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♯01 ラビットを自分で直して乗り出せば安く済むのだろうか?


以前に鉄スクーターの代表的車種であるラビットS301を実際に手に入れたことをお伝えした。50年以上も前の古いスクーターだから壊れて当たり前。ではラビットを買うため、どのような方法があってどうすればお得に乗ることができるのだろう。今回はラビットに関する家計簿から、理想的な乗り方を考えてみよう。

 昨年末にご紹介した筆者のラビット・スーパーフロー125のことを覚えていらっしゃるだろうか。50年以上も前の鉄スクーターなので、手に入れてからの道のりが非常に長かった。というのも、筆者が手に入れたのは長年不動だった、いわゆる「レストアベース」の状態だったから。はじめから自分で修理をして路上復帰させるつもりだったのでOKだが、こんな乗り方は一般的ではないだろう。

手に入れた当初のレストアベース状態。本当に汚い不動歴数十年という個体だった。

 普通ならちゃんと動いて止まれるモノをショップから買うもの。でも、古いうえに人気が偏ったラビットなんて、そうそうショップに売り物があるわけじゃない。だったら、イチから自分で直して乗るのがいいだろうと考えたのだ。


 でも今回、改めて考えてみたいと思う。古い鉄スクーターに乗るなら、本当に自分で直して乗るのがいいのか。それともショップで探して普通の中古車と同じように乗るのがいいのだろうか、と。そこで筆者が足掛け3年にわたって直してきたラビットの家計簿をご紹介したいと思う。この3年という歳月は人によって長いのか短いのか意見が分かれると思うが、例えば毎週末に作業できればもっと短くても可能。筆者の場合、気が向いた時や時間に余裕がある時しか作業していないので、3年にもなってしまっただけのこと。

購入価格は個人売買で9万5000円也。

個人売買で購入し、他県から運んでもらった。

 まず購入したのは個人売買で、他県から運んでもらう手間も入れて車体価格が9万5000円だった。単純にこの価格が高いのか安いのか。筆者としては妥当な価格だったと思う。手に入れた2016年当時はラビット、特にS301系の人気が上昇している時期で、例えばヤフオクで探せば不動のレストアベースが6万円くらいから選べた。

タンデムステップが歪んでいたが、幸いなことに腐食には進んでいなかった。

だが、問題はベース車の素性。鉄スクーターと呼ばれるくらいでラビットはボディパネルが鉄で出来ている。だから錆びる。サビが出ているくらいならいいが、なかには腐食が進行して穴だらけ、酷いとパネル自体がなくなっている場合もある。

またパーツの欠品状態も見極めたい。筆者の場合、サイドミラーがないくらいだったが、実はこれが盲点。後から純正ミラーを手に入れたが、その価格はなんと1本1万円近い。

値段が上がる一方の純正ミラー。マルフと呼ばれるマークが入っているのがキモだ。

 そんなわけで足りないパーツを手に入れたり、修理していて必要になるパーツも買わなければならない。手に入れた部品代だけでも、3年の間に24万8350円が必要だった。さらにバラバラにしたボディを工場へ持ち込んで板金塗装してもらっている。

自分でボディパネルをバラバラにして板金塗装工場へ持ち込んだ。

工場では純正の塗装を剥いで鉄板剥き出しの状態にしてから修理、下地作り、塗装をしてくれた。その金額が15万円。作業内容を考えたら安いとは言えるだろう。

エンジンを分解してオーバーホールを行った。

さらにエンジンを分解した時、クランクシャフトの芯出し加工は自分ではできないので、内燃機加工業者に依頼。加工賃は9720円だったが、ここからラビット仲間4人体制でエンジンを組み直している。ここにお金はかかっていないが、もしプロに頼んでいたら10万円以上にはなるだろう。

合計金額は43万9714円(以上掛かりました!)

トルコンからのオイル漏れ修理で何度も泣かされた。

 さらにさらに、以前の記事でも紹介したようにスーパーフローという名前の由来でもあるAT機構、トルコンからのオイル漏れで何度も修理を繰り返し、最終的にプロに直してもらった。その修理代が3万1644円。

 ナンバー代や自賠責代を含まない車両本体価格と部品代、修理代を含めた総合計は実に43万9714円にもなってしまったのだ。この金額は当然、高い。でも、これでもまだ不足はある。実はケチッて安く誤魔化した部分もある。

ステップにはかぶせるタイプの社外品マットを敷いている。

まずステップマット。足元には純正でゴム製のマットが付くのだが、これが経年劣化により縮んでしまっていた。外したら最後、元のようにつけることができなくなっていたのだ。もちろん純正新品など日本全国探してもない。複製なら見つかるかもしれないが高い。ということでステップ全体にかぶせる社外マットでお茶を濁している。

タンデムステップにはゴム板から切り出したお手製のマットを貼っている。

 これはタンデムステップも同じで、こちらは複製が6000円から8000円くらいで売っている。でもケチッてホームセンターで買った400円くらいのゴム板から切り出したものを貼っている。

純正ヘッドライトが切れたため、ハロゲンランプを無理やり装着している。

 ほかにはヘッドライト。純正だとシールドビーム式の一体型ランプなのだが、もちろん新品なんて手に入らない。実に点灯する中古品が2万円も3万円もする。筆者の場合、路上復帰当初は点灯していたのだが、ある時夜間走行していて切れてしまった。そこで同じ外径のハロゲンランプを買って無理やり装着している。


 こんな状態でも43万円以上かかっている。これは果たしてお得な乗り方だったのだろうか。改めてかかった費用を計算してみて、こんな疑問にブチ当たってしまった。そこで次回はラビットをどう買えばお得なのか考えてみたいと思う。

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