クルマの名前と言えば、アルファベット表記が当たり前。となると、どうしてもインドヨーロッパ系言語をルーツとする車名が多くなる。英語はもちろんだが、スペイン語やイタリア語が多いのはローマ字読みすればいいので日本人に馴染みやすいからだろう。いやしかし待て。日本人に馴染みやすいのがいいのなら、日本語にすればいいじゃないか! メーカー名はほとんど日本語由来なのだから、車名だって日本語でもいいはずだ。というわけで、ごく少数ながら日本語を由来とする車名を持つモデルを挙げてみた。
トヨタ・カムリ
「冠(かんむり)」を由来とした造語で、トヨタのフラッグシップである「クラウン」とのつながりを感じさせる。アメリカで最も成功した日本車であり、NASCARにも参戦している。アメリカ人が日本語由来のネーミングをフツーに口にしているのは感慨深い。
トヨタ SAI
華やか、艶やかさを意味する「彩」を語源としている。
トヨタ・カレン
「現代の」を意味する英語のCurrentと、日本語の可憐を掛け合わせたネーミング。
トヨタ・ミライ
言わずもがな。未来を意味するネーミングだ。
トヨタ 86
これはギリギリ日本語という解釈か? 「ハチロク」のように数字を日本語読みする車名は珍しくないが、そのほとんどはアルファベットと数字の組み合わせだ。しかし86は数字だけで英語が入らない。
その由来はかつての「レビン/トレノ」の型式である「AE86」だが、多くのクルマ好きが愛称として「ハチロク」と呼んでいた歴史が背景にある。ということで日本語由来と認定!
日産フーガ
バッハの名曲「トッカータとフーガ」でも知られる音楽用語の「フーガ」(遁走曲の意)と、雅やかで趣や風情があることを意味する「風雅」を掛けたネーミング。
音楽用語のフーガの綴りは英語やフランス語ではFugue、ドイツ語ではFugeとなり、Fugaと書くのはスペイン語やイタリア語だ。ここでもやはり、日本車のネーミングに適しているのはスペイン語やイタリア語との法則が当てはまる。
日産ラシーン
「羅針盤」を語源とした造語だ。
日産ティーダ
沖縄言葉(琉球語)で太陽を意味する「てぃだ」に由来する。ラテン語っぽい響きはさまざまな商品や店名としてマッチングしやすいようで、沖縄料理 レストランの店名に使われていたりもする。
日産モコ
モコモコした、という擬態語に由来する。
スズキ・キザシ
「兆し」を由来とするコンパクトセダン。
スズキ Kei
まさにそのまま、軽自動車の「軽」を意味するネーミングだ。
スズキ・サムライ
ジムニーは欧州や北米市場でサムライを名乗っている。
いすゞ・アスカ
飛鳥時代、そして日本人女性の名前としても一般的な「アスカ」の名を与えられたミドルクラスセダン。英語っぽく転訛させることもなく、あるいは通常であればそのまま商品名にすることはあまり考えられないような言葉(サイやケイ)でもなく、固有名詞になり得る日本語をそのままネーミングにしたのはアスカが唯一の例かもしれない。
三菱ショーグン
パジェロの海外市場向けネーミング。
三菱eKクロス/eKワゴン/eKスペース/eKスペース カスタム
「いい軽」を語源としており、現在は4車種に冠されている。モデル名というより、三菱の軽自動車のサブブランド的な意味を帯びていると言えそうだ。
ミツオカ・オロチ/ヒミコ/ガリュー/リューギ/リューガ/ビュート/レイ/ユーガ/サクラ/ナデシコ
ミツオカは日本語由来というよりも、日本語そのもののネーミングを持つモデルを多くラインナップしている。
オロチ(大蛇)
ガリュー(我流)
リョーガ(凌駕)
リューギ(流儀)
ヒミコ(卑弥呼)
レイ(麗)
ユーガ(優雅)
ビュート(美遊人)
ビュートなでしこ(撫子)
ビュートさくら(桜)
以上、ここで挙げたのはわずかに15台(eKシリーズをすべて数えれば18台)と、ミツオカの10台。あまりにも少ないというのが正直な感想だ。もちろん当記事の担当者がまだ知らないものや、知っているのに思い出せていないものもあるだろう。新たに見つけたら、またご紹介しますのでお付き合いくださいませ。