フォルクスワーゲン最初のモデル「タイプ1」をモチーフにした「ザ ビートル」が、日本での販売を2019年一杯で終了する。これに伴いフォルクスワーゲングループジャパンは、2018年1月より“See You! The Beetle キャンペーン”を順次展開している。その第4弾にあたる特別仕様車「マイスター」シリーズの標準グレード「デザイン・マイスター」に試乗した。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、フォルクスワーゲン
原初の「タイプ1」を含めて3代目にあたる現行「ザ ビートル」は、2代目「ニュービートル」の後継モデルとして、2011年4月にデビュー。日本では2012年6月に発売され、以来徐々にバリエーションを拡大しながら、2018年10月の「マイスター」シリーズ発売までに約3万5000台が販売された、フォルクスワーゲンのアイコンだ。
さて、そんなザ ビートル、筆者は2013年頃に新車で購入しており、その時の仕様もまさに「デザイン」のレザーパッケージ付きだった。筆者はのちに諸般の事情で手放さざるを得なくなったが、その後ザ ビートルは2016年9月にマイナーチェンジし、前後バンパーをよりドイツ車らしいマッチョなデザインに変更しているものの、5年ぶりに再会したザ ビートルはその外観を除き、いい意味で何も変わっていなかった。
内外装のデザインと走りはドイツ車らしい質実剛健とラテンアメリカ的な陽気さを併せ持ち、スポーティに走りたい時は絶妙なエンジンレスポンスと安定感に満ちたハンドリング、安楽に移動したい時はターボ&7速DCTがもたらすトルクフルな加速としなやかに動くサスペンションで、ドライバーの意思に忠実に応えてくれる。そう、ザ ビートルはデビュー当初から、極めて高い完成度を誇っていたのだ。
ただし、先代ゴルフ6をベースに作られたザ ビートルにとって、この8年は余りにも長すぎた。ザ ビートルの1年半後、2012年9月にデビューした現行ゴルフ7は新世代のプラットフォーム「MQB」を採用し、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどの先進安全技術の搭載を可能としているが、ザ ビートルにはそれがない。
【Specifications】
<フォルクスワーゲン・ザ ビートル・デザイン・マイスター(FF・7DCT)>
全長×全幅×全高:4285×1815×1495mm ホイールベース:2535mm 車両重量:1300kg エンジン形式:直列4気筒DOHC直噴ターボ 排気量:1197cc ボア×ストローク:71.0×75.6mm 圧縮比:10.0 エンジン最高出力:77kW(105ps)/5000rpm エンジン最大トルク:175Nm(17.8kgm)/1500-4100rpm JC08モード燃費:17.6km/L 価格:303万円