愛知県新城市で開催された「新城ラリー2021」(3月20〜21日開催)に参戦した梅本まどか選手。前回はラリー本番前日のレッキ日の様子をお伝えいたしましたが、今回は競技初日~2日目の様子をお届けいたします。天候に翻弄された2日間、梅本選手は何を思い、考え、どのように戦ったのでしょうか。
2本のSSを終え、サービスパークに戻った車両を村田選手、松井監督、メカニックたちが取り囲む。どうするか? このままでは勝負にならない。一か八か、スペアタイヤや工具などを取り去り、少しでも軽量化を図ることになった。
果たしてSS3、2回目の「舟着」。
「全然違いましたよ! 軽量化したその効果は如実でした。1本目の舟着ではGを感じることがなかったのですが、それを感じられるようになった。スピードにノッているように感じられ、すごく楽しかったです。これまでのラリー経験の中で、一番楽しかったSSだと思います。
残念ながらライバル車も速くなっていたので、差を詰めるまではいかなかったのですが、この後のSS4「鬼久保2」の最後のストレートでの最高速が楽しみになりました」
結果、その「鬼久保2」の最後のストレートは、最高速度130km/hが出たとのこと。タイムも1本目の鬼久保から12秒ほどアップし、クラストップとの差も12秒ほどに縮まった。軽量化は大成功だった。
このSS4終了時点で、村田・梅本組はトップと41.1秒差のクラス3位。明日2日目を見据えるにあたって、村田選手と梅本選手は、最終目標を現実的な3位死守に切り替えることも考えた。もちろん翌日のSS5、7の「雁峰北」で勝負を仕掛け、SS6、8の「鬼久保」では何とか離されないように頑張って、あわよくば優勝を狙える位置にいるという望みは捨てずに。
SS5雁峰北は、雨の中でも快走でき、途中まではとても満足できる走りに(インカーの動画は「ウェルパインモータースポーツ」のYoutubeチャンネルにてご覧いただけます。続くSS6「鬼久保3」に向かうと、TC(タイムコントロール)の前でクルマが止まっている。村田・梅本車もしばらく待機となった。村田選手・梅本選手はこの時点では情報が入っていなかったそうだが、このときSS上では事故の対応が行われていた。
結局、この事故の影響でSS6がキャンセルとなり、村田・梅本組はスルーでSSを抜けると、その後のSS7〜8もキャンセルとなりこの時点でラリーは終了となった。結果、村田・梅本組は、JN6クラス3位を獲得。当初の目標である優勝は果たせなかったが、堂々たる結果を残すこととなった。
今回のラリーを総括して梅本選手は
「1年ぶりのラリーだったので、成績よりも、忘れている部分があったのをしっかりと思い出せたことがまず第一。また、村田選手と組んで、タイヤの空気圧やクルマの重量のこと、路面のことなど色々と学べました。自分としてはクルマのことをもっと知りたくてラリーをしている部分もあるので、その点では本当にためになりました。
自分自身については、もちろん満点だとは思っていません。もうちょっとできたことも多かったと思います。ただそういった中でもリカバリーできた、気持ちを作れた部分もあったので、その辺は収穫かなと。自分の中の引き出しが増えた感じがします。
事故については、まずドライバーさん、コ・ドライバーさんの命に別状がなかったことが第一。そして、改めて自分自身がアクシデントに遭遇したり、他車が深刻なアクシデントに遭遇している場面に遭遇することが当然あるという自覚と覚悟を持たなければならないということを痛感しました。また、いざというときのために救護活動や事故対応などをもう一度学んで身に付けなければいけないと思いました。
次は、6/11〜13に群馬県で行われる全日本ラリー第6戦「MONTRE 2021」に参戦予定です。新城ラリーは地元だし3回目の参戦だったので、ルートや雰囲気もある程度知っていたのでリラックスして臨めましたが、モントレーは初めてなのでまだ不安です。でも『ラリージャパン』参戦に向けての貴重な機会なので、しっかりと準備をしていい経験が積めるように頑張りたいと思います」と話してくれた。
満足した点も悔しかった点もあったということが大きな収穫といえる今大会、だが、その目はすでに11月に行われる『ラリージャパン2021』へ向かっていた。
取材協力:WELLPINE MOTORSPORT(https://wellpine-motorsport.com/)