中古車は世代が古く低年式なモデルほどお買い得かと言えばさにあらず。生産終了から年月が経つにつれ残存台数が減り、希少価値が上がることで相場が高騰することは珍しくない。
また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、ポルシェのアイコンであるRR(リヤエンジン・リヤドライブ)のスポーツカー「911」の先代七代目、991型をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●ポルシェ
例えどれほどSUVや電動車の販売比率が高くなろうとも、ポルシェの中核をなすのは911。
これは空冷エンジンの時代から911を愛する熱狂的なポルシェファンの願いであると同時に、ポルシェ自身がブランディングや製品開発を行ううえでの金科玉条であると言っても、決して過言ではないだろう。
2011年8月に発表9月のフランクフルトモーターショーで世界初公開された七代目911(991型)も、RRの駆動方式と水平対向6気筒エンジン、フロントにトランクを備えた2+2シーターの実用的なパッケージング、大きく盛り上がったフロントフェンダーの先端に備わる丸型のヘッドランプ、小柄ながらふくよかな曲面で構成されたクラシカルなプロポーションなど、911の伝統を色濃く受け継いでいる。
一方でインテリアは、伝統の5連メーターを守りながら、カレラGTをモチーフとした、フロントに向かってせり上がっていくセンターコンソールを採用するなど、大幅にモダナイズされ、質感も大きく向上した。
また、アクティブスタビライザー「PDCC」(ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロールシステム)や「PTVプラス」(ポルシェ・トルクベクタリングプラス)、ダイナミックエンジンマウントなども、新たに設定された。
【2011年11月10日予約受付開始】フルモデルチェンジ
前述の通り、350ps&390Nmを発する3.4L空冷フラット6搭載の「カレラ」(7速MT:1117万円、7速DCT:1192万円)と、400ps&440Nmを発する3.8Lの「カレラS」(7速MT:1381万円、7速DCT:1456万円)を設定。いずれも7速MT車は左ハンドルのみだが、7速DCT車は右ハンドルも選択可能となっていた。
【2011年11月30日予約受付開始】追加モデル
ソフトトップオープンモデルの「カブリオレ」を追加。フレームにマグネシウム合金が用いられたソフトトップは、911特有のルーフラインを維持しながら、閉じた状態でもカブリオレであることを強くアピールする。
グレード構成はクーペと同様、3.4L空冷フラット6搭載の「カレラカブリオレ」(7速DCT:1361万円)と、400ps&440Nmを発する3.8Lの「カレラSカブリオレ」(7速DCT:1641万円)の2種類だが、7速MT車の設定はなし。
【2012年8月29日予約受付開始】追加モデル
4WD車の「カレラ4」(7速MT:1265万円、7速DCT:1340万円)、「カレラ4カブリオレ」(7速DCT:1484万円)、「カレラ4S」(7速MT:1534万円、7速DCT:1609万円)、「カレラ4Sカブリオレ」(7速DCT:1774万円)を追加。
新たな電子制御4WD「ポルシェ・トラクション・マネージメントシステム」(PTM)を採用するとともに、カレラに対しリヤのホイールハウスを外側に左右それぞれ22mm、タイヤサイズも10mm拡大している。パワートレインはRR車と共通。
【2013年3月12日予約受付開始】追加モデル
【2013年5月7日予約受付開始】追加モデル
2基の可変タービンジオメトリーターボチャージャーを装着する、3.8L水平対向6気筒ターボエンジンを搭載した高性能モデル「ターボ」(2030万円)および「ターボS」(2446万円)を追加。最高出力と最大トルクは「ターボ」が520ps/6000-6500rpmと660Nm/1950-5000rpm、「ターボS」は560ps/6000-6750rpmと700Nm/2100-4250rpm。
リヤボディをカレラ4Sよりもさらに28mmワイド化したほか、空気圧で展開する3ステージ式可変フロントスポイラーと、3段階のポジションに調整可能な可変リヤスポイラーを装着。「ターボ」は従来のコントロールアームに代わり左右のリヤアクスルに備わる2つの電子機械式アクチュエーターで構成される後輪操舵機構「リヤアクスルステア」とPDCC、「ターボS」はさらにスポーツクロノパッケージとダイナミックエンジンマウント、「ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ」(PCCB)を標準装備する。
いずれもトランスミッションは7速DCT、駆動方式は4WDのみで、左ハンドルと右ハンドルを設定する。
【2013年7月10日(7速DCT車)、7月29日(7速MT車)予約受付開始】特別仕様車
【2013年9月24日予約受付開始】追加モデル
【2014年2月1日予約受付開始】追加モデル
ワイドなBピラーと電動格納式のルーフおよびガラスハッチを備えるタルガトップオープンモデル「タルガ4」(1500万円)と「タルガ4S」(1800万円)を追加した。
いずれもトランスミッションは7速DCT、駆動方式は4WDのみで、左ハンドルと右ハンドルを設定する。
【2014年10月11日予約受付開始】追加モデル
430ps/7500rpmと440Nm/5750rpmを発する自然吸気の3.8L水平対向6気筒エンジンを搭載した、カレラSとGT3の中間に位置するモデル「カレラGTS」(1702万円)、「カレラGTSカブリオレ」(1923万円)、「カレラ4 GTS」(1827万円)、「カレラ4 GTSカブリオレ」(2017万円)を追加した。
全タイプにカレラ4のワイドボディを採用し、10mmローダウンされたサスペンション、スポーツクロノパッケージ、PASM、マットブラック塗装のセンターロック式20インチホイールを装着。ブラック仕上げのバイキセノンヘッドライト、GTSエアインテークスクリーン、ブラック塗装クロームメッキ仕上げエグゾーストテールパイプを標準装備する。
いずれもトランスミッションは7速DCTのみで、左ハンドルと右ハンドルを設定する。
【2015年1月23日予約受付開始】追加モデル
【2015年3月23日予約受付開始】追加モデル
【2015年6月25日予約受付開始】特別仕様車
【2015年9月11日予約受付開始】マイナーチェンジ
【2015年10月13日予約受付開始】マイナーチェンジ
4WD車の「カレラ4」(7速MT:1372万円、7速DCT:1437万1000円)「カレラ4カブリオレ」(7速DCT:1610万円)「タルガ4」(7速DCT:1610万円)と、「カレラ4S」(7速MT:1647万円、7速DCT:1712万1000円)「カレラ4Sカブリオレ」(7速DCT:1913万円)「タルガ4S」(7速DCT:1913万円)をマイナーチェンジした。
前者は370ps/6500rpmと450Nm/1700-5000rpm、後者は420ps/6500rpmと500Nm/1700-5000rpmを発生する、3.0L水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載。全グレードとも左ハンドルと右ハンドルを用意する。
【2015年12月1日予約受付開始】マイナーチェンジ
高性能モデルの「ターボ」(7速DCT:2236万円)「ターボカブリオレ」(7速DCT:2502万円)と、「ターボS」(7速DCT:2599万円)「ターボSカブリオレ」(7速DCT:2865万円)をマイナーチェンジ。いずれも左ハンドルと右ハンドルを用意する。
2基の可変タービンジオメトリーターボチャージャーを装着する3.8L水平対向6気筒ターボエンジンは、前者が540ps/6400rpmと710Nm/2250-4000rpm、後者は580ps/6750rpmと750Nm/2250-4000rpmとなり、いずれも20psと50Nmアップした。
また、アクセルペダルを少し戻したときなどの負荷変動時に過給圧を維持する「ダイナミックブースト機能」を新たに実装している。
【2016年3月2日予約受付開始】追加モデル
【2017年2月9日予約受付開始】マイナーチェンジ
カレラSとGT3の中間に位置するモデル「カレラGTS」(1750万円)、「カレラGTSカブリオレ」(2016万円)、「カレラ4 GTS」(1850万円)、「カレラ4 GTSカブリオレ」(2116万円)、「タルガ4 GTS」(2116万円)をマイナーチェンジした。
エンジンは3.0L水平対向6気筒ツインターボとなり、450ps/7500rpmと550Nm/2150-5000rpmを発生。いずれもトランスミッションは7速DCTのみで、左ハンドルと右ハンドルを設定する。
【2017年4月6日予約受付開始】マイナーチェンジ
【2017年6月30日発表】一部改良
「S」モデルに、30psのパワーアップキットを新たにオプション設定。また、各グレードの内外装カラーラインアップを変更した。
【2017年7月10日予約受付開始】特別仕様車
「ターボS」をベースに、27psアップした専用チューンのエンジンと、ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャーが手作業で仕上げたゴールデンイエローの内外装を持つ、右ハンドル4台、左ハンドル2台限定の特別仕様車「エクスクルーシブシリーズ」(3334万円)を設定した。
【2017年12月6日予約受付開始】追加モデル
「カレラ」をベースに、リヤシートをオプション設定とし、軽量ガラス製リヤウインドウおよびリヤサイドウインドウ、ドアオープナーストラップを採用し、吸音材を大幅に削減することで、約20kg軽量化したスポーツモデル「カレラT」(1432万円、右/左ハンドル)を追加した。なお、欧州仕様には7速MTも設定されるが、日本仕様は7速DCTのみとなっている。
そのほか、フロントスポイラーリップ、機械式ディファレンシャルロック、20mmローダウン仕様のPASM、スポーツクロノパッケージ、チタングレー塗装の20インチカレラSホイール、スポーツエグゾーストシステムを標準装備。室内には、シートセンターをSport-Texファブリックとしたブラックの4way電動スポーツシートを装着する。
【2018年3月28日予約受付開始】マイナーチェンジ
【2019年9月11日発売】特別仕様車
特別仕様車「カレラGTSポルシェエクスクルーシブマニュファクチャー」(2265万3000円、7速DCT・右ハンドルのみ)および「カレラGTSカブリオレ ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャー」(2511万6000円、7速DCT・右ハンドルのみ)を、ポルシェセンター名古屋限定で発売した。
外装は1991年から1993年に製造されていた911(964型)や968、928に採用されたボディカラー・マリタイムブルーで塗装し、サテングロスブラック仕上げのセンターロック式20インチホイール、ハイグロスブラック仕上げのスポーツエグゾーストシステムを装着。室内はブラックを基調に、グラファイトブルーのシートセンターやステッチを施している。
■ポルシェ911カレラ(RR)*2011年11月発表モデル
全長×全幅×全高:4491×1808×1303mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1380kg
エンジン形式:水平対向気筒DOHC
総排気量:3436cc
最高出力:257kW(350ps)/7400rpm
最大トルク:390Nm/5600rpm
トランスミッション:7速MT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/マルチリンク
ブレーキ 前後:ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前/後:235/40ZR19/285/35ZR19
乗車定員:4名
車両価格(当時):1117万円