2019年12月中旬にはマツダ3に搭載されて発売予定のSKYACTIV-X。当サイトでも何度か取り上げているため、すでにご存じの方も多いかと思う。ただ、もともと内燃機関の予備知識がある人はともかく、一般ユーザーの多くは「結局、なんなの?」と感じていらっしゃるのではないだろうか。そこで今回は、小難しい話はさておき、要点だけをかいつまんで紹介しよう。
ガソリンとディーゼルのイイトコ取り?
「スカイアクティブ-Xは、ガソリンとディーゼルのイイトコ取り」という話は、クルマ好きの方なら耳にしたことがあるかもしれない。ではいったい、どこが、どのようにイイトコ取りだというのか?
スカイアクティブ-Xのキモは、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を実用化させたことにある。ただ、この技術がどうしてすごいのかを知ろうとすると、ガソリンエンジンにおける圧縮着火の基本となるHCCI(予混合圧縮着火)について理解せねばならず、そうすると3分では説明がつかない。
だからここでは、ガソリン、ディーゼルとの共通の部分、そして異なる部分だけを簡潔に説明したい。
■ガソリンエンジン
「火花点火」
燃料と空気の混合気に火花で着火させる。
火花を起点に炎が広がり、緩やかに燃焼する。
■ディーゼルエンジン
「圧縮着火」
圧縮して高温になった空気に燃料を直接噴射する。
高温の空気と燃料が混ざり、同時多発的に急激に燃焼する。
■スカイアクティブ-X
「火花点火制御圧縮着火」
通常のガソリンエンジンよりも燃料の薄い混合気を圧縮させる。
スパークプラグによって膨張火球炎を作り、シリンダー内の混合気をさらに圧縮する。
混合気が同時多発的に急激に燃焼する。
つまりガソリンエンジンとの共通点は「スパークプラグで火球をつくること」であり、ディーゼルエンジンとの共通点は「同時多発的に素速く燃焼すること」というわけだ。
火花点火は、伸びやかな加速や、排気ガスの浄化性に優れる。
一方で圧縮着火のほうがより力強く、長くピストンを押し下げる。ディーゼルがトルクに優るのはこのためだ。初期レスポンス、そして燃費もディーゼルに優位性がある。
独自のSPCCI技術によって既存の概念をブレークスルーし、ガソリンとディーゼルの特長を併せ持つエンジンとして生み出されたのがスカイアクティブ-Xなのだ。
燃費、トルク、レスポンスはディーゼルエンジン譲りで、(エンジン回転が伸びることによる)出力、排気浄化性はガソリンエンジン譲り、となる。果たして謳い文句通りになるのか、それはもうすぐわかるだろう。
いずれにせよ、スカイアクティブ-Xは、内燃機関における革命と言ってもいい技術だ。12月中旬にはマツダ3に、そして2020年1月下旬にはCX-30に搭載されて発売される予定だ。
次代を担う内燃機関がどんな走りを見せるのか、運転できる日が待ち遠しくてしかたがない。