ダイハツの新世代技術群、DNGAは、エンジンも新しい。型式こそ従来のKF型を名乗るが、中身はボルトとねじ以外はすべて新規設計と言えるほど新しい。間もなくデビューする新型タントから搭載が始まる。
DNGAのエンジンとして軽自動車用660cc直列3気筒エンジン、NA/ターボのふたつのエンジンが発表された。すべてのエンジン部品を見直し、燃焼そのものから改善することで大きく性能を上げてきた新エンジン。型式こそ従来の「KF型」を名乗るが、中身はまったく別物と言っていい。
注目は、世界初という「マルチスパーク」(複数回点火)技術である。1回の燃焼で2回点火することで、シリンダー内での燃焼速度を高めノッキングを抑制し、EGR量を拡大した。これは燃費に効く。
マルチスパーク(2回)の放熱エネルギー量は、従来の1回よりも若干上がった。とはいえ、いわゆる高エネルギーコイルを使うのではなく、従来のコイルを使いつつ、1回放電のあと急速充電し、再度放電するという方法を採る。
排出ガス対策としては、シリンダーヘッド内で排気ポートを集合させることで排出ガスの温度低下を抑制し、触媒の浄化性能をアップさせている。
VVT(可変バルブタイミング機構)は、従来と同じく吸気側のみ。
D-CVTと組み合わせることで、高速巡航時のエンジン回転数を下げることが可能になった。またいわゆる「燃費の目玉」は、ポイントは同じだが、領域はより低回転高負荷領域に広げることができた。
DNGA・新KFエンジンの新技術は、今後1.0ℓ直3エンジン(型式が変わらなければKR型)にも順次投入していく。