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【最高に運転が楽しいクルマ|いすゞ・ジェミニ】免許取り立ての初心者にとっては、まごうことなきスポーツカーだった!(安藤眞)


元自動車メーカーの開発者という肩書きを持つ安藤眞さんが選んだ「運転が楽しいクルマ」の第1位は、PF60型のいすゞ・ジェミニ。後輪駆動だった初代モデルだ。初の愛車ということもあり、初恋のように楽しい思い出が詰まった1台なのだそう。




TEXT●安藤眞(ANDO Makoto)

第3位:プジョー206(1.6XS) 「まさに長尾峠スペシャル」

1998年から2012年まで生産され、一世代限りで姿を消してしまったクルマ。その名前からわかるとおり、205の後継機種として作られたコンパクトハッチバック車だ。




日本デビューの試乗会が箱根で行われたので、長尾峠に行ってみたら、まさに「長尾峠スペシャル」と呼びたくなった。コンパクトなボディは狭い道幅とタイトコーナーをものともせず、ガードレールギリギリまで寄せられるし、エンジンブレーキを強めに効かせてコーナーに進入すると、リヤがピクピクと滑りたがる危なっかしさが、なんとも楽しいクルマだった。

205の後継車として登場したプジョー206。1670mmの全幅は扱いやすく、ピニンファリーナから社内担当となったデザインも好評で、日本でもスマッシュヒットを記録した。

プジョー206には1.4L、1.6L、2.0Lの3種類のエンジンが搭載された。またボディバリエーションも多彩で、5ドアハッチバックのほか、3ドア、ステーションワゴン、クーペカブリオレがが用意された。

第2位:スズキ・ジムニー(SJ30型ハーフメタルドア)「自然と一体になれる」

700kg前後の軽量ボディに550ccの2ストローク3気筒エンジンを搭載したモデル。車重の軽さと2ストロークエンジンならではのパンチを生かし、滑りやすいヒルクライムでも弾むようにして登っていった。




ドアは窓枠のないハーフメタルで、屋根はもちろん幌。幌は傘のようなものなので、雨が降らなければ外しておくのがデフォルトだ。フロントガラスはフレームごと前に倒すことができ、クローズドのオフロードコースでこれを倒して走れば、それはもう自然との一体感は満点だった。




その代わりオンロード走行はからっきしダメ。高速道路は70km/h以上、出す気にはならなかったけれど(スピードメーターの目盛りが90km/hまでしかなかった)、それでもあおられないのがSJ30だった。

1981年に登場した、2代目スズキ・ジムニーがSJ30型。2サイクルエンジンを搭載し、ボディはメタルトップとソフトトップがあるほか、ドアも幌、メタル、ハーフメタルとバリエーションが豊富だった。

第1位:いすゞ・ジェミニ(PF60型)「ダイレクト感が病みつきになる」

クルマの性能がどうこうというより、人生最初に手に入れたクルマだから。




7万kmぐらい走っていた中古車だったけれど、ひび割れていたダンロップSPを、出たばかりのハイグリップタイヤ、ダンロップ・ゼラに交換し、ステアリングをモモのφ360mmに交換したら、免許取り立ての自分にとっては十分なスポーツカーになった。




パワステも付いていないクルマだったけど、その分だけロードインフォメーションが生々しく伝わってきた。アンダーステアの強いクルマだったけれど、むしろ荷重移動で曲がることを覚えるには絶好だった。トランスミションはリンケージ無しのタイプだったため、シフトレバーは長いものの、シフトフォークを手づかみで動かしているようなダイレクトさが気持ちよく、ヒール&トゥが決まったときの、まったく抵抗なくレバーが吸い込まれる感覚が病みつきになった。




初恋の人が素敵に思えるようなものかも知れないけれど、「運転を楽しんだ」という点では、人生最高のクルマだったことは間違いない。

初代いすゞ・ジェミニは1974年に登場。オペル・カデットの兄弟車であり、フロントに1.6Lエンジンを搭載した後輪駆動モデル。当初、丸目2灯だったヘッドライトは途中から角目に変更するとともに、1.8Lエンジンを追加。安藤さんの愛車だったPF60型は、1.8Lエンジン搭載モデル。

『運転が楽しいクルマ・ベスト3』は毎日更新です!




クルマ好きにとって、クルマ選びの際に大きな基準となるのは、


「運転が楽しいかどうか」ではないでしょうか。




とはいえ、何をもって運転が楽しいと思うかは、人それぞれ。「とにかく速い」「速くないけど、エンジンが気持ち良い」「足周りが絶品」などなど、運転を楽しく感じさせる要素は様々です。




本企画では、自動車評論家・業界関係者の方々に、これまで試乗したクルマの中から「運転が楽しかった!」と思うクルマのベスト3を挙げてもらいます。




どんなクルマが楽しかったか。なぜ楽しいと感じたのか。それぞれの見解をご堪能ください。




明日の更新もお楽しみに!
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