2019年の上海モーターショーでワールドプレミアされ、話題をさらったレクサスのフラッグシップ・ミニバン、レクサスLMがいよいよ中国で発売になる。その価格から、(もし日本で発売になったら)日本価格を予想してみよう。
レクサスLM350hの中国での車両価格は1865.6万円〜2345.6万円!
2019年の上海モーターショーでワールドプレミアされ、話題をさらったレクサスのフラッグシップ・ミニバン、レクサスLMがいよいよ中国で発売になる。
気になる価格は中国のレクサスの公式サイトによると
レクサスLM300h:116.6万RMB(7人乗り)
146.6万RMB(4人乗り)
と発表された。1人民元RMB=16円で換算してみると
レクサスLM300h:116.6万RMB(7人乗り)=約1865万6000円
146.6万RMB(4人乗り)=約2345万6000円
となる。
果たして、この価格は高いのか?リーズナブルなのか? もし、日本国内販売があったとしたら、国内価格はどのくらいになるのか、推理してみよう。
税抜き価格で考えてみる
では、中国での 税抜き車両本体価格を考えてみよう。
中国では日本の消費税にあたる増値税がかかる。これが13%(2019年4月1日に16%から13%へ改定された)。
また アルファード/ヴェルファイアは、中国生産ではなく日本生産の輸入(日本からみると輸出)となる。中国の完成車輸入にかかる関税が15%だ。
つまり、
販売価格÷1.13(増値税分)÷1.15(関税分)=税抜車両本体価格
となる。今回は、その他の税、手数料等は考えないことにする。
となると、
税抜車両本体価格
中国:アルファード2.5ℓハイブリッド尊貴版(7人乗り) 約1053万9000円
日本:アルファード ハイブリッドエブゼクティブラウンジS 704万2723円
もちろん、日本から中国への輸送、中国国内でのサービス体制、ディーラー網、商習慣の違い、法規制の違いがあるから、価格決定というのは非常に難しい。単純な計算式で導き出されるものではないということは理解しておきたい。
レクサスLS/LC/LXではどうだろう?
もう少し日中の価格差について考えてみよう。
中国での価格
レクサスLS500h 87.8万RMB(1404万8000円)
レクサスLS500h F SPORT 100.5万RMB(1608万円)
レクサスLS500h行政版 117.2万RMB(1875万2000円)
日本国内価格
LS500h 1142万2000円
LS500h F SPORT 1334万8000円
LS500hエグゼクティブ 1670万9000円
それぞれ、税抜車両本体価格は
中国での価格
レクサスLS500h 約1081万円
レクサスLS500h F SPORT 約1237.4万円
レクサスLS500h行政版 約1443万円
日本国内価格
LS500h 約1038.4万2000円
LS500h F SPORT 約1213.5万円
LS500hエグゼクティブ 約1519万円
次はLC。中国のLCはハイブリッドのLC500hのみだ。
中国:LC 500h 115.5万RMB(1848万円)
最上級はLC500h特別版の126.5万RMB(2024万円)
日本:LC500h 1377万2407円
LC500h Sパッケージ 1479万926円
それぞれ、税抜車両本体価格は
中国での価格
LC 500h 約1422万円
LC500h特別版 約1557.5万円
日本:LC500h 約1252万円
LC500h Sパッケージ 約1344.6万円
次はLXだ。最上級グレードで比較してみる
中国:LX570 133.9万RMB(2142万4000円)
日本: LX570 1135万6481円
である。
それぞれ、税抜車両本体価格は
中国:LX570 1648.6万円
日本:LX570 1032.4万円
ということがわかったところで、レクサスLMだ。
本稿の最初にあるレクサスLMの中国での価格は
レクサスLM300h:116.6万RMB(7人乗り)=約1865.6万円
146.6万RMB(4人乗り)=約2345.6万円
税抜車両本体価格
中国:レクサスLM300h(7人乗り)=約1435.6万円
レクサスLM300h(4人乗り)=約1805万円
となる。
次に、日本の税抜車両本体価格と中国の税抜車両本体価格を比べてみる。100%であれば、日中で価格差なし、100%以上であれば中国では割高、100%未満であれば中国では割安ということになる。
アルファード:149.6%
レクサスLS500h:104.1%
レクサスLS500h F SPORT:102%
レクサスLS500h行政版:95.0%
レクサスLC 500h:113.6%
レクサスLC500h特別版:115.8%
レクサスLX570:159.7%
これを見ると、レクサスLSは日中で価格差はほぼないと言っていい。高級クーペであるLCで15%程度日本より高い。
ちなみに、中国生産となるトヨタ・クラウンでは
トヨタ・クラウン(2.0ℓ4気筒ターボ最廉価版):83.3%
トヨタ・クラウン(2.0ℓ4気筒ターボ最上級版):102.4%
で、これまた日中の価格差はない。
ところが、アルファードでは約50%、レクサスLXでは約60%も日本より中国で価格の方が高いのだ。
これは、ライバルひしめくプレミアムセダン市場で戦い、それなりの台数を売らなければならないレクサスLSでは戦略的な価格をつけなければならないが、アルファードやレクサスLXのように中国でも確固たるブランドイメージがあるモデルは強気な価格設定ができるということかもしれない。
であるならば、レクサスLMはどちらに属するクルマかは明白だ。アルファード/ヴェルファイアと同じで、強気の価格設定ができるモデルになる。
それが今回の価格設定だと言える。
レクサスLMは現在のところ、中国と一部のアジア市場のみで販売されている。日本での販売の予定はいまのところないが、もし日本で販売されたらいくらになるか考えてみよう。
中国でのLMの価格が
日本の150%だとしたら、1504.3万円(消費税込み)
日本の160%だとしたら、1410.2万円(消費税込み)
ということになる。
レクサスLMは、レクサスの「フラッグシップ・ミニバン」である。
ちなみに、
セダンのフラッグシップ:レクサスLS500hエグゼクティブ 1711万7000円
クーペのフラッグシップ:レクサスLC500hSパッケージ 1479万926円
SUVのフラッグシップ:レクサスLX570 1135万6481円
ということで、本稿では
レクサスLM350hの日本国内予想価格は
1410万円(消費税込み)
と推理する。
レクサスLM300hの約1865万6000円(7人乗り)、約2345万6000円(4人乗り)という非常に高価な価格設定は中国で成功するだろうか。
中国の中国汽車流通協会(CADA)の2019年のデータでは、日本車が伸びている。中国汽車工業協会(中汽工)の工場出荷データではドイツ系も伸びているが、新車では日本車の独り勝ち状態になっている。それは、「日本車は下取り価格が高い=残存価値が高い」からというのも理由のひとつになっている。
ジャーナリスト、牧野茂雄さんの取材によると、いまもっとも新車から3年後の残存価値が高いのは、トヨタ・アルファードだという。アルファードは中国で超人気車で新車から3年後でも残存価格74% が保証されているという。中国ブランドの大半が購入後1年後でせいぜい60%ぎりぎりという状況に比べて圧倒的な残存価値だ。
日本車の信頼性の高さが中国市場でも浸透してきた成果がここに現れている。
となると、レクサスLMの2345万6000円の車両価格も3年後の残存価値が1736万円もあるということになる。約203万円/年間というコストで超豪華・超人気モデルに乗れるということになれば、これは人気が出ないわけがない。しかも発売当初は需要が供給を大きく上回るはずだ。
心配なのは中国の景気減速だが、それでも富裕層の消費意欲は旺盛だ。レクサスLMの動向を見守っていきたい。