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【最高に運転が楽しいクルマ|フォード・フォーカスC-MAX】頭をぶん殴られたかのような衝撃を受けた!(吉田直志)


フォード・フィエスタを愛車とする吉田直志さんが選んだ「運転が楽しいクルマ」の上位2台は、ヨーロッパフォード車がランクイン。カタログスペックは平凡だが、とにかくすべてのバランスが高次元なのが楽しさの秘訣。初めて乗ったときは、頭をぶん殴られたかのような衝撃を受けたという。




TEXT●吉田直志(YOSHIDA Naoshi)

僕にとっての走りの愉しさとはそこに対話性があるかどうかに尽き、それは絶対的なパワーや速度域、さらには回頭性といった、いわゆるスポーツカー要素はあまり関係なかったりする。絶対的スペックではなく、バランスの良さであり、この手のテイストは欧州車のベーシックグレードに多く存在し、その仕立てによってはスポーティグレードにも見かけたることもある。




ブランドによる味付けの違いはあるが、フォルクスワーゲン・パサート(5.5世代目)のボトムモデルとか、同・ゴルフE(5世代目)、プジョー106S16や同306S16がそれにあたる。それまでハイパワーこそ愉しさだと思い込んでいた自分にとって、丁度いい塩梅という意味合いも含め、運転の愉しいモデルとはこういうことなんだと再認識させてくれたモデルたちでもあった。

第3位:グランドチェロキー(2代目)「欧州と北米の幸福なマリアージュ」

そんな観点から、2位は2世代目ジープ・グランドチェロキー、その中でもトリムラインはボトム(ファブリック)ながらエンジンは当時のフラッグシップとなるV8/4.7Lを搭載した、「V8ラレード」と呼ばれるグレードを選んだ。あれ、欧州車ではなくアメ車だぞと思われたかもしれないが、実はヨーロッパ仕様のシャシーを組み込んでいたことから実に愉しさにあふれていた。




ちなみに、このグレードには、オフロード走破性を高めるパッケージ(高圧ダンパーやインチアップコイルスプリング)が組み込まれており、シャシーの剛性感はすこぶる高いのに、クロカンらしいしなやかなストロークを持つという、まさに欧州車的な不可思議が存在。トルクフルなV8エンジンと、当時としては珍しかった5速ATとの組み合わせもすこぶる良く、街中はもちろん、高速走行、ワインディング、もちろん、クロカン走行まで、とにかく愉しかった。




実は自ら購入し、修理してでも乗り続けたいと思っていたが、ATにトラブルをかかえた時に修理に100万円以上の出費を覚悟してくれと言われ、また、登録から13年が経過し、年間8万8000円の自動車税が割値上がりしたこともあって、泣く泣く手放している。

2代目のシープ・グランドチェロキーは1999年に登場。4L直6エンジンと新開発の4.7L・V8エンジンが用意されていた。

第2位:フォード・フォーカスST(2代目・前期)「速さよりもバランスこそが楽しさには重要」

第1位:フォード・フォーカスC-MAX(初代・前期)「まったりなのにダイレクト」

そして、2位、1位は、同じブランド、そして、同時期に販売され、さらにはプラットフォームを共用する、フォードのフォーカスSTとフォーカスC-MAXだ。




ちなみに、その両モデルには、同じ日に乗っており、頭をぶん殴られたかのようなショックを受けたことを、今でもはっきりと覚えているし、そこからヨーロッパフォード信奉者になる。それまでもモンデオに驚愕を覚えていたが、2006年に出会ったヨーロッパフォードのモデルは、僕の感覚にぴったりとはまってしまった。




とにかく、すべてのバランスがいい。ハンドリングは、油圧パワーステアリングの良さも悪さも抱えていた頃だが、そのフィールはダイレクト感にあふれていたし、エンジンフィールも中回転域のトルクがとにかく豊かで、さらにはサスペンションストロークは量(感ではなく、量)を存分に生かしつつ快適性と剛性感を両立させており、それぞれのスペックは頂を極めてはないのに、互いに互いを高め合おうとするかのようなバランス感を整えており、美点だらけ。このテイストは、その後のヨーロッパフォードのモデルにも引き継がれているが、あのフィーリングは、あの世代でしか愉しめないものだと今でも思う。




さて、そんなヨーロッパフォードから2位に選んだのはフォーカスのハイパフォーマンスモデルであるフォーカスST。ボルボ製エンジンのフラットな特性をベースに高回転域までパワーを引き出していたフィーリングだけではなく、しなやかを極めたシャシー、オレンジのボディカラー、そして、レカロシートを備えていたことなど、速いだけではない、それこそバランスこそが、操る愉しさには大切なんだ、ということを教えてくれたモデルだった。

ヨーロッパではフォルクスワーゲン・ゴルフなどと鎬を削るフォード・フォーカス。2代目は2005年に登場し、スポーティモデルのSTハ2.5L・5気筒ターボ(225ps)を搭載し、6MTが組み合わされた。PHOTO●Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Ford_Focus)

そして1位は、これこそ、その存在を覚えている人は少ないかもしれない。その世代のフォーカスをベースにモノスペースに仕立てたフォーカスC-MAX(初代)だ。派手さに欠けていたこともあり、日本では2年待たずにで販売を終了してしまったが、とにかく走りの愉しいモデルだった。




先ほど述べたヨーロッパフォード流の秀逸なハンドリングは、フォーカスSTのような演出がされていない分、つまり、シンプルな分、ステアリングホイールからタイヤまでリンケージが繋がっているのが透かして見えるかのようなダイレクトさが存在。シャシーは、乗り心地優先となるが、まったり感を存分に作り上げながら、その動きに剛性感が宿っている。あのユーザーと一体になれる感覚は、今でもまだ出会ったことがない、と断言できるほどの愉しさだった。




ちなみに、このヨーロッパフォードの流れから、僕は今、日本仕様としては最終モデルとなってしまったフォード・フィエスタを選び、乗っている。

フォーカスをベースとしつつ、全高を+95mmして居住性を向上させたのがフォーカスC-MAXだ。乗車定員は5名。PHOTO●Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Ford_C-Max)

日本での発売は2006年で、2L直4エンジン+4ATというパワートレーンが搭載された。PHOTO●Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Ford_C-Max)

『運転が楽しいクルマ・ベスト3』は毎日更新です!




クルマ好きにとって、クルマ選びの際に大きな基準となるのは、


「運転が楽しいかどうか」ではないでしょうか。




とはいえ、何をもって運転が楽しいと思うかは、人それぞれ。「とにかく速い」「速くないけど、エンジンが気持ち良い」「足周りが絶品」などなど、運転を楽しく感じさせる要素は様々です。




本企画では、自動車評論家・業界関係者の方々に、これまで試乗したクルマの中から「運転が楽しかった!」と思うクルマのベスト3を挙げてもらいます。




どんなクルマが楽しかったか。なぜ楽しいと感じたのか。それぞれの見解をご堪能ください。




明日の更新もお楽しみに!
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