スバルがエンジン内部に使われているバルブスプリングのリコールを国土交通省に届け出た。対象台数は4車種10万1153台、対象車両の製造期間は2012年1月17日から2013年9月30日までである。対象全車両のバルブスプリングを対策品に交換するとスバルは発表した。しかし、交換作業は簡単ではない。販売会社のサービス工場で対応できるとは、とても思えないのである。
TEXT &PHOTO◎牧野茂雄(MAKINO Shigeo)
PHOTO◎瀬谷正弘Archives
水平対向エンジンのシリンダーヘッドはどうなっているか
エンジンのバルブスプリングの不具合とは何か スバルのリコールから考える スバルの水平対向エンジンには2つのシリンダーブロックとシリンダーヘッドがある。2気筒ずつのシリンダーブロックが中央でクランクシャフトを挟み込むように合体される(写真1)。
通常の直列あるいはV型エンジンは、シリンダーブロックの底部にクランクシャフトを置き、そのシリンダーブロック両端および気筒間でクランクシャフトを保持するメインベアリング/ベアリングキャップを使ってクランクシャフトを固定する。ピストンはその上側で往復運動を行うから、エンジン回転の反力はメインベアリング/ベアリングキャップで受ける。
ところが、水平対向エンジンは左右のシリンダーブロックそのものが、反対側ブロックのピストンから見ればベアリングキャップになり、つねに大きな力を受ける。そのためシリンダーブロックにはきわめて高い精度が求められる。
そして、左右のシリンダーブロックにシリンダーヘッドが取り付けられ、その中にカムシャフト、バルブ、バルブスプリングなどの部品が組み付けられる。エンジン全体の構成は写真2と写真3のようになっている。クランクシャフトを中心に、左右それぞれシリンダーブロック、シリンダーヘッド、カムシャフトキャリアの順に重ねられる構造だ。