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新型CRF250Lは本当に買いの1台かもしれない。 ヤマハ セローオーナーが感じたこと。


2021年にフルモデルチェンジを実施したホンダのオン・オフロードモデル、CRF250L&CRF250ラリー。それぞれにシート高が異なる2種類がタイプ設定されており、バリエーションは全部で4種類となる。先に試乗したCRF250L〈s〉が好印象だったことから、今回はシート高が50mm低いスタンダード(従来のローダウン仕様=タイプLD)をテスト。ライバルと目されるセロー250最終型のオーナーが一刀両断!




REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダ・CRF250L……¥599,500

上が今回試乗したSTD(無印)で、シート高は生産終了となったヤマハ・セロー250と同じ830mmを公称する。2021年モデルで競技用モトクロスマシンCRF450Rのイメージを踏襲したスタイリングに。
こちらはシート高が880mmの〈s〉で、基本設計はこちらをベースに行われた。ホイールトラベル量はSTDの235/230mmに対し、260/260mmに設定される。試乗インプレッションはこちらに→。https://motor-fan.jp/article/10018335
車体色はSTD、〈s〉ともにエクストリームレッドのみとなる。価格も同一だ。

舗装路ではモタードのような旋回力を発揮

筆者はつい最近、ツーリングセローのファイナルエディションを新車で購入した。特にオフロードで遊びたいわけではなく、この名車の最終型を手元に残しておきたいというジャーナリスト的な想いからだ。セローは225時代から何度も試乗しているので、走行性能や乗り味その他については体に染み付いており、納車時の感動は特になし。新車にもかかわらず、むしろ実家に帰ってきたような安心感すらあった。


そんな私が「あっ、失敗したかも……」と感じたのは、新しいCRF250Lにまたがった瞬間だった。車重はCRF250Lの140kgに対しスタンダードのセロー250は133kgを公称するが、ツーリングセローは大型のリヤキャリアやアドベンチャースクリーンなど純正アクセサリー各種を標準装備しているので、おそらく実測ではCRFとほぼ同等と思われる。よって、サイドスタンドからの引き起こしや取り回しで感じる重さがほとんど変わらないのだ。


シート高はCRF250L、セロー250とも830mmだが、乗車1Gでのサスとシートの沈み込み量の違いから、セローの方がわずかに足着き性がいいと感じる。ちなみにセローは主にリヤの車高が下がるのに対し、CRF250Lは前後サスがバランス良く沈むセッティングとなっている。


CRFのクラッチレバーを握った瞬間、思わず「軽っ!」と驚いた。これは2021年モデルから採用されたアシストスリッパークラッチの効果であり、明らかにセローよりも操作力が軽いのだ。そしてクラッチをつなぐと、セローとのエンジン性能の差が顕著になる。最高出力はCRFの24psに対して空冷のセローは20psと、その差はわずか4psだが、CRFの方が発進加速が圧倒的に力強くて速いのだ。念のためにギヤ比を計算したところ、1速での総減速比は両モデルともほぼ同じ。つまり、CRFは純粋にトルクが厚いと言えるだろう。


舗装路でのハンドリングは、セローがリヤ荷重の旧車的な舵角の付き方で向きを変えるのに対し、CRFは前後荷重が均等なイメージで、操縦次第ではモタードかと勘違いするほどフロントから気持ち良く旋回する。なお、シート高が50mm高いCRF250L〈s〉は、同じようなペースで峠道を走るとピッチングが大きいため、ブレーキングから倒し込み、そして立ち上がりに至るまでの動きが常にワンテンポ遅れる印象があったが、スタンダードのCRFにはそれがない。オンロードが主体なら〈s〉を選ぶ意味はほどんとないだろう。

身長175cmの筆者なら、CRF250Lでも両かかとが楽に接地する。しかも、エンジンはトルクフルでありながらスロットルの動きに対する低回転域でのマナーがいいので、セローが得意とする〝二輪二足〟的な藪漕ぎも楽にこなせてしまうのだ。よりハードな状況では、セローのホイールベースの短さ(CRF250Lより80mmも短い)や51度ものハンドル切れ角(CRFは現行モデルでは未発表だが先代は45度を公称)が生きるだろうが、おそらく一般ライダーがそこまでエクストリームな場所に入り込むことの方が稀だろう。なお、ホイールトラベル量はセローの225/180mmに対してCRF250Lは235/230mmとなっており、軽量かつしなやかになった新型フレームと合わせて、トータルでの悪路走破性はCRFに軍配が上がる。


高速道路の巡航性能もCRFの方がいい。トップギヤ(CRFは6速、セローは5速)で100km/hを出したときの回転数は、CRFが6,000rpm、セローが6,600rpmと1割程度の違いしかないが、最高出力発生回転数まであと900rpmしかないセローはほぼ全開で走っているような印象があり、さらにメカノイズや微振動も多めだ。これに対してCRFは、洗練された水冷のエンジンフィールに加えて優れた直進安定性や快適なライディングポジション(セローはシートのウレタンがソフトすぎてお尻の血行が悪くなりやすく、かつステップが高い位置にあるので膝の曲がりが窮屈)などにより、ロングツーリングも許容できるほど懐が深い。


この2021年モデルからCRF250Lはローダウン仕様のタイプLDがスタンダード(無印)になったのだが、その理由と意味について痛感する試乗となった。CRF450Rを祖とするアグレッシブな外観ではあるが、セローが得意とするコアなフィールドも許容するほどのポテンシャルを秘めている。これぞ王道のデュアルパーパスだ。

ライディングポジション&足着き性(175cm/64kg)

上がSTD、右が〈s〉だ。ハンドル/シート/ステップの位置関係は両タイプで共通だが、ご覧のとおり足着き性は全く異なり、合わせて視点も低くなる。

ディテール解説

249ccの水冷DOHC4バルブ単気筒を搭載。2021年モデルでインテーク側のカムシャフトを変更し、合わせて吸排気系や点火時期を最適化。さらにアシストスリッパークラッチを新採用。6段ミッションは1~5速ギヤをローレシオ化し、クルージングで多用する6速ギヤをハイレシオ化。
サイレンサーは従来の3室から2021年モデルで2室構造となり、小型軽量化を達成。歯切れの良いエキゾーストノートも獲得している。
倒立式フロントフォークは従来と同じショーワ製のセパレートファンクションタイプで、ストローク量は先代タイプLDの200mmから235mmに。フロントディスクはφ256mmウェーブタイプで、これにニッシン製のピンスライド片押し式2ピストンキャリパーを組み合わせる。
アルミ製のスイングアームは2021年モデルで横剛性を23%、ねじり剛性を17%ダウン。リヤサスはレシオ最適化のためリンクとコンロッドを変更。ホイールトラベル量は先代タイプLDの180mmから230mmへ。ホイールリムはブラックアルマイト+ポリッシュ仕上げ。標準装備となったABSはリヤの介入をカットできるモード切り替え機能付きだ。
ハンドルバーは先代から絞り角が増やされたほか、ハザードスイッチは左から右へ。燃料タンクのスリム化によって軽快な操縦性を実現している。ボトムブラケットは従来のスチール製からアルミ鍛造製となり、730gも軽くなった。
モノクロLCDメーターは2021年モデルでギヤポジションインジケーターと平均燃費計が追加され、速度計の文字が17mmから23mmと大型化。メーター自体も70g軽くなっている。
薄型LEDヘッドライトは従来比で110gの軽量化を達成。前後ウインカーもLEDとなり、さらにステー部をフレキシブルラバーマウント構造としている。
灯火類はテール&ブレーキランプのみフィラメント球を継続する。急制動時にウインカーが左右同時に高速で点滅するエマージェンシーストップシグナルを採用。
シートレールからの全面的な変更と座面前方のスリム化により、最低地上高を確保しながら足着き性を高めている。なお、シートは前方のフックボルト2本を緩めて取り外す仕組みだ。
キーロック式のツールケースを車体左側に設置。車載工具は付属のスポンジで包み込んで収納する。防水性はそれなりなので要注意。

CRF250L 主要諸元

車名・型式 ホンダ・2BK-MD47


全長(mm) 2,210〔2,230〕


全幅(mm) 820


全高(mm) 1,160〔1,200〕


軸距(mm) 1,440〔1,455〕


最低地上高(mm) 245〔285〕


シート高(mm) 830〔880〕


車両重量(kg) 140


乗車定員(人) 2


燃料消費率(km/L)


 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 46.0(60)〈2名乗車時〉


 WMTCモード値(クラス) 34.8(クラス 2-2)〈1名乗車時〉


最小回転半径(m) 2.3


エンジン型式 MD47E


エンジン種類 水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒


総排気量(cm3) 249


内径×行程(mm) 76.0×55.0


圧縮比 10.7:1


最高出力(kW[PS]/rpm) 18[24]/9,000


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 23[2.3]/6,500


燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


始動方式 セルフ式


点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式 圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L) 7.8


クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式


変速機形式 常時噛合式6段リターン


変速比


 1速 3.538


 2速 2.250


 3速 1.650


 4速 1.346


 5速 1.115


 6速 0.925


減速比(1次/2次) 2.807/2.857


キャスター角(度) 27° 30′


トレール量(mm) 109


タイヤ


 前 80/100-21M/C 51P


 後 120/80-18M/C 62P


ブレーキ形式


 前 油圧式ディスク(ABS)


 後 油圧式ディスク(ABS リアキャンセル機能付き)


懸架方式


 前 テレスコピック式(倒立サス)


 後 スイングアーム式(プロリンク)


フレーム形式 セミダブルクレードル




製造国 タイ


※〔 〕内は〈s〉

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