2012年にデビューし、2013年に前後17インチのCRF250M、2017年にローダウン仕様のタイプLDと、大型スクリーンや大容量タンクを装備したCRF250ラリーを追加するなど、順調にラインナップを拡充。世界中で約13万台も販売されたのがCRF250Lシリーズだ。9シーズン目の2021年、ベーシックモデルのCRF250LとCRF250ラリーがついにフルモデルチェンジを実施した。徹底的な軽量化と出力特性の見直しにより、オンロードでの扱いやすさはそのままにオフロードでの走破性を向上。今回試乗したのはCRF250Lで、前後のサスストロークを伸張した〈s〉タイプだ。
REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ホンダ・CRF250L〈S〉……599,500円
グレードの呼称が変更され、従来のSTDが〈s〉タイプに
インプレッションに入る前に、まずは少々ややこしい説明をさせてほしい。CRF250Lには、2017年から前後サスを変更してシート高を45mm下げたローダウン仕様の〝タイプLD〟が同価格にて設定されていた。このタイプLDが登場する以前は、純正アクセサリーとして約8万円もするローダウンキットが用意されていたほどなので、CRF250Lの低シート高化はユーザーにとって切実な願いだったのだ。
当シリーズの販売台数トップは日本市場であり、こうした声をホンダは無視できなかったのだろう。フルモデルチェンジした新型でも、前後サスの仕様違いによってシート高の異なる2種類のモデルを用意した。そして、低い方をSTD(無印)、高い方を〈s〉と呼称を変更したのだ。シート高を含めた相関図は以下のようになる。
・従来型STD:875mm(250/240mm)→新型〈s〉:880mm(260/260mm)
・従来型タイプLD:830mm(200/180mm)→新型STD:830mm(235/230mm)
※( )内は前後のホイールトラベル量
低シート高モデルの方は従来型からシート高は変わっておらず、付け加えると830mmというデータは足着き性の高さで評判のいいヤマハのセロー250と同値だ。なお、基本設計はシート高の高い〈s〉をベースに行われたということで、今回はその〈s〉を試乗することにした。
ライディングポジション&足着き性(175cm/64kg)
ディテール解説
CRF250L〈s〉 主要諸元
車名・型式 ホンダ・2BK-MD47
全長(mm) 2,210〔2,230〕
全幅(mm) 820
全高(mm) 1,160〔1,200〕
軸距(mm) 1,440〔1,455〕
最低地上高(mm) 245〔285〕
シート高(mm) 830〔880〕
車両重量(kg) 140
乗車定員(人) 2
燃料消費率(km/L)
国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 46.0(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス) 34.8(クラス 2-2)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 2.3
エンジン型式 MD47E
エンジン種類 水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
総排気量(cm3) 249
内径×行程(mm) 76.0×55.0
圧縮比 10.7:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 18[24]/9,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 23[2.3]/6,500
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 7.8
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
1速 3.538
2速 2.250
3速 1.650
4速 1.346
5速 1.115
6速 0.925
減速比(1次/2次) 2.807/2.857
キャスター角(度) 27° 30′
トレール量(mm) 109
タイヤ
前 80/100-21M/C 51P
後 120/80-18M/C 62P
ブレーキ形式
前 油圧式ディスク(ABS)
後 油圧式ディスク(ABS リアキャンセル機能付き)
懸架方式
前 テレスコピック式(倒立サス)
後 スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式 セミダブルクレードル
製造国 タイ
※〔 〕内は〈s〉