スバルの新型レヴォーグはフルインナーフレーム構造を採用し、大幅に剛性が向上したSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用。そして、最上級グレードの「STI Sport」にはスバル車として初めて電子制御ダンパーを搭載する。ボディとシャシー、その進化のポイントを探る。
TEXT●安藤 眞(ANDO Makoto) PHOTO●山上博也(YAMAGAMI Hiroya)/SUBARU
フルインナーフレーム構造の採用によりねじり剛性は44%向上
インプレッサに初採用された際、その飛躍的な進化ぶりでわれわれを驚かせたSGP(SUBARU Global Platform)が、いよいよレヴォーグにも採用された。国内向けスバル車のトリを務める形になったため、まさに「レヴォーグファン待望の」と言って良いだろう。
SGPは、2025年に実施予定の衝突安全基準を先取りし、骨格構造から見直しを行なった新世代プラットフォーム。床下骨格をトラス状に配置し、前から後ろまでサイドメンバーの断点を作らずボディを貫通させることで、前後サスペンションの荷重伝達や前後衝突荷重の合理的な支持を実現。フロアトンネルの強化や、リヤフロアまわりに配置された骨盤のような骨格によって、旧プラットフォーム比で剛性を約2倍に高めたものだ。
今回はそれベースに、新型レヴォーグへの最適化を実施。まず組み立て工法を見直して、フルインナーフレーム構造を採用した。
慣例的に行なわれてきた工法は、フロアやサイドコンポーネントを別々にサブアッセンブリーしておき、それを集めて溶接してボディに仕上げるという手順だが、骨格に外板が付いた状態で溶接するため、スポット溶接できない部位が生じ、理想的な結合効率が得られない。それを改め、すべての骨格を理想的な溶接位置で結合した後、外板を被せてボディに仕上げるのが、フルインナーフレーム構造だ。
減衰力特性をリアルタイムに最適化する電子制御ダンパーをスバルで初採用
制御モードは“COMFORT”、“NORMAL”、“SPORT”、“SPORT+”、“INDIVIDUAL”の5種類あり、減衰力制御だけでなく、パワーステアリングのアシスト量やパワートレーンの応答、クルーズコントロールの加減速応答やエアコンの強さまで切り替わる。
さらに“INDIVIDUAL”モードでは、可変要素の特性を個別に設定することができ、最大5パターンの登録が可能。ドライバーモニタリングシステムとも連動しており、ドライバーの顔を認識して、記憶されたモードが自動的に選択される。
ドライブモードセレクトの設定キャラクターは以下の通り。
【Comfort】
電制ダンパーをソフトに設定し、高級車並みの降り心地、快適性を実現。エアコンも乾燥しにくいMild設定。
【Normal】
ストレスフリーを狙ったアイサイト/先進運転支援に最適なモード。
【Sport】
パワーユニット制御を"Sport"に設定。スポーティながら乗り心地も重視。
【Sport+】
電動パワステ・電制ダンパーをハードに設定。スポーツカー並みのドライビングが可能。
他にも電動ブレーキブースターの採用や、パワーステアリングのデュアルピニオン化など、改良項目は非常に多岐に渡る。さらなる詳細は、10月ごろ発売予定のニューモデル速報「新型レヴォーグのすべて」でお届けできると思うので、楽しみにお待ちいただきたい。