「腰下」を象徴するエンジンの基本骨格。ピストンやクランクがサスペンションなら、シリンダーはボディ。ボディがダメなら何をどうやってもクルマはよくならない。
シリンダーブロックの材料として一般的なのが、アルミ合金と鋳鉄。かつてのブロックは鋳鉄が大半を占めていたが、近年は車両重量を抑えることなどからアルミ合金製へのシフトが進む。ただし、鋳鉄がかつての材料かと言われればまったくそんなことはなく、高い筒内圧に耐える構造のためにアルミの肉厚を増していくならむしろ、鋳鉄で薄く作ったほうが軽くできることもある。
アルミの方が放熱性という面では有利だが、軽量化以上に重要なのがブロック剛性。特に昨今の高圧縮比エンジンやターボエンジンでは、パワーを上げようとするとブロック剛性の高低がカギとなってくる。また、必要以上の軽量化を図ると音振にも不利となるため、軽さと剛性の妥協点をどこに置くかが、シリンダー設計のポイントとなる。構造上では、高圧鋳造が可能で大量生産に向くオープンデッキと、ブロック剛性を確保しやすいクローズドデッキを、コストと搭載車両の性格によって使い分ける。