日本自動車輸入組合(JAIA)のホームページには各種の統計データが公表されている。今回はそのなかで「車両本体価格別輸入乗用車新規登録台数の推移」のデータを分析してみよう。そこから見えてきたものは?(データ:JAIA)
JAIAのホームページの「統計情報」には、興味深いデータが公表されている。そのなかに「車両本体価格別輸入乗用車新規登録台数の推移」というデータがある。これをグラフ化してみた。
一見してわかるのは、「200〜299万円」と「〜199万円」の価格帯のシェアが下がっていることだ。
それでも2010年に「〜399万円」が45.5%となっていることがわかる。その理由は次のグラフを見れば一目瞭然だ。
2009年のリーマンショックは輸入車全体にも大きな影響を及ぼした。結果を見れば2008年〜2011年(この年は東日本大震災があった)が輸入車全体の停滞時期となった。これは奇しくも民主党政権時期(2009年9月〜2012年11月)と重なる。
日経平均株価のバブル後最安値は2009年3月10日(7054円98銭)だった。リーマンショック/民主党政権/株価低迷が重なった時期は輸入車の販売台数も低迷し、価格帯も低価格帯へ移行したということだ。
今度は、グラフを単純化してみよう。
茶色:〜399万円
黄色:400〜799万円
緑色:800〜999万円
黒色:1000万円〜
気になって、スタート価格が1000万円を超えるであろうブランドの販売台数の推移もグラフ化した。こちらはデータを21世紀に入ってからとした。
アストンマーティン/ベントレー/フェラーリ/ランボルギーニ/マセラティ/ロースルロイス/ポルシェのデータである。
ポルシェは販売台数が他ブランドより多いので別グラフとした。
いずれのブランドも大きく販売台数を伸ばしている。
伸び率をグラフ化してみた。
2001年の販売台数を100%としたとき、輸入車全体としては2019年は121.5%となっている。これをベースにグラフを見ていくと、超高級車の販売台数は「驚異的に」拡大しているということがわかる。一見するとフェラーリの伸び率が低いように見えるが、それでも約1.9倍になっている。
ではこの間、我々の所得水準はどうなっているか?
さまざまなデータがあるのが、ここでは厚生労働省の国民生活基礎調査の数字を引用する。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると
1世帯当たりの平均所得(全世帯)
2001年602.0万円
2018年552.3万円
2018年の所得は2001年の91.7%なのだ!
これはつまり、超高級車を購入する富裕層はさらにリッチに、中間層以下の所得は目減りしている、いわゆる「格差」が拡大していることの表れ、ともとれるデータとなる。
超高級車も売れる経済状況は歓迎だ。しかし、超高級車だけが販売台数が伸びる(ミドルクラスが痩せ細った状態)状況は、やはり気になるところである。