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日産セレナe-POWERの使い勝手を徹底チェック!


パワートレーンが違うだけ……ではないのがe-POWERの使い勝手だ。運転席まわりを変更しているほか、2列目が左右独立のキャプテンシートになっているなど、e-POWER独自の世界観をつくりだしている。




REPORT●工藤貴宏(KUDO Takahiro)


ASSISTANT●竹田愛(TAKEDA Ai)(身長165㎝)


PHOTO●中野幸次(NAKANO Koji)/宮門秀行(MIYAKADO Hideyuki)




※本稿は2018年3月発売の「日産セレナe-POWERのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

電動シフトを採用

シフトレバーは操作後にレバーは中立位置に戻るのが特徴の電気式。リーフやノートe-POWERと同様の仕組みで先進性を印象付ける。「P」へは下のボタンを押して入れるほか、パワースイッチをオフにすると自動で入る。

センターコンソールにトレーを配置

運転席と助手席の間にはボックスティッシュよりひとまわり大きなサイズのトレーを用意。床にバッグを置くのを嫌がる人も多いけれど、そんな人にとってはこの装備のメリットはとても大きい。

〈運転席まわり〉e-POWERに合わせたスイッチレイアウト

ハンドルに遮られずに見えることを狙って高い位置にレイアウトしたメーターなど、基本的なデザインはガソリン車同様。しかし電気式のシフトレバーやブルーのスターターボタン、ナビスペース下のスイッチなどはe-POWER専用のアレンジとなっている。電動パーキングブレーキは全車採用ではなく、一部仕様にオプションだ。

ガソリン車のレイアウトを踏襲し、デジタル速度計と7インチディスプレイを組み合わせる。しかし細かい部分では、速度計を囲むフレームがブルーになり、ディスプレイにe-POWER専用のメニューがあるなど差別化。

ナビスペースの下には左から駐車支援システム、カメラ切り替え、ハザードランプ、e-POWER専用のマナーモードとチャージモードのスイッチを配置。

左はオーディオの基本操作と、メーター内にある液晶ディスプレイの表示切り替えや設定のスイッチ。
右はクルーズコントロールを含むプロパイロットの操作系だ。「OK」や「CANCEL」のボタンに親指が自然に届く位置としている。


自動ブレーキやトラクションコントロールのオフスイッチを運転席左に配置。後者は雪道でスタックした際などに使う。

運転席右のパネルにはエコモ ードに変えて「ドライブモード」切り替えが組み込まれ、ステアリングヒーターも用意される。

標準モデルの黒に対し、e-POWERはブルーの「プッシュパワースターター」を全車に採用して特別感を演出。

標準では足踏み式パーキングブレーキを組み込むが、オプションの電動パーキングブレーキを選ぶと足元がスッキリ。

日産のミニバンとしては初の採用となる電気式のシフトレバー。右下が「D」レンジで、再び右下へ操作するとアクセルオフでの減速度が高くなる「B」レンジに入る。「R」は右上、「P」はボタンで入れる。

電動パーキングブレーキのメリットは力の弱い人でも確実に効かせられること。発進時に自動解除するオートホールドも備わる。

e-POWERのディスプレイ表示

〈マナーモード〉シフトポジションに加えて走行モードを表示。「エコモード」や、e-POWERならではの「マナーモード」「チャージモード」もここに表示される。

〈EVオドメーター〉通常の走行距離に加え、燃料を消費せずに走った距離を別に表示する。上段が総走行距離。中段はトリップリセットごとの距離で、ふたつ記録できる。

〈エネルギーモニター〉エンジン、バッテリー、モーターのエネルギーの流れとバッテリー残量がグラフィックで描かれ、ハイブリッドシステムの状況がひと目で分かる画面。

〈居住性&乗降性〉2列目は上質感を高めたキャプテンシートを採用

1列目


高い着座位置と周囲を見下ろす感覚はミニバンらしさを実感する。細いAピラーのおかげで斜め前方視界も良好だ。シート下はガソリン車と異なり床に走行用バッテリーが搭載されているものの、実際に座ってそれを意識させられることはない。チルトステアリングやシートリフターなどは全車に備える。

大きなフロントウインドウに合わせてサンバイザーも大きめ。一部をシースルー(細かい穴がたくさん開いている)にすることで、サンバイザー越しでも信号の色が確認できるのは親切なアイデアだ。バニティミラーは左右両席に備わる。

運転席と助手席にはシートヒーターをオプション設定。最初は人間が暖かいと感じやすい座面を集中的に温め、その後、腰まわりの温度を上げて快適性を高める制御としている。

2列目


e-POWERはシートがガソリン車と異なり左右が独立した2名掛けとなっているのが大きな特徴。背もたれパッドは真横から見たときに直線ではなく“く”の字のように若干角度を付けて積極的に胸部と骨盤を支えて背骨の負担を減らし、座り続けても疲れにくい設計が施されている。右の写真はスライド最後部だ。

2列目キャプテンシートには左右独立のアームレストが組み込まれる。適正な装着のためシートベルトをシートに内蔵しているのも美点だ。スライド量は通常で570㎜(写真)、後述の横スライドを活用すれば最大690㎜。



3列目はガソリン車からの変更はない。セレナなどいわゆる「Mクラス箱型ミニバン」のパッケージングは3列目にも広いスペースがあり、2列目をロングスライド最後端から15㎝ほど前に出せば大人も快適に過ごせる。存在感が大きな中央席のヘッドレストは、人が座らないときは外しておける。

2列目の窓にはロール式のシェードを内蔵。引き出し/収納の動きも、指先でつまんで操作できるほどスムーズだ。直射日光を遮るほか車内が見えにくくする効果もある。

運転席側中央寄せ
最後端スライド


助手席側中央寄せ
最後端スライド


ガソリン車同様に2列目シートは横スライド可能(「XV」「ハイウェイスターV」)。スライド量は助手席側の方が大きく、運転席側は中央に寄せてもやや隙間が残るが(運転席側中央寄せ)、助手席側はベンチシート状につなげられる(助手席側中央寄せ)。さらに、左右どちらも中央寄せ時はリヤホイールハウスを避けて超ロングスライドが可能(最後端スライド)だが、助手席側の方がスライド量が大きい。

2列目シートの中央寄せは助手席側の方が大きく動かすことができ、そのため3列目へのアクセスは助手席側からの方が優れていると言える。

2列目シートの調整レバーをすべて座面脇に配置しているのは操作性を高める工夫。上前方が前後スライド、上後方がリクライニング、そして下は横スライドとなっている。

運転席と助手席の間にあるボックスティッシュよりもひとまわり大きなサイズのトレーは、e-POWER専用アイテム。夜はブルーのイルミネーションが際立つ。

3列目→2列目ウォークスルー
1列目→2列目ウォークスルー


ガソリン車にはできないがe-POWERではできることのひとつが、1 列目から3列目までのウォークスルー移動。1~2列間はフロアのトレーをまたぐ必要はあるが、小柄な人でなければ少し歩幅を大きくすれば大丈夫。写真だとちょっと窮屈そうに見える2~3列間の移動も、「普通にできます」とアシスタントの愛ちゃん。



3列目からの乗り降りもしっかり配慮されていて、3列目から簡単に2列目ウォークイン(前スライド&前倒し)するペダル(写真左上)のほか、スライドドア操作スイッチも装備している(右上)。2列目をスライドするレバーもある(左)。

シート高:800㎜ ステップ高:375㎜

シート高:830㎜ ステップ高:400㎜


天地高のある開口部と高めの着座位置の組み合わせが、乗り降りの姿勢を楽にしている。床(ステップの高さではない)がライバルに対して若干高いのは気にならないが、ステップと床の間に段差が存在するのは惜しい。スライドドアが開いた状態で車内のロックノブで施錠してドアを閉めると、閉じた後にすべてのドアがロックされるアイデアは便利だ。

〈AV・ナビ〉9インチワイドの大画面にBlu-ray対応

ナビは全車ともディーラーオプション設定で画面サイズは7インチと9インチを用意。撮影車両のように9インチ(MM517D-L)を選ぶと周囲に専用パネルが装着され、まるで工場の生産ラインで装着するナビのようなフィッティングが◎。スマホ連動で使う対話型の音声認識機能&操作も実に便利だ。

9インチ画面は7インチに比べて約1.8倍も大きく、地図が見やすいだけでなく操作アイコンが大きく押しやすいのもメリットだ。

「MM517D-L」はBlu-rayディスクに対応。その映像は追加オプションの後席モニター(天井吊り下げの11インチ)にも流せる。

区間ごとのリアルタイム通過時間を反映しスムーズな道案内をする交通情報のVICS WIDEに対応。車両の取説も閲覧可能だ。

最新で広範囲の渋滞情報を使う最速ルート探索のほか、オペレーターとの会話で目的地が検索&設定できるサービスも利用可能。



車両周囲を見渡す映像をナビ画面に映せるのがガソリン車との違い(ガソリン車はメーター内)。移動物を検知して画面上と音で注意喚起する機能も備える。



駐車枠を指定すれば、あとはハンドル操作を自動で行なってくれるプロパイロットパーキングをオプション設定。緑の線はハンドル操作連動の進路予測線だ。

三列すべてに用意される電源

運転席側のアッパーボックス内にもUSB電源を用意。ケーブルを通す切り欠きも備える。

2列目用のUSBは左右シートバックに組み込む。ポケットにスマホを入れて充電可能。

USB端子はオプション装着ではあるが、3列目までしっかりと用意しているのがうれしい。

DC12Vのアウトレットは助手席前に用意。外れない(=なくさない)リッド付きだ。

〈空調〉

空調はオートエアコン+リヤクーラーを標準とし、デュアルオートエアコンをオプション設定。ガソリン車と異なるのはクーラーをエンジン停止時でもしっかりと効くように電動化していることと、エンジンの発熱に頼らず効きが早いPTC素子ヒーターを標準装備したこと。

後席の空調は前席のパネルでコントロールできるほか、後席天井にあるコントローラーでも操作可能。エアコンなら温度を設定するだけで自動的に快適な状態にしてくれる。

注目装備

〈専用フロアカーペット〉e-POWER専用としてディーラーオプション設定されるカーペットは、ブルーの縁取りが特徴。吸遮音&消臭機能付きで6万4584円。

〈ハイビームアシスト〉ガソリン車にはないアイテムのひとつがハイビームアシスト。周囲の状況により、ハイビームを基本にロービームへ自動切り替えする。

〈キャップレス給油〉給油口にはキャップがなく、そのままノズルを差し込んでガソリンを注げる。わずらわしさがないだけでなく、キャップ忘れも防止。

〈インテリジェントキー〉全車とも非接触式のキーを標準装備し、身に着けているだけでドア開錠やシステム始動ができる。電動スライドドアのボタン付き。

〈室内の収納スペース〉すべての席で便利に使える多数の収納

ミニバンの進化は止まらない、セレナe-POWER、収納スペースを総チェック!! 容量は?使い心地は?




※写真をクリックまたはタップすれば、当該記事にアクセスできます。

〈ラゲッジルーム〉Mクラスミニバントップの広さとクラス唯一のデュアルバックドア

通常時:高さ1220㎜ 最小奥行き500㎜

シートがどの状態でも床がフラットに保たれることと、荷室の天地高が高いことがボックス型ミニバンの特徴。セレナもそれを踏襲し、e-POWERでもガソリン車と荷室広さに違いはない。

3列目格納時:最小幅930㎜ 奥行き1200㎜

3列目のシート格納は左右跳ね上げ式。格納位置をできるだけ低くして斜め後方視界を確保している。数値は2列目スライド最後部状態のため、スライド調整次第ではさらに奥行きを拡大可能。

2+3列目格納時:最大奥行き1770㎜

2列目の格納はシンプルな仕掛けで、前方へのスライドのみ。奥行きの数値はライバル同様で自転車も楽に積める。数値はシート部分なので、2列目左右シートの間であればスキー板など2m程の長尺物を積載可能だ。

後席開口部下端の地上高は480㎜。跳ね上げたテールゲートのグリップ位置はライバルより若干低い地上1820㎜で、差はわずかながら小柄な人でも操作しやすい。跳ね上げたテールゲ ートの張り出しは大きめで約1mある。しかし、下で紹介するように窓部分だけが開くから便利。

テールゲート全体を開くことなく窓部分だけを跳ね上げられる機能はセレナだけが採用している。開口部の下端は見た目以上に低く、手を伸ばせばしっかりバッグを床に置ける高さなのが実用的だ。

ライバルにはない独自機構が3列目のシートスライド(120㎜)。脚部分が残るとはいえ、シートを畳んで乗員を減らすことなく荷室を拡大できるのはやはり便利だ。



床や荷室側面にはロープやネットを張るためのフックが組み込んであり、積んだ自転車を固定するのにも役立つ。

荷室右側の壁には、外した3列目中央席のヘッドレストを格納する場所が用意されている。その席に人が座らない限りは、視界確保のためにここに装着しておくのがいいだろう。

アシスト機構が組み込まれているので見た目とは裏腹に3列目の格納/展開に力は不要。スライド位置を問わず格納できるのも便利だ。ただし、脚は手で畳む必要がある。

奥行き400㎜、幅1080㎜、深さ210㎜とゴルフバッグと同じくらいのサイズを誇るアンダーボックスが実用的。フックでリッドを跳ね上げて固定できる。

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