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【毎日更新・輸入車ベスト3(河村康彦編)】第1位:ポルシェ911カレラ4(964)/第2位:マクラーレンMP4-12C/第3位:フォルクスワーゲン・ゴルフII


これまでの人生において、所有したり試乗したりした輸入車のなかからベスト3を業界人に選んでいただく本企画。河村康彦さんは、歴代のポルシェ911の中でもタイプ964をチョイス。しかも4WDのカレラ4こそがベストだというが、その理由は?




TEXT●河村康彦(KAWAMURA Yasuhiko)

第3位:フォルクスワーゲン・ゴルフ CLi(1983年-/2代目)

※写真のゴルフIIのグレードはCLiではありません。

自身のフォルクスワーゲン車初体験は2代目のゴルフ。当時潜り込む(?)ことに成功した自動車専門誌の編集部が、日本に導入が始まったばかりの2代目ゴルフを長期テスト車として採用した関係で、当方もそのステアリングをたびたび握ることになったのだ。




初代ゴルフを"角丸にしてちょっと膨らませた"ようなボディのルックスは、端的に言って「お洒落度ゼロ」と言いたくなるような仕上がり。ボディは赤だったがバンパーは黒のまま。"カラードバンパー"が当たり前だった日本のライバルに比べると、それだけでも何だか随分と貧相に感じられたもの。四角い巨大な箱を据え付けたようなメータークラスターも、今振り返ればクラシカルそのもので化粧っ気など微塵もナシ。アイドリングではそれ全体がビリビリと賑やかに振動をするものだから、「一体こんなクルマのどこが良いんだ...」と、当時はまだ"スペック第一主義"だった自分にはそう思えたことを覚えている。




ところが、街乗りシーンをクリアして高速道路へと乗り込むと、この"どうってことのない"ルックスの持ち主は、その真価を露わにした。




まずはその直進性が圧倒的! 4輪が地に着いた感覚は日本車代表であるカローラなどの比ではなく、凄まじいまでの安心感を味わわせてくれたもの。1.8リッターのSOHCエンジンが発する最高出力は確か100psにも満たず、実際に絶対的な加速力もたいしたものではなかったが、それでも一度勢いが付いてしまえばそのハイペースを維持して行くのは容易い相談。「クルマの"速さ"を決めるのはエンジンではなく脚なんだ!」と気付かせてくれたのもこのモデルだった。




かくして、そんな経験によって自分が"スペック第一主義"を卒業したことは言うまでもない。後に懇意にしていただくこととなった徳大寺(有恒)サンが、かの本で「スゴイ凄い!」と褒めちぎっていた初代ゴルフに『中古車試乗』で初めて乗ることが出来たのは、そんな2世代めのゴルフを先に経験した数年後のことになった。

第2位:マクラーレンMP4-12C

1960年代からF1レースへの挑戦を続ける、名門コンストラクターのマクラーレン。その市販車部門であるマクラーレン・オートモーティブから、いかにもF1マシンとの関連性をイメージさせるネーミングと共に2011年に世に放たれたのがこのモデル。初めて目にした際には「いかにもスーパーカー然としたルックスの持ち主だけど、"F"や"L"といったライバルブランドの作品に比べると、歴史も華やかさもちょっと物足りないかな」なんて思っていたものの...。




走り始めると、後方視界の良さや操作系の分かりやすさなど、いわゆる実用性が予想を大きく上回っていたことにちょっとビックリ。もちろん、いざアクセルペダルを深く踏み込んだシーンでは凄まじい加速力が味わえる一方で、排気音がやや濁ったものであったりしたことも「花よりも実をとる」というこのブランドのポリシーを印象づけられることとなった。




しかし何よりも最高にビックリさせられたのは、その乗り心地の素晴らしさ。それは紛れもなく、「これまで経験をしてきた中で、最もしなやかな乗り味の持ち主」と言えるものであったのだ。




しかし、しばらくそんな走り味を堪能しているうちに、「あ、さすがはマクラーレンの作品なんだな」と合点が行くことに。というのも、そんなしなやかさにしても視界や操作系の優秀さにしても、それが「可能な限りドライバーの負担を下げるための策なのだ」と納得が出来たからだ。




前述のようにこのブランドは、レース界の頂点に立つF1コンストラクターの名門中の名門。となれば、長年の経験から「好成績を挙げるためには、ドライバーのストレスを最大限に減らしながら、ドライビングに集中をさせるかがいかに重要か」を知り尽くしているに違いない。




そんなポリシーがまさにそのままに生かされているのが、MP4-12Cのデザインであり、その走り味であるはず。ここまで設計者の思想をダイレクトに感じさせられたのは、このモデルが初めの経験だった。

第1位:ポルシェ911(1989年-/964型)

※写真はポルシェ911カレラ4"30th Anniversary Edition"

実は、初めてのテストドライブで余りに強烈な衝撃を受け、身分不相応を承知の上で長期のローンを組んでまで、無理やり手に入れてしまった...という個人的な過去もあるのがこのモデル。




ボディの剛性感の高さは圧倒的で、なるほど"金庫のような"という比喩があながち大袈裟とは思えないもの。一方、当時のカローラと同等サイズのそんなボディの中に、センターデフとリアデフ双方に電子制御LSDを備える凝った4WDシステムや、ツインスパーク化をされた3.6リッターという"大排気量"のエンジン、パワーステアリングにエアコン等々と、初期の911では考えられなかった様々なアイテムをテンコ盛りしたお陰で、整備性は最低(?)となり、結果高価な整備代には泣かされることになったのも事実。




それでも、リアエンジンの持ち主であることが信じられないほどに高い直進性や、4輪にネットチェーンを装着して雪道へと乗り出した際の驚くべき雪上踏破性(!)など、それまでの911では考えられなかった新たな走りの次元を味わうことが出来たのは感動モノだった。以来、「911は、"ヨンクでクーペ"のモデルこそがその真打ちだ!」と、個人的にはそう確信をするに足る刷り込みをしてくれたのも、やはりこのモデルであった。




個人的には特にサイズ面から、「今でも新車で買えるのならば欲しい」と思える筆頭の911がこのモデル。ちなみに、そんな964型カレラ4が登場した1989年は、日本ではR32型のスカイラインGT-Rが誕生した年。日本国内に限らず、「世界のスポーツカーのヴィンテージイヤー」と言えるのがこの時だったのかも知れない。

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