XSR155は、タイヤマハで生産されているマシンだ。XSRシリーズ上位モデルのデザインを受け継いでいるだけでなく、エンジンには可変バルブタイミング機構を採用するなど、非常に魅力的なネイキッドモデルに仕上げられている。
PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)
問い合わせ●バイク館SOX(https://bs-sox.com)
ヤマハXSR155……399000円
実車を前にした瞬間「これは良いね」とカメラマンと盛り上がった。XSR700や900のレトロモダンなデザインは旧車好きなテスターや今回のカメラマンの好み。そのイメージを実に上手く再現していた。
ツインチューブタイプのフレームに倒立フォークを採用。タンクやシートの造形だけでなく、メーターやライト類、ハンドルやポジションに至るまで手を抜いていない。それでいて車体サイズが小さいから、とても可愛い感じがする。
低くフラットなハンドルなど、跨った感じも兄貴分そっくり。更にハンドリングも似ている。極低速や浅いバンク角ではハンドルの舵角が多めにつくが、速度が出るとこの傾向はなくなり、素直にバンクして旋回していく。
個人的にこういうハンドリングはあまり好きではないけれど、これが悪いというわけではない。ライダーが積極的にコントロールしてやればいいだけのことで、マシンコントロールを楽しむことができる特性だ。
倒立フォークの動きはスムーズだし、ブレーキも良く効くなど、車体回りはとても良くできている。
VVA(可変バルブタイミング)システムを採用したエンジンは低速から高速までトルクがある。車体を力強く押し出すのではなく、軽やかに速度を上げていくようなフィーリングだ。排気量のことを考えればトルク特性やパワーは十分すぎるほど。町中をキビキビ走ることができる。
一つ気になったのは高回転でエンジン周辺から聞こえるガラガラというノイズ。スロットルを開けている時だけだからメカノイズではなく、パワーが出ている時にどこか共振しているのかもしれない。セローでも同じようなノイズが聞こえるのだが、オーナー達に話を聞くと、気になる人とまったく気にならないという人がいるから、これもライダーの感覚で評価が変わる部分なのだろう。
試乗を終えてマシンを眺めていてマフラーやエンジン周りの作りが今一つチープなことに気がついた。もっともこれはオーナーが購入後にカスタムを楽しむ可能性が残されていると考えれば良いだろう。
アフターマーケットパーツでマフラーは出てこないだろうが、車体価格が安い分、マフラーを単品制作してしまうことに多少お金を使うというのも手。車体の内側を見てみるとスペースがあるから、アップタイプのマフラーにしてサイドカバーの内側を通すようなレイアウトにしてしまい、エンジン周辺の処理をもう少しスッキリさせたら、スタイルも引き締まることだろう。
150クラスのマシンは、国産、輸入車合わせて様々なマシンが登場しているが、XSR155のデザインやエンジン、高品質な足まわりは、数あるライバル達の中でもひときわ光っている。ビッグバイクオーナー達のセカンドバイクやストリートコミューターとして、とても魅力的なマシンである。
ディテール解説
主要諸元
全長x全幅x全高:2000x805xl080mm
シート高:810mm
ホイールベース:1330mm
最低地上高:170mm
車重:134kg
エンジン型式:水冷単気筒4ストローク 4バルブSOHC
排気量:155cc
ボア✕ストローク:58.0x58.7mm
圧縮比:11.6: 1
最大出力:19.3hp/10,000rpm
最大トルク:14. 7nm/8,500rpm
オイル容量:Wet sump 0.85 - 0.95L IOL
燃料供給方式:インジェクション
変速機:6速
フロントタイヤ:110/70- l 7M/C 54S,
リアタイヤ: l 40/70-17M/C 66S