雨天時に嬉しいワイパー付き大型ウインドスクリーン(風防)とルーフを装備した、屋根付きの三輪ビジネスバイク「ホンダ ジャイロ キャノピー」。岡持ちを取り付けて出前仕様にしたり、トレッド幅を広げてミニカー登録しヘルメット無しで運転できたりと、ちょっと変わった存在だったりします。モーターファンBIKESでは、このディープなジャイロの世界を連載記事として掘り下げていきます。まず今回はジャイロキャノピーの変遷を振り返ってみましょう。

REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

取材協力●HVファクトリー(神奈川県横浜市) https://hvfactory.com/

ホンダ ジャイロキャノピーは二輪車とは“異質”の利便性と安定性を獲得した、革新的なスリーター

 ホンダ ジャイロキャノピーは、宅配車やコピー機などの巡回サービスでおなじみの原付三輪モデル。特に都市部では見ない日はないくらい、なくてはならない便利なシティコミューターとしてすっかり馴染んでいるのが特徴だ。



 外観はルーフ(屋根)からウインドスクリーン、フロントカバー、そしてフロア部から荷台にかけて、シンプルでダイナミックな個性溢れるスタイリングにデザイン。カラーリングは外装部のホワイトに対し、シートやインナー部をブルーorブラックに統一し、クリーンなイメージを演出。ヘッドライトは親しみやすい分離型2灯式を採用。フロント部の個性を際立たせるとともに、店名表示などの広いコマーシャルスペースも確保している。



 最大のポイントは、走行中の雨や風から身体を守ってくれる画期的なルーフ&ルーフと一体となった大型のウインドスクリーン。耐久性に優れたハードクリアコート処理を施すとともに、電動ウォッシャー付きダブルリンク式ワイパーを装備して、雨天時での広い視界を確保済みだ。



 ジャイロキャノピーの大きな変革期は2009年。新排ガス規制をクリアするため、既存の空冷2ストロークエンジンから、クリーンな水冷4ストロークOHC4バルブエンジン(ローラーロッカーアームの採用でバルブ駆動時のフリクションを低減)とし、吸気系はキャブレターから電子制御燃料噴射システム(PGM-FI)に変更された。



 上記に加え、前後輪に新設計の軽量なアルミ製ホイール、後輪のサイズを6インチから8インチに大径化、後輪のトレッドを65mm拡幅(495mm)し、前後輪のブレーキサイズをΦ130mmに大径化するなど、大幅な仕様変更を受けている。

写真左)視界を広くとったワイドなウインドスクリーンと高く設計されたルーフを組み合わせ、開放感のある運転スペースに。また電動式ウインドスクリーン・ウォッシャーとダブルリンク式ワイパーを装備し、雨天時の走行でも良好な視界を確保。写真右)3輪ならではのワイドトレッド(後輪)により、低速時でも極めて安定感のある走りを実現。また、後輪の浮きを極力抑えるスイング機構や、旋回時に生じる後輪の回転差を調整するディファレンシャル・ギアの装備によって、コーナリングや右左折時などでもすぐれた走行安定性を発揮。

 エンジンは原付一種となる単気筒49ccを搭載。無段変速(Vマチック)機構との組合せにより、扱いやすくてスムーズな走行を実現。また、旋回時に生じる後輪の回転差を調整するディファレンシャル・ギアを装備し、車体部のスイング機構と相まって、コーナリング時の優れた旋回性を実現。



 足周りは、前輪に制動時の車体の沈み込みを低減するアンチダイブ機構を組み合わせたトレーリング・リンク式サスペンション(TLAD)を採用。大径フロントブレーキを採用した極太の12インチホイールを装備、前後輪に採用したオイルダンパー、三輪車ならではのワイドトレッドなどにより、荷物の積載時にも優れた操縦性と快適な乗り心地を獲得。



 駐車はハンドル中央下部に設置されたパーキング・レバーの操作により、スイング機構と減速機を同時にロックするメインスタンド掛けが不要な、「ワンタッチ・パーキング機構」を採用。荷物の積載時でも駐車を容易にし、使い勝手を上向させている。

発進・停止の多い配達業務で特に威力を発揮するワンタッチパーキング。駐停車のたびに行う面倒なスタンド掛けは不要。パーキングロックレバーを上げてメインスイッチを切るだけのカンタン操作で駐車が可能。荷台に荷物をたくさん積んでいる時でも、乗用車のサイドブレーキ感覚の手軽さで、スピーディー&スマートに停められ業務の効率アップに貢献。

ジャイロキャノピーの初代モデル

リヤ部分にボックスを装備したワゴンタイプ。

リヤ部分にボックスを装備したワゴンタイプ。

デッキタイプ。

【カッコ内】はデッキタイプ

型式:A-TA02 全長×全幅×全高:1895mm×650mm×1680mm 軸距:1410mm トレッド:430mm 乾燥重量:124kg【121kg】 燃費(30km/h定地走行テスト値):38.3km/L エンジン:空冷2サイクル単気筒49cc 内径×行程:Φ40.0mm×39.3mm 圧縮比:7.0 最高出力:5.3ps/7,000rpm 

最大トルク:0.57kgm/6,500rpm キャブレター型式:PB80 始動方式:セルフ式(キック式併設) 点火装置形式:CDI式マグネット点火 燃料タンク容量:7.3L キャスター/トレール:27°00′/62mm タイヤサイズ:前4.00-12(65J) 後130/90-6(63J) ブレーキ形式 :前 機械式リーディングトレーリング 後 機械式リーディングトレーリング 懸架方式:前 ボトムリンク式 後 ユニット・スイング式 フレーム形式:アンダボーン

マフラー構造、ルーフ部の材質、ロゴマーク等を変更

 マフラーのテールキャップ部を溶接固定タイプから着脱タイプとすることで、マフラー内部のカーボン堆積時の清掃作業性の向上。またルーフ部の材質を変更し、接触などによる衝撃に対してより強度を高めるとともに、ルーフ部のカラーをブラックからグレーに変更。外観では「Canopy」のロゴマークをレッドからグリーンへとカラー変更された。



 タイプは大容量62L(VDA方式によるホンダ測定値)のキー付きトランク装備のワゴンタイプと、より幅広い用途に対応するフラットな荷台形状のデッキタイプの2タイプを設定。

キー付きトランク装備のワゴンタイプ。

フラットな荷台形状のデッキタイプ。

【カッコ内】はデッキタイプ

型式:A-TA02 全長×全幅×全高:1895mm×650mm×1690mm 軸距:1410mm トレッド:430mm 乾燥重量:126kg【122kg】 燃費(30km/h定地走行テスト値):41.9km/L エンジン:空冷2サイクル単気筒49cc 内径×行程:Φ40.0mm×39.3mm 圧縮比:7.0 最高出力:5.3ps/6,500rpm 

最大トルク:0.60kgm/6,000rpm キャブレター型式:PB80 始動方式:セルフ式(キック式併設) 点火装置形式:CDI式マグネット点火 燃料タンク容量:7.3L キャスター/トレール:27°00′/62mm タイヤサイズ:前4.00-12(65J) 後130/90-6(53J) ブレーキ形式 :前 機械式リーディングトレーリング 後 機械式リーディングトレーリング 懸架方式:前 ボトムリンク式 後 ユニット・スイング式 フレーム形式:アンダボーン

新排ガス規制に伴い、5.3→5.0馬力にダウン

 点火方式をアナログ式からデジタル式のCDIに変更し、よりきめ細かい点火制御を可能とすることで、幅広い使い勝手に対応する出力特性を実現。新規排ガス規制をクリアするため、キャブレターの最適化を図るとともに、排気管内で未燃焼ガスを再燃焼させる二次空気導入装置(エアインジェクションシステム)やマフラー内に酸化触媒を採用。最高出力は5.3→5.0馬力、最大トルクは0.60kgm→0.57kgmに低下した。



 タイプは大容量62L(VDA方式によるホンダ測定値)のキー付きトランク装備のワゴンタイプと、より幅広い用途に対応するフラットな荷台形状のデッキタイプの2タイプを設定。

キー付きトランク装備のワゴンタイプ。

フラットな荷台形状のデッキタイプ。

【カッコ内】はデッキタイプ

型式:A-TA02 全長×全幅×全高:1895mm×650mm×1690mm 軸距:1410mm トレッド:430mm 乾燥重量:129kg【125kg】 燃費(30km/h定地走行テスト値):41.9km/L エンジン:空冷2サイクル単気筒49cc 内径×行程:Φ40.0mm×39.3mm 圧縮比:7.0 最高出力:5.0ps/6,500rpm 最大トルク:0.57kgm/6,000rpm キャブレター型式:APBB 始動方式:セルフ式(キック式併設) 点火装置形式:CDI式マグネット点火 燃料タンク容量:7.3L キャスター/トレール:27°00′/62mm タイヤサイズ:前4.00-12(65J) 後130/90-6(53J) ブレーキ形式 :前 機械式リーディングトレーリング 後 機械式リーディングトレーリング 懸架方式:前 ボトムリンク式 後 ユニット・スイング式 フレーム形式:アンダボーン

オシャレなカラーオーダープランを採用

 シャスタホワイトに加え、新たにそれぞれ5色のカラーオーダープランを採用。ワゴンタイプではフロントカバーとリアボックスに下記5色を設定。デッキタイプではフロントカバーに下記5色を設定。仕様や主要諸元は1999年発売モデルと同じ。

・ブラック ・ファイティングレッド ・レインボーブルー ・クリッパーイエロー ・クロームオレンジ

写真はファイティングレッドを組み合わせた例。

ワゴンタイプのカラーオーダープラン例。

デッキタイプのカラーオーダープラン例。

厳しい排ガス規制をクリアするため、エンジンは水冷4スト化!最高出力5.0→4.6馬力にダウン。

 新排ガス規制をクリアするため、排気ガスを浄化する触媒装置(キャタライザー)をエキゾーストパイプに内蔵。また、エンジンを一新。空冷2ストロークエンジンから、環境性能と滑らかな出力特性を両立した水冷4ストロークOHC4バルブエンジン(ローラーロッカーアームの採用でバルブ駆動時のフリクションを低減)を搭載。吸気系はキャブレターから、電子制御燃料噴射システム(PGM-FI)に変更。従来モデルに比べ、燃費を約30%向上させるなど経済性も大幅にアップさせている。



 また、前後輪に新設計の軽量なアルミ製ホイールを採用するとともに、後輪のサイズを6インチから8インチに大径化することで、走行安定性をより向上。



 また、新設計の軽量なアルミ製ホイールとチューブレスタイヤを前後輪に採用するとともに、後輪のサイズを6インチから8インチに大径化。従来モデルに比べ、後輪のトレッドを430→495mmへと、65mm拡幅化し、走行安定性をより高めているのもポイント。前後輪のブレーキサイズはΦ130mmに大径化することで、制動フィーリングをアップ。

デッキタイプのみでワゴンタイプは未設定。

型式:JBH-TA03 全長×全幅×全高:1895mm×660mm×1690mm 軸距:1410mm トレッド:495mm 乾燥重量:139kg 燃費(30km/h定地走行テスト値):54.5km/L エンジン:水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒49cc 内径×行程:Φ38.0mm×44.0mm 圧縮比:12.0 最高出力:4.6ps/7,500rpm 最大トルク:0.45kgm/7,000rpm 燃料供給装置形式:電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> 始動方式:セルフ式(キック式併設) 点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火 燃料タンク容量:5.9L キャスター/トレール:27°00′/62mm タイヤサイズ:前100/100-12 62J 後130/70-8 42L ブレーキ形式 :前 機械式リーディングトレーリング 後 機械式リーディングトレーリング 懸架方式:前 ボトムリンク式 後 ユニット・スイング式 フレーム形式:アンダボーン

こちらは2021年の現行モデル。

 平成28年排出ガス規制対応として、燃料蒸発ガス抑制装置や、排出ガスの異常を警告する車載故障診断装置を装着。新たにリアフェンダーの左側にエンジンオイルの点検・交換時に役立つ開閉式の点検窓を設置し、オイルレベルゲージの延長とあいまってメンテナンス性を向上させている。2021年5月現在の現行モデルは、同仕様で価格は57万900円(10%消費税込)。なお、2021年内には電動モデルのジャイロキャノピーeも発売予定。詳しくは下記をチェック!

デッキタイプのみでワゴンタイプは未設定。

型式:2BH-TA03 全長×全幅×全高:1895mm×660mm×1690mm 軸距:1410mm トレッド:495mm 乾燥重量:139kg 燃費(30km/h定地走行テスト値):54.5km/L エンジン:水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒49cc 内径×行程:Φ38.0mm×44.0mm 圧縮比:12.0 最高出力:4.6ps/7,500rpm 最大トルク:0.45kgm/7,000rpm 燃料供給装置形式:電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> 始動方式:セルフ式(キック式併設) 点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火 燃料タンク容量:5.9L キャスター/トレール:27°00′/62mm タイヤサイズ:前100/100-12 62J 後130/70-8 42L ブレーキ形式 :前 機械式リーディングトレーリング 後 機械式リーディングトレーリング 懸架方式:前 ボトムリンク式 後 ユニット・スイング式 フレーム形式:アンダボーン

ホンダ ジャイロキャノピーの大まかな種類

情報提供元 : MotorFan
記事名:「 実はディープなホンダジャイロの世界。まずは歴代モデルを知る。