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マツダMAZDA31.5ℓモデル 「これでいい」ではなく「これがいい」装備も走りも燃費も不満なし MAZDA3 FASTBACK 15S Touring


MAZDA3のエントリーグレード15S Touringに試乗した。SKYACTIV-G1.5の1.5ℓ直4エンジンを搭載するファストバックモデルである。見上げれば頂上にSKYACTIV-Xエンジン、SKYACTIV-D1.8エンジンをいただくMAZDA3のグレード構成のボトムラインを支える15S。これが想像以上にいいクルマだったのだ。

車両価格231.6万円の1.5ℓモデルの実力や如何に?

鳴り物入りで登場したMAZDA3。あまりにも前評判が高かったので、「販売台数が伸び悩んでいる」「SKYACTIV-X搭載モデルの価格が高すぎる」といった声があるもの事実だ。でも1.5ℓモデルは手放しで「いい!」と言える

 マツダの新世代商品群のトップバッターであるMAZDA3のボトムエンド、1.5ℓガソリンエンジン搭載モデルを試乗した。15S Touringである。厳密には最廉価グレードは15S(FFモデルで222万1389万円)で、15S Touringは装備を充実させたグレードである。


 週末に200kmドライブしただけ、ではあるが、いきなり結論からいうと、この1.5ℓモデル、とてもよかった。「これで充分」ではなく、積極的に「これがいい!」と感じた。


 マツダ横浜R&Dセンターで対面した15S Touringは、外観からはエントリーグレードとはまったくわからない。18インチのアルミホイールを履いているから足元に弱々しさもない。1.5ℓエンジンを搭載しているからといってMAZDA3のカッコよさは、いささかも損なわれることはない。


 現在のMAZDA3の販売は、当初の目標月販台数をクリアする水準で推移しているという。そそれを支えているのが、この1.5ℓモデルなのだ

室内長×幅×高:1820mm×1490mm×1160mm

シートはブラック(チャコールステッチ)のクロス製 もちろん電動ではない
身長175cmの人が前後に座ると後席膝周りには握り拳1個分の余裕がある


 ドアを開けてコックピットにおさまる。ステアリングは上級車種と変わらない本革巻きだし、フロントウィンドウ投射タイプのHUD(ヘッドアップディスプレイ)も付いている。「これはオプションだろう。いくらどうか?」と思ってスペックシートを見てみると、


車両価格○231万5989円


試乗車はOP(360°ビューモニター+ドライバーモニタリング8万6880円)込みで240万2869円


 と書いてある。つまり、もともとの231万5989円でもうフル装備状態なのだ。オプションで追加するものがないほど充実した装備である。


 この15S Touringで設定がない装備は


クルージング&トラフィックサポート


交通標識認識システム


前側方接近車両検知


アダプティブヘッドライト


パワーシート


 くらいで、そのどれも(アダプティブヘッドライトは欲しいけれど)なくても不自由しない装備だといえる。だって、231万円のクルマですよ。

全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm ホイールベース:2725mm

トレッド:F1570mm/R1580mm
車重:1340kg 前軸軸重820kg 後軸軸重520kg


たかだか111ps/146Nmだが、これで充分か

G1.5の111ps/146Nmに対してG2.0は156ps/199Nm。だいぶ差があるが、G1.5は気持ちよく回るエンジンだった

 イグニッションスイッチを押してエンジンを始動する。エンジンは、1.5ℓ直4DOHCのSKYACTIV-G1.5である。パワースペックは


最高出力:111ps(82kW)/6000rpm


最大トルク:146Nm/3500rpm


 である。たかだか111ps。車重が1340kgだからパワーウェイトレシオは12.1kg/ps。これでは力不足で我慢できないほど遅いかも、と思ったが、乗り出してすぐに感じるのは、爽快な加速感だ。絶対的な加速はもちろんたいしたことはない。しかし、加速「感」はとても気持ちのよいものだった。アクセルペダルとスピードの上昇、変速のタイミングが絶妙にチューニングされている。ひと言で説明しにくいが、アクセルペダルの踏み応えがみっしり、しっとりしていて妙な軽さがないので、欲しい加速感にぴったりあった踏み込み量でぴったりきまる。いわゆるアクセルペダルの踏み込み過ぎ(オーバーシュート)が起きないのだ。

エンジン形式:直列4気筒DOHC エンジン型式:P5-VPS型 排気量:1496cc ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm 圧縮比:13.0 最高出力:111ps(82kW)/6000rpm 最大トルク:146Nm/3500rpm 過給機:なし 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 使用燃料:レギュラー 燃料タンク容量:51ℓ

エンジンカバーを外すとこう見える。ボンネットフードはダンパーなし

ご興味のある方は少ないと思いますが、これがエンジンカバー
裏側はこうなっている


 1.5ℓ111ps/146Nmのエンジンだから、加速したいときには深くアクセルを踏むことになる。そして踏めば元気に吹け上がる。それが心地よいのだ。大パワーのエンジンのごく一部の性能を使って走るのではなく、エンジンをガンガン回す楽しさがこの15Sにはある。


 エンジン回転数は


90km/h巡航で約2000rpm


100km/h巡航で約2200rpm


110km/h巡航で約2400rpm


だった。

215/45R18 89WのTOYO PROXES R51 A
指定空気圧は前後ともに250kPa


マツダ内製の6速ATのギヤ比は1速:3.529 2速:2.025 3速:1.348 4速:1.000 5速:0.742 6速:0.594 後退:2.994 最終減速比:4.605

 最終減速比は4.605(MTモデルは4.388)だから、回転数が最近のダウンサイジングターボ+7速・あるいはそれ以上のトランスミッションと組み合わせるクルマと比べるとやや高いがまったく気にならない。SKYACTIV-D1.8やSKYACTIV-Xでは、6速ではなくて、ライバルのように7速、8速があったら、と思うシーンがないではなかったが、15Sと6ATの組み合わせは完璧。ちなみにステアリングに変速用のパドルは装備しないが、それもまったく問題ない(231万円のクルマですよ)。




 それよりも高速巡航時の風切音の低さ(小ささ)にちょっと感動する。CX-30でも同じ感想を抱いたが、マツダの新世代商品群は風切音を含めたNVの扱い方が一段階上がっているように感じた。

マツダの標準オーディオがいい

マツダ・ハーモニック・アコースティックス+8スピーカー BOSEサウンドシステムはオプションでも選べない。

 ファブリック地のシートもとてもいい。お尻は滑らないし、一度ポジションが決まればその後お尻を動かす必要はなし。変に本革シートにするより、ファブリックのシートの方が「ドライバーが座る」という機能に関しては高い性能を発揮すると思う。




 乗り心地はどうか? 今回の試乗はひとりで行なったため、後席の乗り心地は確認できなかった。MAZDA3の初期に「リヤが跳ねるような気がする」「後席のノリ心地が悪い」という感想を抱いたが、今回の15S に関しては、そういうネガは感じなかった。175cmのドライバーが前後に座ると、後席膝周りにはちょうどこぶし1個分ほどの余裕があった。

イギリスのバンド、10ccの1975年発表のアルバム「オリジナル・サウンドトラック」。名曲「I'm not in loveアイム・ノット・イン・ラヴ」が収録されている。
こちらも名盤「タペストリー(日本語タイトルは『つづれおり』)」1971年に発表されたキャロル・キングの代表作。いつ聴いても素晴らしい。


 もうひとつ、書いておきたいのはマツダ・ハーモニック・アコースティックス+8スピーカーという標準オーディオ(つまり追加の費用はゼロ)の出来の良さである。


 CDを聴けるオーディオを搭載しているクルマに乗る際には、その日の天候と気分、クルマのキャラクターに合わせてお気に入りのCDを2、3枚選んで乗ることにしている。今回は1970'sの名盤2枚をチョイスした。


 オーディオ設定のメニューでリスニングポジションを「運転席」にすると、非常によい音が楽しめる(フル乗車で全員が音楽をじっくり楽しむシチュエーションではこの設定では不満がでるだろうが、フル乗車することがあれば、それは会話を楽しむべきではないか)。このMAZDA3の前に試乗したMAZDA6ワゴンのBOSEより、MAZDA3の15Sの標準オーディオの方が良い音が楽しめた(オーディオ評論家ではないので、あくまでも個人の感想です)。

試乗する際はぜひお気に入りの1枚を持参して。その際にリスニングポジションの設定を「運転席」にすることをお忘れなく

200km走って燃費はどうだったのか?

 さて、今回の200kmの試乗で燃費はどうだったか? トータルで14.6km/ℓだった。


モード燃費が


WLTCモード燃費:16.6km/ℓ


 市街地モード 13.7km/ℓ


 郊外モード 16.5km/ℓ


 高速道路モード 18.4km/ℓ


 モード燃費の達成率は88%。悪くない燃費性能だ。もちろん燃料はレギュラーガソリンである。


 ちなみにSKYACTIV-X搭載モデルの燃費はFF 6ATでWLTCモード燃費:17.2km/ℓ


だが、こちらはハイオク推薦である。前回MAZDA3×SKYACTIV-Xを試乗した際の燃費は14.3km/ℓだった。




 MAZDA3のファストバックには1.5ℓガソリン(SKYACTIV-G1.5)2.0ℓガソリン(SKYACTIV-G2.0)、2.0ℓガソリンSKYACTIV-X、1.8ℓディーゼル(SKYACTIV-D1.8)のエンジンがラインアップされている(セダンは1.5ℓの設定なし)。

燃料はもちろんレギュラーガソリン。

 価格をざっと見てみると(FFモデル)


15S Touring 231万5989円


20Sプロアクティブ251万5741円


XDプロアクティブ279万741円


Xプロアクティブ 319万8148円


 となっている。


 この価格を見ると15S Touringのコストパフォーマンスの高さが際立つことがわかるだろう。200万円前半で買えるクルマでは、いまMAZDA315S Touringがベストと言っていい。かっこいいデザイン、爽快な走り、何不自由ない装備、ハイブリッド車には敵わないまでもかなりいい燃費がこの価格で手に入るのだ。隣により大きなエンジンを積んだMAZDA3が並んだとしても、まったく引け目に感じることはなし(だって外観からわからないし)。あえて1.5ℓを選ぶという通(ツウ)な感じもいい。いわゆるクルマ好きの人が、あえて1.5ℓエンジン+6MTを選んでいると聞いて、なるほどと思った。


 新型トヨタ・ヤリスのハイブリッドモデル(たとえばハイブリッドGは233万8000円)、新型ホンダ・フィットのe:HEV(たとえばLUXEのFFモデルは232万7600円)とほぼ同価格なのだ。


 いいコンパクトカーが欲しい、という人は、ぜひ一度MAZDA3 15S Touringに試乗することをお勧めします。個人的な結論。


「MAZDA3を買うなら、15SかSKYACTIV-Xの6MTだな」である。つまりエントリーかトップグレードか、を筆者なら選ぶ(価格差は大きすぎるけれど)。

もちろん、後席は6:4分割可倒式

新世代のマツダコネクトはひとつ前の世代から格段に進化している。ナビゲーションシステムの使用には別途ナビ用SDカードが必要

ボディカラーはスノーフレイクホワイトパールマイカ

MAZDA3 FASTBACK 15S Touring


全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm


ホイールベース:2725mm


車重:1340kg


サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式


エンジン形式:直列4気筒DOHC


エンジン型式:P5-VPS型


排気量:1496cc


ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm


圧縮比:13.0


最高出力:111ps(82kW)/6000rpm


最大トルク:146Nm/3500rpm


過給機:なし


燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量:51ℓ




WLTCモード燃費:16.6km/ℓ


 市街地モード 13.7km/ℓ


 郊外モード 16.5km/ℓ


 高速道路モード 18.4km/ℓ


車両価格○231万5989円


試乗車はOP(360°ビューモニター+ドライバーモニタリング8万6880円)込みで240万2869円

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