人気お笑い芸人の出川哲朗さんが、電動スクーターのバッテリーを充電させてもらいながら旅を続けるテレビ番組で乗っているのが、ヤマハ「E-Vino(イービーノ)」。実際に乗ってみると、あの番組の人気のワケがわかる気がします。出川さんもそうですが、イービーノもものすごくフレンドリーなんです!!
REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
E-Vino(イービーノ)……236,520円
お笑い芸人の出川哲朗さんが「充電させてもらえませんか?」と、旅先で出会った人にお願いしながら電動バイクで旅するテレビ番組が人気です。かつて「抱かれたくない男ナンバーワン」に選ばれてしまうなど嫌われ者イメージだった出川さんでしたが、今ではすっかりお茶の間の人気者。老若男女を問わず、子どもや女子高生からお年寄りまで幅広い層に支持されています。
そんな出川さんが番組中に乗って走っているのが、ヤマハ「E-Vino(イービーノ)」。今回、実際に乗ってみますが、レトロポップな可愛いスタイルで見るからにお手軽。もちろん免許は必要で、該当するのは原付一種免許です。ガソリンエンジンで言うところの50cc以下のカテゴリーで、クルマの普通免許を持っていれば付帯しています。
まさに誰でも乗れる! 学生さんもどうぞ
ポルシェを愛車に持つ出川さんですから免許は問題なしですが、ゲスト出演する人の中には番組のために原付一種免許を取得してきたという人もいるようです。原付一種免許は運転免許試験場での学科試験だけで取れ、教習所に通う必要はありません。費用は8000円弱で、1日で免許証が交付されます。
16歳から取得できるので、大型バイクへの第一ステップという若者も少なくありません。原付バイクでの通学を認めている高校も全国にたくさんあり、都道府県教育委員会(県教委)の調査によると、原付通学が許可されている生徒が多いのは鹿児島県や茨城県、山梨県などで、運転実技を含めた交通安全教育に取り組んでいます。番組を見て、初めて買ったバイクが電動という新時代の若者もいるかもしれません。
バッテリー充電時間こそ人と触れ合う絶好のひと時、しかも満充電14円と激安
「充電させてもらえませんか?」と、旅先で気軽に声をかけられるのは、家庭用の電源コンセントで充電ができるからです。そのおかげで、出川さんはいろいろな人と触れ合うことができて番組が面白くなっているのですが、満充電でも20キロ程度しか走れません。
バッテリーの状態はメーターに表示され、走行するうちにどんどん減っていきます。坂道を登れば、その減りっぷりは容赦なく、思わず「やばいよ、やばいよ!」と口ずさんでしまいますから、出川さんの気持ちがよくわかります。
ただし、バッテリーをフル充電するための電気代はわずか14円ほどで、これなら気兼ねなく頼めるでしょう。もちろん出川哲朗さんという人懐っこい人気タレントだからこそ出来ることで、見ず知らずの人から電源コンセントを使わせて欲しいと頼まれても、快諾してもらうのは難しいはずです。
充電時間は環境に左右されますが、3時間ほど。その間、出川さんは旅先で出会った人とお喋りしたり、食事をしたり、いろいろなものを見たり聞いたりしています。
大きいバイクにはできないことが、魅力だったりもする
番組ではバッテリー残量がゼロになると、充電できる場所まで乗り手がバイクを押して歩きます。大型バイクならタイヘンな労力を使うことになってしまいますが、イービーノの車体重量は68kgしかありません。筆者も実際に押して歩いてみますが、男性なら容易いという印象で、さほど苦にはなりません。
それがわかると、大きな道路の反対側へ移動したいときなどは電源を切って、積極的に押して歩くことを選ぶようになりました。原付一種は交差点で二段階右折しなければならないなどルールが複雑で、押した方がカンタンなのです。歩行者と一緒に信号待ちしても、車体は小さく目立ちません。人の多い商店街も押して歩くことにしました。
威圧感なく厄介者扱いされない
走っていて感じるのは、人に警戒心を抱かせず、街に溶け込めやすいということです。見た目が可愛いだけでなく、排ガスを出さず、無音でゆっくり走っているからこそで、歩行者の視線も和やかな気がします。
街ゆく人たちに対する威圧感はどこにもなく、子どもやお年寄りも近づきやすい。きっと、この周囲に対するフレンドリーさも、番組を成功させているひとつの要因となっているのかもしれません。もちろん“ゆるキャラ”のような出川さんの人懐っこさと人気者ぶりがイチバンなのですが、イービーノの“ゆるさ”も負けていないってことです。
かつてバイク=悪、暴走族、騒音などといった負のイメージがつきまとった時代もありましたが、この番組では出川さんとイービーノにそんなイメージは微塵もありません。クリーンで先進的で、人にもやさしい乗り物。
有名人ではない自分にはとうてい無理ですが、番組を真似て「充電させてもらえませんか?」とお願いしながら、このまま旅に出てみたくなります。
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。モトクロスレース活動や多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディア等で執筆中。バイク関連著書もある。