NC700X後継の2気筒エンジンを搭載するホンダのナナハンとして知られるNC750にはSとX、2機種のバリエーションがあるが、クロスオーバーモデルとして人気のNC750Xがフルモデルチェンジされて新登場。DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)モデルと共に2月25日に販売開始される。



REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)

PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

ホンダ・NC750X.......924,000円(同DCT.......990,000円)

グランプリレッド(写真はDCT)
マットバリスティックブラックメタリック
パールグレアホワイト(写真はDCT) 

よりアグレッシブに変身を遂げた新型クロスオーバー。

CGで描かれたイメージ・スケッチ。ブルーカラーも素敵だ。

 ヘルメットが収納できる大型ラゲッジスペースを持つロードスポーツ。ETCやグリップヒーターが標準装備された事でも注目されたNC750Xは、いわゆるクロスオーバー系モデルとして知られている。アドベンチャー的フォルムを採用しながらも、どちらかと言うと都会的なセンスで洗練されている点が印象深い。

 外観デザインは、先代モデルの面影がしっかりと残されているが、躍動感のある雰囲気に変身。その開発コンセプトは「さらにアクティブな毎日へといざなうCROSSOVER URBAN TRANSPORTER」だと言う。

 今回は、フレームやエンジンに大きな変更を施されての新登場である。



 もちろん大きなラゲッジボックスを始め、低重心の車体パッケージ等は踏襲されているが、スチールパイプ製フレームは板厚の変更等で新設計され、ラゲッジ容量は23Lに拡大しながら、大きな軽量化に貢献。

 トータルでの車両重量は先代モデルの221から214kgへ7kgダウンを達成している。前後サスペンションもチューニングしなおされ、よりしなやかで快適な乗り心地を確保すべくセッティング変更されたと言う。

 搭載エンジンは先代のRC88E型からRH09E型に一新。ロングストロークタイプのボアストロークや圧縮比等、基本的なスペックこそ共通するが、ピストンを始め、多くの仕様が変更された。

 例えばピストンは裏面形状の肉抜きで軽量化。それに伴いクランクシャフト・カウンターウエイトの重量も最適化を図り、バランサー軸径も見直されエンジン単体重量の軽量化も実現している。

 下の性能曲線図比較をご覧頂ければわかる通り、エンジン各部の軽量化は高回転域での出力とトルクの大幅向に貢献している事は間違いない。

 もともとは、いかにもロングストローク・エンジンらしい太く柔軟な出力特性から発揮される穏やかな乗り味が特徴的だったが、モデルチェンジを機に徐々にパワーアップが図られ、今回はより高回転域まで豪快な吹け上がり性能も追求されたもよう。

 開発コンセプトにある “アクティブな毎日へ” を目指して一新されて、先代とは異なる元気はつらつな乗り味が期待できそうである。

 吸排気系も設計変更され、スロットルボア径も拡大。スロットルバルブバイワイヤシステム(電子制御式スロットル)を導入。さらにトランスミッションや二次レシオも見直され、トータルでダッシュ力に優れたパワフルな走りが追求されている。

 最高出力は4psアップの58ps。その発生回転数も6,250rpmから6,750rpmに高められた。最大トルクも1Nm向上の69Nmを発揮する。

 ギヤレシオの熟成も相まって、先代モデル比較でより俊敏な加速性能が楽しめるだけでなく、静かにかつ快適にクルージングすることも考慮され、燃料消費率が向上している点も見逃せない。

 一般的な燃料タンク位置に設けられた収納ボックスは、スクーターと同様にとても便利な使い勝手が得られ、日常的な足代わりからツーリングまで、幅広い用途に適応する。

 今回の新型はそんな機能的魅力にスポーツ性が加味され、バイクを操縦する楽しさも期待できそう。試乗がてらロング・ツーリングに使って見たい逸材である。

新設計されたダイヤモンドタイプのスチールパイプ・フレーム。角断面構造のスイングアームを組み合わせる。

ご覧の通り、特に高回転域のパワー・トルクが増強された。
上体の起きた自然体で乗れるライディングポジションは従来通り。
HSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)の組み合わせ表

ディテール解説

ほっそりとしたフロントマスクには、コンパクトな異形LEDヘッドランプを装備。

フロントにはシングルディスクブレーキを採用。タイヤはメッツラー製TOURANCEを履く。

水冷の前傾2気筒エンジンをリジッドマウント。パワーバンドが広げられた。

もちろんマフラーも一新。リヤサスペンションはモノショックのプロリンク式が採用されている。

23L収納ボックスの存在が最大の特徴であり、ここにヘルメットを収める事もできる。ETCも標準装備されている。

写真はDCTのハンドル左側スイッチ。スイッチ右側に見えるごついレバーはパーキングブレーキ用。
写真はDCTのハンドル右側スイッチ。赤いスイッチはエンジンキルスイッチと始動ようセルスターター。下はDCTの操作に使う。
当然ながらDCTにクラッチレバーと足のシフトレバーは存在しない。人差指で扱うグレーのスイッチはシフトアップ用。
標準タイプのマニュアルミッション車にあるクラッチ。操作は軽く、スリッパークラッチも採用されている。
液晶メーターもデザイン一新。より多彩な情報表示がなされている。
バッテリー電圧や平均車速などの表示が追加設定されている。
タンデムライディングも考慮されたセパレートタイプのダブルシート。グラブバーもつかまりやすい。

⬛️主要諸元⬛️

NCX750X〔同DCT〕

車名・型式:ホンダ・8BL-RH09

全長(mm):2,210

全幅(mm):845

全高(mm):1,330

軸距(mm):1,525〔1535〕

最低地上高(mm):140

シート高(mm):800

車両重量(kg):214〔224〕

乗車定員(人):2

燃料消費率(km/L):43.0(60km/h)〈2名乗車時〉

WMTCモード値(km/L):28.6〈1名乗車時〉

最小回転半径(m):3.0

エンジン型式:RH09E

エンジン種類:水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒

総排気量(cm3):745

内径×行程(mm):77.0×80.0

圧縮比:10.7:1

最高出力(kW[PS]/rpm):43[58]/6,750

最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):69[7.0]/4,750

燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉

始動方式:セルフ式

点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火

潤滑方式:圧送飛沫併用式

燃料タンク容量(L):14

クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式

変速機形式:常時噛合式6段リターン〔DCT〕

変速比:

 1速 2.666

 2速 1.904

 3速 1.454

 4速 1,178

 5速 0.967

 6速 0.815

減速比(1次/2次):1.731/2.687〔1.921/2,411〕

キャスター角(度):27゜00′

トレール量(mm):110

タイヤ(前/後):120/70ZR-17M/C 58W / 160/60ZR-17M/C 69W

ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク / 油圧式ディスク

懸架方式(前/後):テレスコピック式 / スイングアーム式(プロリンク)

フレーム形式:ダイヤモンド

情報提供元:MotorFan
記事名:「 エンジンが変わった! フレームも変わった! 車重7kgダウンの 新型ホンダ・NC750Xを解説