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動力性能よりクルージング時の快適性


多くのユーザーにとって現実味のある価格設定に興味津々! いわゆる中間排気量のスズキ・ジクサー150は、コスパも含めて絶妙のハイパフォーマンスを発揮してくれた。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)/近田 茂(CHIKATA Shigeru)


取材協力●株式会社 スズキ

スズキ・ジクサー150.......352,000円

装いも新たに2020年3月から発売された最新モデル。

2017年1月登場の初代モデル
2018年5月のマイナーチェンジ・モデル


 100kmプチツーリングのインプレ記事は既報の通りだが、今回は高速走行での印象をもう少し詳しくお届けしたい。ズバリ言うと、150ccばかりの排気量でも高速クルージング性能が優秀で快適だったのである。


 


 搭載エンジンはご覧の通り空冷の単気筒。同弁系も至ってシンプルなSOHCの2バルブ。シリンダーヘッドに横置きに配置されたシングルカムシャフト(吸気用と排気用それぞれのカムを持つ)は、大きめなベアリングで支持されている。


 その頭上でシーソーの様な動きで吸排気それぞれのバルブをプッシュするロッカーアームもローラー式。基本構造こそオーソドックスだが、SEP(SUZUKI ECO PAFORMANCE)と呼ばれる最新技術満載のエンジンなのだ。


 燃焼効率の追求や各部のフリクションロス低減が徹底されて、無駄のない高性能発揮に貢献しているのである。


 そして見逃せないのがボア・ストロークだ。56×62.9mmというロングストロークタイプの154cc。


 


 ちなみに、カテゴリーとしては同ジャンルのGSX-S125のエンジンは62×41.2mmの124 ccと、思い切りショートストロークタイプのDOHC 4バルブエンジンに6速ミッションを採用している。これと比較すると、ロングストローク・エンジンと5速ミッションが組み合わせられたジクサー150は、異なる乗り味に仕上げられていることが理解できるだろう。

2バルブと言うシンプルな構造に大きなボールベアリングで支持されるシングルカムとローラーロッカーアームを組み合わせた動弁系。そして何よりも、ロングストロークタイプから表現される出力特性が優秀な乗り味を発揮する。


 ピストンが動くスピードが同じなら、動く距離(ストローク)が短い方が素早く往復できるから回転は速くなる。ロングストロークの場合は往復するのに時間がかかるから、回転は遅いが1回の爆発エネルギーがクランクを押し下げている時間は長くなる。


 詳細解説は割愛するが、ロングストロークの方が柔軟なトルク特性の発揮に有利。ショートストロークは高回転高出力の追求に有利である。感覚的な表現を借りれば、一回の爆発力をしたためる様にクランクを踏み下ろして強かな回転トルクを生み出すのと、弾けるような爆発を小刻みに連続させる事で、回転に勢いを生む様な違いがある。




 ここからが本題。ジクサーの高速性能は、難なく100km/hクルージングを可能とする。その時のエンジン回転数は7,250rpm。110km/h制限の道なら8,000rpmになるハズ。これがちょうど最高出力発生回転数である。


 既報の通り低いギヤで全開加速を試みるとエンジン回転はレッドゾーンの9,500rpmに届くが、それ以上は回らない。5速トップギヤでそこまで回ったと仮定しても最高速は130km/hに届くかどうかのレベルに過ぎない。


 高速の流れに乗って走っている時に向かい風や登り勾配に遭遇すると、スロットルを開けても余力はそれほど残っていないのも事実である。決してパワフルではないし、空気抵抗の大きな通常の乗車姿勢ではおそらく9,000rpmにも届かないことは容易に推察できるポテンシャルだ。




 ところがである。驚かされるのは100km/hクルージング中のエンジンフィーリングには、どこか余裕が感じられる。少しオーバーに表現すれば、まだまだ力半分で走っているかのような雰囲気。


 不快な振動もなく、スムーズで快適に走り続けられる点に優秀な高速性能が見い出せたのである。


 


 比較対象が適切でないのを承知であえて言うと、高速移動に関しては筆者が愛用するホンダ・XR230よりも、ジクサー150の方が間違いなく快適だった。もちろん高速の流れを楽々リードできる程のパワーはないので、好んで高速を走りたいとは思わないのも本音だが、先を急ぐ時でも不満なく快適に高速クルージングできるジクサー150の機能的な魅力は侮れない。

素性の良いオーソドックスな空冷OHCの2バルブ単気筒エンジン。

シリンダーからシリンダーヘッドまで冷却フィンに覆われた空冷の単気筒エンジン。クランクケース右側に湿式多板クラッチが内臓されている。
クランクケース前方に位置しているのがエンジン始動用のセルモーター。クランク軸左端には発電機が内臓されている。


多彩な情報を表示する液晶ディスプレー。

 付録情報として新しくなった液晶メーターについて簡単解説をお届けしよう。通常の計器板機能の他に、オイルチェンジインジケーターや時計も内蔵されている。


 上端を右方向に伸びるのがタコメーター。1,000rpm迄は500rpm毎だが、それ以上は250 rpm毎に1ブロックが増えて右横に伸びて棒グラフ状に表示される。フルスケール12,000rpmでレッドゾーンは9,500rpmからだ。


 右端で縦方向に積み重なるのがフューエルメーター。全6 ブロック表示で12L満タンを示し残4 ブロックでだいたい半分を消費。残1 ブロックでタンク内残量は約3L。さらに警告灯が点滅すれば残量約1.2Lを示す。


 また上部中央に白く光るのはエンジン回転インジケーターライト。メインスイッチをONにしてメーター左側のセレクトスイッチを長押しして設定モードにし、右のアジャストスイッチを押すと点灯→点滅→消灯が順次切り替えられる。その後4,000~9,500rpm迄500rpm刻みで点灯タイミングが選択でき、再び左のセレクトスイッチを押すと設定完了となる。

エンジン始動前の通常表示パターン。
キーをONした時に全表示された瞬間を撮影。


カラーバリエーション

グラススパークルブラック、ソニックシルバーメタリック/グラススパークルブラック、グラススパークルブラック/トリトンブルーメタリック。

◼️主要諸元◼️

型式:2BK-ED13N


全長/全幅/全高:2,020mm/800mm/1,035mm


軸間距離:1,335mm


最低地上高:160mm


シート高:795mm


装備重量:139kg


燃料消費率:55.3km/L(60km/h/2名乗車時 )


WMTCモード値:51.0km/L(1名乗車時 )


最小回転半径:2.6m




エンジン型式:BGA1


弁方式:空冷・4サイクル / SOHC2バルブ 単気筒


総排気量:154㎤


内径×行程:56.0mm×62.9mm


圧縮比:9.8


最高出力:10kW〈14 PS〉/8,000rpm


最大トルク:14N・m〈1.4kgf・m〉/6,000rpm


燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム


始動方式:セルフ式


点火方式:フルトランジスタ式


潤滑方式:ウェットサンプ式


潤滑油容量:1.1L


燃料タンク容量:12L




クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング


変速機形式:常時噛合式5段リターン


変速比:


 1速…2.750


 2速…1.750


 3速…1.300


 4速…1.045


 5速…0.875


1次減速比:3.181


2次減速比:3,000


フレーム形式:ダイヤモンド


キャスター:24゜50'


トレール:100mm


ブレーキ形式(前/後):油圧式シングルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク


タイヤサイズ(前/後):100/80-17M/C 52S / 140/60R17M/C 63H


舵取り角左右:35°


乗車定員:2名




生産国:インド

ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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