初代スーパーカブのC100は、OHV(オーバーヘッドバルブ)49ccエンジンを搭載。OHVとはプッシュロッドという長い棒を介してロッカーアームを動作させ、バルブを開閉させる機構。現行型のOHCエンジンに比べ、高回転域でのバルブ開閉が安定しにくいのがネックだが、レトロなOHVエンジンは正統派のスーパーカブフリークに根強い人気。ここでは美しく保存された、極めて貴重なビンテージカブをご紹介しよう。
REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO●てつかたかし(TETHUKA Takashi)
※月刊モト・チャンプ(2009年3月号)より
61年式のC100を完全レストア
スーパーカブC100は1958年(昭和33年)に発売開始。写真のスーパーカブC100の製造年式は、フレームナンバーが「A」から始まる1961年式。スピードメーターギヤがハブの左側に設置された貴重なモデル。
オーナーは経年劣化で痛みの酷かったC100を入手し、消耗部品の交換、サビで傷んだ金属パーツのサンドブラスト加工、各部の再メッキ処理、塗装の剥離&塗装等々、丹念にレストアして見事に復活。各パーツの修復に加え、当時の純正色であったサンタンカラーを自家塗装して現代に蘇らせた。
エンジンはC100に搭載のOHV型をベースに、シリンダーをΦ42mmまでボーリング加工。また、スポーツカブC115用のΦ42mmピストン(頭が盛り上がった高圧縮型タイプ)を流用して54ccにボアアップ。出力を高めているのもポイントだ。
★他車用を流用したチューニング術は、60年代から主流
・シリンダーをΦ42mmにボーリング加工
・頭部が盛り上がったスポーツカブC115用のΦ42mmピストンを流用(圧縮比を高めてパワーアップ)
・54ccのC105用シリンダーとピストンを流用
という54ccボアアップ術は、1960年代初頭から実施されていた定番のチューニング術。これらは排気量を上げてパワーアップする、カブカスタムやモンキーカスタムの「走り」であったともいえよう。
カブフリーク垂涎!超お宝級「60年代の当時モノ」が満載されたC105
スーパーカブC100は1958年(昭和33年)に登場。3年後の1961年(昭和36年)には道路交通法が改正され、50cc未満は2人乗り禁止となり、30km/h走行が義務付けられた。これに伴い、C100のボア径を2mm拡大し、タンデムステップを装備した54ccのC105が登場した。
写真はスーパーカブC105をベースに、トレードマークとも言えるレッグカバーを取り外し、60年代に発売されていた貴重なオプションパーツやカスタムパーツを多数盛り込んだ個性派カスタム。
『HONDA』のロゴ入りセンターバッグ、オプションのパイプハンドルキット、エンジンガード、エアクリーナーカバー、サイドスタンドなど、ハイエンドユーザーにはたまらない超お宝アイテムが装備されている。
マフラーのテール&サイレンサー部は、金属バットの中身をくり抜いて製作したユニークなワンオフをチョイス。