全日本学生フォーミュラで総合2位を獲得した横浜国立大学。設計のねらいを聞いてみた。
(西3ホール:全日本学生フォーミュラ展示コーナー)
全日本学生フォーミュラへの参加にあたり、一貫して「4気筒縦置き+ドライブシャフト」の構造を用いる横浜国立大学。まるで水平対向エンジンを使い続けるスバルのような印象を抱く。
今回の受賞マシンでは10インチホイールを採用。筆者が頻繁に取材を重ねていた数年前にはそれほど10インチの数は多くなかったように思えるが、小径タイヤに分があるということなのだろうか。訊けば、肝は10インチホールではなく、外径16インチタイヤというところらしい。
これまでの10インチホイールに装着していたタイヤの外径は18インチが主流だった。そこへ底扁平型の16インチタイヤが登場。昨年の強豪校も採用していたことから着目したという。
小径であることで、低重心化と発進加速性能の向上が見込めるのは理解できる。ではデメリットを訊いてみたら発熱の問題をひとつあげてくれた。エアボリュームが少ないので熱を帯びやすいのである。加えて、サスペンションセッティングのシビアさも指摘していた。外径16インチに合わせたアンチノーズジオメトリやダンパーセッティングなどに少なくない時間を要したという。
加えて、デフ周りの苦労も語ってくれた。縦置き+ドライブシャフトゆえの特殊な構造だけに、ワンオフのデフケース/ギヤセットを含め信頼性と性能の両立は困難だった。2組のギヤセットを用意し、走行性能と照らし合わせ搭載のセットに決着したという。