アウディQシリーズ初の“スポーツバック”モデルが登場した。Q3より車高を約30㎜下げ、流麗なクーペシルエットを実現している。48Vマイルドハイブリッドモデルを中心に試乗記をお伝えしよう。
REPORT◉塩見 智(SHIOMI Satoshi)
PHOTO◉Audi AG
※本記事は『GENROQ』2019年11月号の記事を再編集・再構成したものです。
スイス・バーゼルで行われた新型アウディQ3スポーツバックのテストドライブに参加した。アウディ各モデルのうち車名にスポーツバックと付くのは、A1、A3、A5、A7の4モデル。ハッチバックおよびファストバックのモデルに対してその名が与えられている。“セダンやワゴンなどの伝統的ボディタイプではない何か”という意味を込めているのだろう。
Q3スポーツバックは初めて“スポーツバック”と付くSUVとして登場した。かつてはSUV自体がセダンやワゴンではない何かだったのだが、今やSUVは流行り廃りのレベルではない定番ボディタイプに昇格した。Q3スポーツバックはすなわち“今後はオルタナティブSUVもどんどん手掛けますよ”というアウディのメッセージなのか。
一目瞭然、ベースのQ3(日本未導入の新型)よりもスタイリッシュだ。従来世代に対して獰猛でアグレッシブなブラック仕上げでサイズも大きめの八角形シングルフレームグリルによって、ひと目で新世代とわかる。Aピラーよりも前はQ3と共通だが、典型的SUVのシルエットをもつQ3に対し、Q3スポーツバックはリヤへ向けてルーフラインがなだらかに低くなっていくクーペスタイルを採用する。キャラクターラインをうまく使って前後のブリスターフェンダーが大きく張り出しているように見せており、ミニQ8のようでもある。
2.0ℓ直4ターボの45TFSIクワトロ、2.0ℓ直4ディーゼルターボの40TDIクワトロ、そして1.5ℓ直4ターボに48V電源を使ったマイルドハイブリッドシステムが組み合わせられた35TFSIをテストした。グレード名の二桁数字が表すようにパワフルなのは230㎰を誇る45TFSIだったが、限られたパワーを無駄にしないという意思が感じられる35TFSI(150㎰)の健気さのほうが印象に残った。BAS(ベルト駆動式オルタネータースターター)によって積極的にエンジンを停止しコースティングして燃費を稼ぐほか、加速時にはモーターアシストを行うため、通常の1.5ℓターボよりは間違いなく活発だ。変速時にモーターがトルクを瞬間的にコントロールしているのだろう、3モデル中変速が最もスムーズだった。
最後に、日本導入について。昨年Q3がモデルチェンジし、その1年後にQ3スポーツバックが登場したわけだが、日本では新型Q3の導入は20年の予定となる。その後Q3スポーツバックも間を空けずに日本導入するようだ。年央あたりに同時に発表される可能性もあるのではないだろうか。
SPECIFICATIONS
アウディQ3スポーツバック 35 TFSI
■ボディサイズ:全長4500×全幅1843×全高1567㎜ ホイールベース:2680㎜ トレッド:Ⓕ1584 Ⓡ1576㎜
■車両重量:1480㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ ボア×ストローク:74.5×85.9㎜ 総排気量:1498㏄ 最高出力:110kW(150㎰)/5000~6000rpm 最大トルク:250Nm(25.5㎏m)/1500~3500rpm
■トランスミッション:6速MT
■駆動方式:FWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡ4リンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ215/65R17
■パフォーマンス 最高速度:204㎞/h 0→100㎞/h加速:9.6秒