その年に生産台数は跳ね上がった。2016年の54万8687台に対し、2017年は76万9870台を記録している。それだけ2代目が支持されているということだ。
その2代目ティグアンがマイナーチェンジし、国内への導入が始まった。4年分の時代進化が織り込まれている。SUVらしい力強さが印象的な表情はマイナーチェンジ前のイメージを受け継いでいるが、ヘッドライトは最新のLEDマトリクスヘッドライト“IQ.LIGHT”に切り替わった(一部グレードは設定なし。以下同)。フロントカメラで対向車や先行車を検知し、複数のLEDを個別に点消灯して最適な配光を行なう。ひと足早く進化したパサートにも投入されている技術である。ヘッドライトのグラフィックとバンパーのデザインが一新された効果で、新しいティグアンはより精悍さが増した印象だ。
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ダイナミックインジケーターや新VWロゴの採用もパサートのアップグレードと同じ内容。リヤはコンビネーションランプがLEDになり、モデル名がVWロゴ下のセンター配置になった(これもパサートと同じ)。テールゲートは電動式だ。
インテリアでは、最新世代のインフォテインメントシステムに切り替わったのがハイライト。エアコンの操作パネルは、温度調整がダイヤル式に替わり、指でなぞって調節する方式に変わった。見栄えは確かにいいし、新しくなった感はあるが、ブラインドタッチには不向きで賛否両論だろう。
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同一車線内全車速(〜210km/h)運転支援システムのTravel Assist(トラベルアシスト)は全車標準で装備される。先に進化したパサートに次ぐ採用だ。ドライバーがステアリングを握っているかどうかの判断は、従来のようにステアリングへの入力トルクで検知するのではなく静電容量式のセンサーで検知するため(他社も含め採用例は増える傾向)、ステアリングに軽く手を添えているだけで済むのはありがたい(本人は握っているつもりなのに、アラートで邪魔される機会は減る)。
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新デザインのステアリングホイールには、センターパッドの左側にTravel Assistボタンが設置され、起動しやすくなっている。という触れ込みだ。短い試乗時間で早速試してみたが、初見ですぐに認識できるほどわかりやすくはないし、Cancel専用のボタンがないのも、取説を見ずに操作する向きには不親切だ。まぁ、オーナーになって繰り返し使うようになれば問題ないのだろうが。
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エンジンはガソリンのみの設定。従来は1.4L直4直噴ターボだったが、マイナーチェンジ版は1.5L直4直噴ターボに変更されている。最高出力は110kW(150ps)/5000-6000rpm、最大トルクは250Nm/1500-3500rpmだ。低負荷領域で2気筒を休止して効率を高める(燃費向上効果がある)アクティブシリンダーマネジメント(ACT)を搭載する。
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組み合わせるトランスミッションは6速DCT(VWの呼称ではDSG)から7速DCTにアップグレードされている。6速DCT時代のデータが手元にないので数値での比較はできないが、7速化の恩恵で高速巡航時のエンジン回転数は低くなっているはずで(100km/h走行時のエンジン回転数は目測で1800-1900rpm程度だった)、高速巡航時の燃費向上に寄与しているはずだ。
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VWは乾式単板クラッチを備えたDCTと湿式多板クラッチを備えたDCTを許容入力トルクや車両サイズで使い分けている。それぞれ一長一短があり、効率(燃費)面で有利なのは乾式。制御面で有利なのは湿式だ(乾式は発進や微低速時の変速でギクシャクする)。ティグアンが搭載するエンジンの最大トルクは250Nmなので、許容入力トルクの面では乾式でもカバーすることは可能。だが、とくに欧州市場ではボートを載せた台車などを牽引したりするトーイング要件から、ティグアンは湿式タイプを搭載している。6速時代もそうだったが、マイナーチェンジ版の7速DCTも湿式だ。発進や微低速時の変速はスムーズで、ティグアンの車格に合っている。
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VWにはT-Cross(ティークロス)、T-Roc(ティーロック)、Tiguan(ティグアン)のTを頭文字に持つ3種類のSUVがある。T-Crossは実用性を重視したコンパクトSUV。5月13日にガソリンエンジンモデルが追加されたT-Rocは、スポーティな仕立てが特徴のクロスオーバーSUV、そしてティグアンは正統派スモールSUVの位置づけだ(スモールといっても、全長×全幅×全高は4515×1840×1675mm)。
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VWにはT-Cross(ティークロス)、T-Roc(ティーロック)、Tiguan(ティグアン)のTを頭文字に持つ3種類のSUVがある。T-Crossは実用性を重視したコンパクトSUV。5月13日にガソリンエンジンモデルが追加されたT-Rocは、スポーティな仕立てが特徴のクロスオーバーSUV、そしてティグアンは正統派スモールSUVの位置づけだ(スモールといっても、全長×全幅×全高は4515×1840×1675mm)。
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3種類のSUVに乗った経験から記すと、T-CrossからT-Roc、ティグアンへと均等にステップアップするのではなく、ティグアンだけステップアップの幅が大きいのを実感する。エクステリアやインテリアのムードも走りの質感も格段に上質。ひとつクラスが違うだけでこんなに世界が変わるのか、という意味では、旅客機のエコノミークラスとビジネスクラスの違いに近い。T-Cross/T-Rocとティグアンでは、歴然とした差がある。
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VW ティグアンTSI First Edition
全長×全幅×全高:4515mm×1840mm×1675mm
ホイールベース:2675mm
車重:1520kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 R4リンク式
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:EA211
排気量:1497cc
ボア×ストローク:74.5mm×85.9mm
圧縮比:10.5
最高出力:150ps(110kW)/5000-6000rpm
最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
過給機:ターボチャージャー
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:60ℓ
トランスミッション:7速DCT
WLTCモード燃費:14.3km/ℓ
市街地モード 11.4km/ℓ
郊外モード 14.4km/ℓ
高速道路モード16.1km/ℓ
車両価格○524万9000円