姿を現したばかりの新型マツダ3。ご存じの通りマツダのCセグメントハッチバックであり、アクセラの後継車である。ということは、つまりファミリアの末裔ということになる。だがこの新型マツダ3を見ていると、ファミリアよりも、“あの”隠れた名車を思い出さずにはいられない。そう、バブル崩壊直後の1993年、超絶スタイリッシュな5ドアハッチバックとして颯爽と現れ、華やかに散っていったランティスである。
先ごろのロサンゼルス・モーターショーでベールを脱ぎ、日本での発売も秒読み段階と言われている新型マツダ3。もともとアクセラは海外市場においてマツダ3を名乗っていたが、新型からは日本市場もグローバル共通のネーミングとなる。
いずれにせよ、アクセラのフルモデルチェンジ版ということが、つまり先祖を辿ればファミリアに行き着くことになる。マツダの大黒柱となる中型ハッチバックの系譜を継ぐというわけだ。
ただ、新型マツダ3のあまりに流麗なエクステリアを見て、ふと“あの”知る人ぞ知るスタイリッシュなクーペ風ハッチバックを思い出してしまった人は少なくないだろう。
そう、バブル景気に遅れて登場した不遇の名車、ランティスである。
上が新型マツダ3、そして下がランティスである。
●クーペのように流麗なシルエット
(長いフロントオーバーハングと傾斜の浅いリヤゲート)
●5ドアハッチバックボディ
(そして比較的オーソドックスな4ドアセダンもラインナップ)
●細長いシャープなヘッドランプ
●意欲的なパワートレーンを搭載
(マツダ3はスカイアクティブX、ランティスは2.0LのV6!)
デザインやコンセプトがあまりに似通っており、マツダ3はまさにランティスの再来というに相応しいのである。
↑こちらはランティスと同時代のファミリア。なかなか端正なルックスだが、流麗とは言い難い。
↑八代目ファミリアには「NEO(ネオ)」という3ドアハッチバックがラインナップされたが、3ドアという点がマツダ3&ランティスとは異なるし、なかなかスタイリッシュだが、やはりマツダ3&ランティスほどの造形美は感じられない、というのが正直なところ。
新型モデルが出ると、にわかに現行モデルやそのご先祖が気になってくるという現象はクルマ好きだけのものではないだろう。新型はすぐには納車されないし、当然ながら値引きも期待できない。
「新型が出たということは、現行は大幅値引きがあるかも。中古車はさらに値が下がるかも」
マツダ3を見てそんな思いを抱いたアナタ。アクセラの中古物件を探すのもいいけれど、思い切ってランティスに狙いを定めるのはいかが? 相場は20〜90万円くらいと、人気のビンテージモデルというわけではないので安定している。5速MTモデルもそれなりに流通しているようだ。新型マツダ3は、いずれ路上をワンサカ走ることになる。ヒネリの効いた愛車選びで、通を気取るのも悪くない。