日本の3列シートのミニバンブームを支えてきた重要モデルがホンダ・オデッセイである。現行モデルは2013年デビューの5代目。すでにロングライフモデルになっている。同じ3列シートだが、違うアプローチを採ったのが2017年デビューのマツダCX-8だ。この2台の販売台数を比べてみる。
現行ホンダ・オデッセイは2013年10月発表の5代目モデルである。デビューから間もなく丸8年が経つロングライフモデルだ。2020年11月にマイナーチェンジを受けて鮮度を保っているとはいえ、日産エルグランド(2010年登場)ほどとは言わないが、8年はさすがに長い。
オデッセイは、「Lサイズミニバン」で、LLクラスの「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」、とMクラスミニバンの「トヨタ・ノア/ヴォクシー」「日産セレナ」の間、というポジショニングになる。
さて、現行オデッセイは売れているのか? 販売台数の推移を見ていこう。
ミニバンがブームだった1990年代から2000年代、その主役の一台は間違いなくオデッセイだった。2000年には年間12万台もオデッセイは売れたのだ。
上のグラフではちょっとわかりにくいので、色分けしてみた。
色分けされたところが、それぞれ「2代目」「3代目」「4代目」「5代目」モデルのモデルライフである。せっかくなので、どんなクルマだったかわかるように写真も入れてみよう。
ホンダの常として、フルモデルチェンジを受けると、「もしかしてクルマのコンセプトから変わってしまった?」と思うほど、大きな変更を受けて代替わりをする。
初代 全長×全幅×全高:4750mm×1770mm×1645mm ホイールベース:2830mm
2代目 全長×全幅×全高:4770mm×1795mm×1630mm ホイールベース:2830mm
3代目 全長×全幅×全高:4765mm×1800mm×1550mm ホイールベース:2830m
4代目 全長×全幅×全高:48000mm×1800mm×1545mm ホイールベース:2830mm
現行5代目 全長×全幅×全高:4830mm×1800mm×1695mm ホイールベース:2900mm
4代目と現行5代目では車高が150mmも違う!のだ。
それはともかく、車高を一気に80mmも下げて「カッコよくなった」3代目、同じ路線の4代目は、期待に反してあまり販売実績を残すことができなかった。3代目登場の翌年の9万8000台から販売台数は下がり始め、現行5代目(ピープルムーバーらしいパッケージングに戻った)でも最高3万2749台にとどまっている。
ミニバンというカテゴリーそのものの人気が下がってきたということもあるが、アル/ヴェル(アルファード/ヴェルファイア)は、人気と販売台数を伸ばしている。
「3列シートにミニバン以外の選択肢」マツダCX-8は?
アルファード/ヴェルファイア以外の高級上質3列シートを求める層がショッピングリストに挙げるがオデッセイとCX-8だろう。
この2台の販売台数を2018年1月から21年3月までグラフにしてみた。
グラフで見てわかるように、CX-8はオデッセイに対して販売台数で優位に立っている。オデッセイは2013年デビューでCX-8は2017年、デビュー年次が4年も違うのだから、当然と言えば当然とも言える。
2018年1月から2021年3月までの39カ月間で
オデッセイは4万5938台(月平均1178台)
CX-8は7万5980台(月平均1948台)
を売り上げた。
それぞれの月販目標販売台数は
オデッセイが1500台
CX-8が1200台
だから、オデッセイは300台ほど目標に対して未達、CX-8は750台上回っていることになる。
上位に、アル/ヴェルという「化け物」がいるから、単純に「Lクラス3列シート」のトレンドがミニバンからクロスオーバー(SUV)へ移りつつあるとは断言できないものの、やはり流れはだいぶ変わったと言える。
次は、「電動化」「CO2排出量低減」という流れが3列シート車にもたらす影響がどうなるか、だ。さて、どうなるか?