クランクシャフトが720度回転する間に1サイクル分の行程を完了する4ストロークサイクル。2往復するピストンのストロークを最大限に活かすことで、高い熱効率を引き出す。その4ストのさまざまな種類をご紹介しよう。
TEXT:高橋一平(TAKAHASHI Ippey)
現在、自動車用エンジンとして主流の座にある4ストロークは、ストローク毎に割り当てられる4つの行程と、ポペットバルブと呼ばれるキノコ型弁が特徴。行程をストローク別に分けたことで、新気と排気ガスが混ざり合うことが基本的になく、各行程でピストンのストロークを最大限に活かした確実な動作が可能となっている。
バルブをカムシャフトで駆動することから、作動遅れを意識する必要があり、かつてはあらゆる状態での中庸をとった余裕のある設定が必要とされ、理想的なタイミング設定が難しかったが、近年では可変バルブタイミング機構などの登場で、より正確で理想的なタイミング設定が可能となっている。ちなみに、圧縮行程でも意識的に吸気バルブを開いたままとして圧縮側の有効ストロークを減らすというアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)もこれらの機構を応用したものだ。
他にも吸気バルブの開度を連続的に変化させることでスロットルとしての役目を持たせ、スロットルバルブを省略するというスロットルレス機構や、ガソリン直噴技術の導入など、現在主流のエンジン形式ということもあり、周辺技術の開発もめざましく、もはや他に代わるものが見当たらないという状態となりつつある。
今や最大熱効率は30%台後半を迎え、40%以上も実現している4ストロークエンジンだが、ここ数十年に渡って基本的な構造に大きな変化がないというのも、ある意味興味深いところだ。
Otto cycle [オットーサイクル]
Diesel cycle [ディーゼルサイクル]
Sabathe cycle [サバテサイクル]
Atkinson cycle [アトキンソンサイクル]
Miller cycle [ミラーサイクル]