若者を中心に幅広い世代で大人気のレブル250/500に続き、いよいよ「レブル1100DCT」が登場。アフリカツイン系のエンジンを得たレブル家の長男は、果たしてどんな走りを見せてくれるのか!?
REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダ・レブル1100 DCT……1,210,000円(消費税込)
マシン解説
ホンダからレブル1100が登場した。2017年にレブル250/500として登場した新型レブルシリーズのフラッグシップである。シリーズ共通のシンプルなデザインとロー&ロングなシルエットを受け継ぎつつ、大排気量モデルとしての重厚感と質感が高められ、最新の電子制御が盛り込まれているのが特徴だ。
エンジンはCRF1100Lアフリカツインと同じ270度位相クランクを持つ水冷並列2気筒を採用し、吸排気系やバルブタイミングを見直しフライホイールマスを増やすなどのチューニングを行い、クルーザーらしい鼓動感とサウンドを実現。
車体も新設計のスチール鋼管フレームに、酸化チタンコートを施したカートリッジ式フロントフォークと別体式サブタンクを持つツインリヤショックを装備するなど、足まわりも充実。なお、今回試乗したDCT仕様の他にMT仕様(マニュアルミッションタイプ)も5月に発売予定となっている。
ライディングポジション
試乗インプレッション
飾り気のないシンプルで見た目はレブル250/500と良く似ているが、ひと回り大きく存在感がある。特にエンジンまわりは1100ccらしいボリューム感だ。ただ、このカテゴリーとしてはコンパクトで見た目からして軽快なイメージ。丸型ヘッドライトを含むフルLEDタイプの灯火類や、デジタル多機能メーターが今風だ。
スリムな車体と高さ700mmのシート高のおかげで足着きはすこぶる良く、230kg台の軽い車重のおかげで取りまわしも楽々。ハンドルは大排気量らしくワイドで高すぎず、ステップ位置もレブルシリーズ独特のミッドコントロールで、通常のクルーザーに比べるとだいぶ自分に使い位置にある。ネイキッドとアメリカンの中間的な、言わば自然なライポジなのだ。ちなみに海外仕様のシートはもっと大きく、大柄な人向きに設定されているとのことだ。
今回試乗したのはDCT仕様。自動変速のオートマと左手元のパドルスイッチで自らの意思で操作できるマニュアルの2つのモードがあるのはアフリカツイン同様だが、レブル専用に変速タイミングなどは最適化されている。さらに走行モードには3種類のプリセッティング(スタンダード/スポーツ/レイン)に加え任意設定できる「ユーザー」が選択可能。それぞれのモードに合わせて出力特性やトラコン介入度、エンブレの効き、シフトタイミングが最適化されるという優れモノで、その時々の路面状況や気分によってそれぞれのキャラを使い分けることができる。
たとえば、「スポーツ」モードならアクセルに忠実なレスポンスと俊敏な加速でエキサイティングな走りが楽しめるし、ツーリングを想定した「スタンダード」モードは穏やかで自然なフィーリング。そして「レイン」モードは雨天でも安心なことはもちろん、まったりと快適にクルーズしたいときにもおすすめだ。まさに1台のバイクでいろいろな走りを楽しめてしまうわけだ。
さておき、アフリカツイン直系のパラツインは、さらに粗挽きな鼓動感とワイルドなサウンドが魅力。「ドドッ、ドドッ」と不等間隔に弾けるトルクが路面を蹴って進んでいく感じがなんとも気持ちいい。これは紛れもないビッグクルーザーの醍醐味だ。
感心したのはオートブリッパー機能で、減速時には何もしなくてもマシンが勝手にアクセルを煽って回転数を合わせつつ滑らかにシフトダウンしてくれる。まるでベテランライダーが陰で操作してくれている様。もちろん、パドルスイッチを押すだけで瞬時にマニュアル操作にも切り替わるので、自分の意思は常に尊重される。熟成されたDCTは退屈なオートマではなく、積極的に乗りこなすための選択肢を広げているのだ。